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僕と拠り所〜王位開戦編 宇宙の矛先 アノヒマモルトキメタコト〜②


?「ふふふ〜ん、ふ〜ん、ふふふふふ〜ん、バンバン!ふふふ〜ん、ふ〜ん、ふふふふふーん、ばんばん!ふふふーふーふーふーふーふふふーふふふふふーん、バン!いっちょ完了だぎゃーふふふ!喜んでくれると嬉しいにーーー!私のダーリン!」


ハインツ回想

業火を浴びて崩れる建物を僕はアンソロジーに抱かれながら見つめることしかできなかった。


子供達「ハインツ…詞華…お前達がやったのか?神父様は…神父様はどこいいるの…」


アンソロジー「神父様…?ハインツがこんな目に遭っているのに…?」

子供達「いや…ごめん…でも神父様は」

アンソロジー「神父様、神父様って、うるさい!私も、ハインツが来てくれなかったら今ここにはいないわ!」

子供達が一斉に言葉を殺した。

ハインツ「アンソロジー…いいんだ…」

アンソロジー「あなたは喋らないで!酷い…こんな目に合わせて…あのクソ野郎…」

グギギと子供達の後ろから少し大きくなった塊がハインツの元に近ずいていった。

子供達「うわっ…悪魔だ!みんな逃げろーーー。」

グギギとその塊はハインツの腕を優しく触った。

ハインツ「やぁ…君はヘカトンケイルと言ったね…みんなを守ってくれてありがとう…」

そう言ってハインツは目を瞑り、呼吸が次第に薄れていく。

アンソロジー「嘘…待って…ハインツ…私を護るって言ったじゃない…ハインツ…お願い…目を覚まして…」

ヘカトンケイルの手のひらからは光が漏れだしあたりを優しく包んだ。

ハインツ「これは…痛みが…」

アンソロジー「…傷が…治っていく…」

遠くの方で笑い声が聞こえた。
神父様「いけません…いけませんねぇ〜、私は神の加護を受けているのですからこの程度では倒れませんよ。」

子供達「神父様!無事だったんだ!」

子供達は神父様の元へ駆け出すと彼は不気味な笑みを浮かべた。

アンソロジー「ダメ!みんな!そっちにいっちゃダメ!」

焼け爛れどす黒くなった体が大きく裂け大きな口が一瞬にして子供達を丸呑みにした。

ハインツ「……」

アンソロジー「化け物…」

二つに裂けた神父がゆっくりと元の姿に戻る。

神父「化け物とは失礼だな。言葉を慎みなさい。」

アンソロジー「こんなの…ありえない…」

神父が苦笑した。

神父「ありえない?私からしたら君たちの方がありえない。詞華君は人と神の子、ハインツ君はどうやら力のない神に好かれる人の子だ。この世界に神と人、その他が入り混じっているのは君もよく知っているだろう。我ら神が人のような低俗と交わるなど…」

ハインツ「じゃあなんでお前は僕たちみたいな孤児を保護しているんだ。」

また神父は苦笑した。

神父「餌だよ。人間の苦痛や恐怖を増大させ喰らう。孤児院の方が都合がいいだろう?」


アンソロジー「ずっと私たちを騙してたってこと…お前は神でもなんでもない…悪魔だ。」

神父「悪魔…人は皆そう呼ぶ…悪魔…魔物…これは全て魔神なのだよ。人の活力はエネルギーにやがてこの世界を喰らい支配する。忌々しい現存の神は我々を奈落の底へと突き落とし永遠の苦しみを与えた。今度は我々が世界を支配する番なのだと。」

ハインツの腕から赤くぐるぐると回転する物体が落ちる。

ハインツ「ふざけるな…ふざけるな…ふざけるな…そんなことでアンソロジーが傷ついた…そんなことで…」

ヘカトンケイルから無数の腕が生え、ハインツと同じくらいの大きさになる。

ハインツ「ヘカトンケイル。僕と同じことを思っているようだね。」

グギャーとヘカトンケイルは地面を揺らしながら咆哮する。

ハインツ「良いよ。2人でアンソロジーを守ろう。子供達が神や大人に支配されない誰も傷つかない世界を僕たちで作ろう。」

僕はアンソロジーを………



現在

ハインツ「死ねーーーーーーーーーーー」

ミチオ「出流ーーーーーーーー!!!」


その時、宇宙から巨大な白い棺が出流の目の前に降ってきた。


ハインツ「チィ…業火を防いだだと?コピー能力か。」


出流「ミチオ!ありがとう……ところでこれは…」

出流がミチオを見ると、彼は目を丸くして空から落ちてきた物体を見つめている。
ミチオ「……………これは……」


夜空に浮かぶ大きな光を放つ月から1人の少女がこちらを見つめている。

ツクヨミ「ミッチーがピンチなら尽くしても尽くしきれない御礼を手向けるだぎー…月影要塞アルテミス彼はどう乗りこなすかにーーーー!」

ミチオ「これは…ツクヨミ………でもなんで…僕はあの時………」


ツクヨミ「王位開戦では世話になったからに!ほんの御礼だぎゃ。あちしの祠はもういないけど…それでもミッチーあちしに勇気をくれた。現に今もなお、こうして現存してるに…ほんと感謝してるよ。」


