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DX化・IT導入について考えてみた|中小企業診断士

2024年7月9日から開催の「ITmedia デジタル戦略EXPO」の一日目を視聴しました。

<視聴した対談・講演>

●識学・安藤広大氏に問う DX推進を導く「リーダーの役割」
(株)識学 代表取締役社長 安藤 広大 氏

●経営者がITを武器にする ~3つの原則~
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(株)
COO 白川 克 氏

この2コマを視聴して、
IT導入、DX化で成功するにはただただITの知識だけではなくて、

「そもそもなぜIT導入するか?の重要性」
「経営層・組織の重要性」
「業務プロセスを把握する重要性」

などを再確認したり、気付きを得たり、とても勉強になりました。

強く感じたのは、

「どのITツールを導入しよう云々の前に
 【課題の明確化】→【明確な目標設定】
 は必須」

ということです。

私が感じた事などを備忘の意味を含め記載しますが、
経営層の方、中小企業診断士の方、などはお時間ございましたら、
上記2コマをご視聴してみてはいかがでしょうか?
良い気付きを得るきっかけになるかもしれません。


1.そもそもDXとは何か?

そもそも、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何でしょうか?

経済産業省は以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

このように、ただ単にITを導入するということが目的ではなくて、
「ビジネスモデル変革・業務プロセスの変革によって【競争上の優位性を確立すること】」
が目的になります。

2.世の中の企業はDX化が上手くいっているのか?

それでは、世の中の企業はDX化が上手くいっているのでしょうか?

個人的には上手くいっているケースと上手くいっていないケースの両方だと思っています。

私はお客様とお話ししている時に「ITは道具・ツール」という表現をよく使います。
ただ、白川さんの講演の中で
「道具としてのIT、という表現は半分正解。但し、ITには【プラントとしてのIT】という面もある。」
というお言葉はとても勉強になりました。

【道具としてのIT】
電動ドリルのように道具のイメージ。
ITで言えば、メールソフト・チャットツール・PC・サーバ、など交換可能。
お金をだせばすぐに手に入るもの。
なので導入自体も難しくない。

一方、プラントとしてのITとは?

【プラントとしてのIT】
石油コンビナートのような、人の血管のような内部構造のような、
「ある目的のために色々な要素が複雑にかみあわさってトータルで価値を作るもの」。
装置の流れ=仕事の流れ。
どこにも売っていない。交換不可能。
ITの中で、例えば営業関連のシステム、
商談依頼→見積依頼→見積作成→見積管理→受発注管理→売掛管理
のように営業の一連の流れをシステム化したようなもの。
このようなシステムでは、パッケージソフトで販売しているものもあれば、
スクラッチ(自社用に一からシステム(ソフト)を作る)もあります。

この「プラントとしてのIT」の場合、導入の難易度は上がってくると思います。

(1)DX化が上手くいっていないケース

この「道具としてのIT」と「プラントとしてのIT」の視点を持つと、DX化が上手くいってないケースも少しイメージしやすくなると思います。

DX化が上手くいっていないケースとして、例えば、昔はやった「ERPパッケージを導入してベストプラクティス!」の言葉でERPパッケージを導入したけど、上手くいかないケースが多々あったのと同じようなイメージをもっています。

上手くいかない理由として以下の内容などが挙げられると思います。

・導入前の自社の業務プロセスをしっかりと把握していない
・導入前の自社の経営/業務の課題を把握していない
・課題を把握していないので、システム導入の目的・なりたい姿(導入後の姿)の定義もあやふや

この状態のままシステム導入を進めてしまい、
「ITツールを導入