海面を揺らぎながらその棺の扉が開き人型のロボットが姿を表した。

出流「ミチオ…これって…」

ミチオ「違う!これは僕の力じゃない!」

ミチオの髪の色が紫色に変化していく。

出流は瞬時に可逆を出した。

出流「今あいつを倒す方法…それは…」

ミチオ「待ってだめだ!それは僕の力じゃない!出流!だめだ!アルテミスに触るな!」

直人「なんだよあれ…アルテミスって…お前知ってんのか?」

ヒメノ「何あれ?えぐくない?」

茂庭「まさか…新たな敵?」

高嶺「敵?多分違うよ…だってミチオ君、髪の色紫になってるし。ミチオ君の力じゃないかな。」

ミチオ「変化?……僕の色が?紫?紫なんて今まで…」

千秋「これはミチオが使ってる力じゃないんだよね…だったら近づかない方が…」

千鶴「うん…そう思う…そう思うけど…なんだかあのロボットを見てると…少し安心する。」

みつき「正体不明ではなさそうだけど…近づくのは危ないわ…でもなんで落ちてきた時から相手の方を見て立っているのかしら…」

一同が不安と疑問に包まれる。


ハインツ「クソが…なんだあの巨神…少しも動かない…」

アンソロジー「ハインツ…私たち…逃げた方がいいかも…」

ハインツ「はぁ?何を言ってるんだアンソロジー。僕がこの戦いに勝ってあの日のことを守ると決めた。もう引き下がれないんだよ!このまま勝ち進めるしかない!現に今まで出てきたやつだって弱かったじゃないか。みんなアンソロジーを狙って、僕はそれをヘカトンケイルはそれを一撃で倒してきたんだ!」




アンソロジー「今目の前にしている彼らは一撃で倒れたかしら…」



ハインツ「なに………?」

アンソロジー「今までのは王位ではなかったのよ。現に私たちが向かった先は魔神たちが占領する孤児院だけ…以前から突然姿を表していた時の支配者って名乗るあの人も、王位開戦って言ったのよ…この言葉にあなたは疑問に思わなかったのかしら…あなたが今いる場所は魔神はいない…今いるのは目の前の王位よ。あなたと同等かそれ以上の力を持つ、拠り所。もし倒すのであれば…止めはしない…私は到底敵う相手じゃない。でも私はハインツのそばにいることができる。私の業火とハインツのヘカトンケイルで戦えるかもしれない…でもね…ハインツ…」


アンソロジーは泣き崩れた。

ハインツ「アンソロジー?!」

アンソロジー「ハインツがやろうとしていることは…多くの犠牲が出ても私を守ることなの?」


ハインツ「犠牲………違う…それは違う!」


アンソロジー「だったらなんで…こんな戦いがあるの」


その言葉に出流たちも何も言い返せる言葉は出なかった。

茂庭「王位開戦…王位同士の殺し合い…生き残ったものだけが…望みを叶えられる…でもこれって…」

ヒメノ「なーんか臭くない?」

直人「あぁ…なーんか臭すぎるぜ。」

出流「殺し合い?望みが叶う?」

ミチオがガックリとそのばに膝から崩れ落ちる。

ミチオ「いっつも…王位ばっかり…」

出流「ミチオ?いっつもって…」

ミチオ「出流…ごめんね…」

みつき「ミチオ!それ以上話しちゃだめ!」

ミチオ「なんだ…先生もわかっていたのか…二千年続くこの戦いのこと…」

千秋「えっ…何…」

千鶴「う〜〜…ミチオ…やめておけ…」


ミチオ「僕は今までずっと戦ってきた…何度も時を超え、ある時は重ねながら自分の存在を残すためだけに…神がこんなにいるんだ…君たちなら僕の言ってることが理解できるだろう。」

出流「ミチオ…ミチオは……」

ミチオ「あぁ…僕の大切な祠は君だけじゃなかったってことさ」

出流「…………」

みつきがミチオの頬を叩きミチオは砂浜に叩きつけられた。

出流「なら…あの時の…出会いは」

ミチオ「過去に敗れた場所さ…そこの動物霊の狐に化けたよ。」

出流「ならカレーは」

ミチオ「確かに食わされたことはなかった。」

出流「カードゲームは」

ミチオ「前の祠が達者でね。」

出流「じ…うう………」

ミチオ「君みたいに甘い人間は初めてだよ。みんな恐怖と苦痛を受けて育ってきた。本来ならばこんな馴れ初めもない…ほら、早くあいつを殺せよ。」


出流「ううぅ…ミ……ミチ……」

直人がミチオの胸ぐらを掴み何度も殴る。

直人「お前がそんなんでどうする!お前がよーーー」

ヒメノ「なーたん」

茂庭「待って…みんな…落ち着いて…」


ハインツ「まさか…君たちも……俺も…」


アンソロジー「そうよ…」

千秋「ちょっと何これ…千鶴!わかってるなら話してよ!」

千鶴「うー…王位は…宿命…ミチオも悪いわけじゃない…本当に…死んじゃうから…我はまだ日が浅いから少し体験したくらいだけど…なんというか…残虐…本当の殺し合いだからのぅ下位とか上位はただそれを見てるだけ…というか…本来であれば王位開戦に向けて王位の力に有利な人選を組んでチームを組むのが主流…じゃから主たちはまだ戦うのは早い。もう遅いかもしれないけど…ハインツはまずは仲間を揃えないと」

ハインツ「僕の味方はアンソロジーだけだ!」

千鶴が大蛇となりヘカトンケイルの足にまとわりつき体制を崩す。
千鶴「じゃから主のような小童は即死。ここはお互いに引くのが良いと思うておる。足が弱点なのはわかっておる!」

ハインツ「ヘカトンケイル…」


あたりに沈黙が続き…1人の男がそれを破る。



出流「…俺に…もう2度とそんなことは言わないでくれ……その言葉を聞いて…俺がどうなるかお前は考えたのか…その言葉にお前はどれだけの重みがあるかわかっているのか…………なぁ…ミチオ………」

ボロボロと涙をこぼしながらハインツに背を向けてミチオを睨みつける。


出流「お前はわかってない…あの日…初めて助けてくれた時にお前は言った。覚えてるか…」


辺りは静けさを保っている。

ミチオ「さぁ…なんと言ったか…ハハハ…出流?」




出流「お前は言ったんだ。千鶴や解離と会った時からずっと思っていたことがあるんだ。」

茂庭「……………」




出流「お前はあの時…こう言った。」





"僕の拠り所に手を出すな"



出流の可逆が紫色に輝き回転をます。


出流「本来は俺は祠のはずだ…」


ミチオ「バカか…ただの言い間違いさ…」



白い巨神がゴゴゴと音をあげて立ち上がる。


出流「アビリティ…エリグモス…」


ハインツ「コピー能力?僕の力?」


出流「…出流………アルテミス」


出流がロボットの胸の辺りにある水晶体から解き放たれた光に取り込まれその中へと吸い込まれていく。


そのロボットは腕をしなやかに振り、まるで人間かのように動き始める。


出流「ミチオ…お前が俺の腕を吹き飛ばしたな…」

あぁそうさとミチオは笑う。

直人「何?」

茂庭「…」

高嶺「…」

千秋「なんでこうなるの…」

千鶴「ミチオのあほぅ」

ハインツ「どういう状況なんだよこれ…仲間割れか?」

アンソロジー「だめ…今は彼らを刺激しないで…あのアルテミスっていう巨神…間違いなくヘカトンケイルより強い…」


みつき「お願いだから…もうやめて…今はその時じゃないでしょ…あーんもう…ハインツ君って言ったっけ?」

ハインツ「は……はい…」

みつき「こんな時にごめんなさい…あの2人を止めてくれないかしら…」


ハインツ「バカなのかぁーーーーーーーーー第一に!僕は彼らを殺しにきているんだぞ!その覚悟を持って……覚悟……ん?そもそも願いを叶えるのにどうして戦う必要があるんだ?」

アンソロジー「それな…あくまで形式上だから…リミットはあるけど…」

出流「ごめん…傷つける気は……ある…ミチオ…今までのは茶番か?」

ミチオ「好きに思えばいいさ。」


出流「そうか…なら…」


アルテミスが大きな拳をミチオに向けるとその拳はミチオの寸前で止まった。

ミチオ「僕に攻撃する?ハハハ!出流!本気かい?」


出流「…天明変幻…攻撃が当たらない…もういい加減にしてくれ…」

ハインツ「だめだ!仲間割れは良くない!」

直人「なーんでお前が止めに入るんだよ!」

ハインツ「だって…僕たちを見ているようで…なんか…苦しくて…」




茂庭「何か…おかしい…」

高嶺「一葉?」

千鶴「おかしい…確かにおかしい…」

直人「あぁ…あいつらはバカだぜほんと…ハインツといい、ミチオといい」

ハインツ「僕も?いや違うおかしいのはあいつだ!」

ハインツがミチオを指差すとハインツの指の先から炎が出た。

ハインツ「アッツ〜…アンソロジー!ふざけるな!」

アンソロジー「私じゃない…他人の指から炎なんて…出せない。」


ハインツ「じゃぁ…これは…」


みつき「なんで今まで気づかなかったのかしら…ミチオ君があんなこと…それに彼は………」


ミチオが涙を流すもその涙は枯れまるでその場面を切り取っているかのようになくなっていた。


ミチオ「出流!お前なんてもう」

出流「ふざけるな…クソーーーーーーーーー」


その時、屋敷から傷だらけの姿で姫花がこちらに向かって叫んだ。


姫花「皆さん!逃げてーーーーーーーーーーー」



茂庭「姫花…はっ」

茂庭は自分の肩を誰かに叩かれた。


?「魍魎道…幻影暗盗…」


茂庭「何…」

茂庭の後ろに今まで彼が出していたものとは比べ物にならない闇が現れた。

茂庭「魍魎道?……………」

その闇の中から1人の男と鬼神が出てくる。

他の鬼たちはコソコソと茂庭のそばに寄り皆申し訳なさそうに肩を落としながら闇の中へと去っていく。

?「へーぇ…こいつらがそうか。閻魔?どうこいつら。」

閻魔「ブルルルァァァァァァ…ブルルァカにするなよ…たかだか狐と石の分際でワルルルレェェに勝つるはずがない。」

茂庭「なんだ…こいつは…魍魎道を開いた?…」


自分の倍ほどある閻魔を見つめ茂庭は動けないで固まっていた。
閻魔は一瞬茂庭を見たのちにそのまま視線をまっすぐ戻して歩っていく。

茂庭はあまりの威圧と恐怖に尻もちをつく。

高嶺「何これ…茂庭の魍魎道じゃないってこと…勝手に開かれた…じゃぁ…千里眼が……直人さん!」

直人「茂庭!お前が出したのか?」

茂庭はその返答をすることができなかった。

?「ウジが騒いでる…閻魔、あいつうざい。」

直人「ちげーのかよ…そんなら敵だな!あいつは!ヒメノ!人神一血だぁ!」

ヒメノ「なーたん!了解!」

高嶺「だめ!相手の思う壺だわ!」

全身から煙を吐きながら目にも止まらぬスピードで直人は閻魔に殴りかかる。


閻魔「無無無無(ブブブム)」


直人とヒメノの人神一血が解け2人は地面に落ちる。

直人「うぇ?あーーーーあーーー」

ヒメノ「なーたん!」


落ちる寸前のところでヒメノが直人を抱えた。

直人「ありがと…ヒメノ…でもなんで…」

ヒメノ「なーたん………」


直人がヒメノを見つめるとヒメノは涙を流していた。


ヒメノ「ごめんね…なーたん…」

ヒメノの身体はだんだん薄くなっていく。

直人「ヒメノ…………おぃ…ヒメノ…なんで…なんで」

ヒメノ「多分あいつの力かな…わかんねー!」

ヒメノの輪郭を直人が撫でるとその指先の感覚がどんどんなくなっていくことに気がつき直人はあの日のことを思い出して泣いた。

直人「だめだ…消えるな…ヒメノ…だめだって…」

2人の目の前に黒髪を潮風に靡かせた男が立ちはだかる。

?「ん?ヒトガミ?あー血縁か…んーとそれに八岐大蛇…稲荷大名神…カイロスの末裔と、異形交流マニアの変人…巨神使いに…………あーあとは…まじかよーーーーーー神の使いがいるじゃん!」


直人「てめーがやったのか…てめーがヒメノを…」


?「あーー誰君…めんどくさ」

直人「舐めんじゃねーぞガキがーーーーー!」

直人が拳を振るうと彼は顔の目の前でその拳を交わし、直人の体制を崩した。


ヒメノ「なーたん…だめ…」


彼はヒメノを見て不気味な笑顔を浮かべた。

?「あーそうか…閻魔の…あれー?王位なのに消えちゃうんだーーー雑魚ーーーーあっ間違えた、王位もどきかー」


消えかかるヒメノを見て直人がヒメノの元へと戻ろうとした時、?から殴られその場に体制をぐずしたが両腕でヒメノの元へ歩み寄る。

直人「ごめんな…まじで消えちまうのか…」

ヒメノ「わかんない…でもねなーたん、あの時ああいうふうな結果になってよかったなって思うの。本当はね、もっともっと前に死のうかなって思ってたから。」

直人「ヒメノ…」

ヒメノ「あはは…ウケる…そういうことしようとしたらさ、全部直人が止めてくれるんだもん。偶然いたり、ばったり会ったり…時には好きすぎて追いかけちゃいましたーなんて言ったりしてさ!」

直人「…………」

ヒメノ「そんな私のこと気にかけてくれる王子様なんて好きにならないわけないじゃない!たとえこの身体無くなったとしてもね!だからねなーたん…本当はずっと前からもうこの世にいないはずだったの。なーたんの気持ちが私となーたんを繋げたんだよ。」


直人はボロボロと涙をこぼしてもう触っても感覚がないヒメノを抱きしめる。

ヒメノ「じゃぁ…そろそろ時間だから……」

直人「やめろ…だめだ!嫌だ…」

ヒメノ「さようなら…」


ヒメノの身体は完全に見えなくなった。


直人「ヒメノ…ヒメノーーーーーーーーーーーーー」


その時突如アルテミスの口から大量の血が流れ出た。


ヒメノ「えっ……嘘…」


直人「はっ………」


アルテミスが体制を崩しそうになるところをヘカトンケイルが支えた。

ハインツ「おいおい…大丈夫…かよ…」


出流「全適応…オールマイティ………運天………ぐぇぇ…腹が…いてぇ…でも…今はヒメノさんを救うことが大切………ほらなミチオ…俺も神の力使えんだろーが………」


千鶴「出流が運天?人間にはどれほどの負荷がかかると思うておる…」

ヒメノ「うちの身体が…戻って…出流?…」

直人「ヒメノ!」


千秋「出流!聞こえてる?出流?」

千秋もその場に泣き崩れた。

千秋「千鶴には散々使うなとか言っといて…あんたがやるのなんてルール違反だよ…ってか…そもそもだめ…出流だめだってば…」


?「ほう…面白いものを見せてくれるじゃないか。」


出流「今は優先すべきことを選択したまでだ。」

ヘカトンケイルの腕の元で微動だにしないアルテミスのその姿にミチオは呆然と立ち尽くす。

ミチオ「ぐ…っ…………」


ミチオが胸を押さえながら倒れ込む。


閻魔「ブルルルルルァ…亜門の力を受けてまだ抵抗するか〜」


?(亜門)「うわー…変化しようとしてる…この力に抗ってくるなんて、面白いなーーーーー」


ミチオ「僕が…出流を…助けないと…アホめ!僕があんなやつのこと?……違う…僕が…僕だけが……あんなやつ死ねばいいんだよ!違う!…僕が決めたんだ…あの日君を守ると………」


ハインツ「ヘカトンケイル!あいつを捕まえろ!」

ヘカトンケイルから分裂していた腕が一斉にミチオの方へと向きを変えた。


千秋「えっ…助けるんじゃないの?」

亜門「敵か味方かもわからない状況で何甘えたこと言ってるんだこいつらは!」



ハインツ「くらえーーーーーーーー」


ヘカトンケイル腕は辺りには見えない何重にも重なる壁を殴り続ける。


亜門「幻影暗盗を砕くか…そうかぁ〜アハハハハハ」


ハインツ「目を覚ませ!お前の1番大切な祠のために!」


ヘカトンケイルがその壁をぶち破り青い閃光を放ちながらミチオに向かって飛んでいく。

アンソロジー「あの光は…」

ハインツ「そうさ…あの光はあの日俺を治してくれた光…体から意識まで何もなかったようにする力だ!」


ミチオ「この光は…………まさか君が。」


ハインツ「ただしこの光は記憶と感情は消せない。」

ミチオ「今まで僕は出流に。……そんなこと一度だって思ったことないのに…… 」

ミチオの意識がヘカトンケイルの腕をつたって戻っていく。


閻魔「笑わせるなよ…小僧どもが…」

茂庭「っ…………」

閻魔「無無無無!!!!!」

ヘカトンケイルの動きが停止し、その場に崩れ落ちる。

ハインツ「何…………アビリティ!エリグモス!ハインツ!ヘカトンケイル!あれ…おかしい…エリグモス!ヘカトンケイル!」

ハインツ「なんで…どうして…………」

ヘカトンケイルは微動だにせずその場に倒れたまま沈黙している。

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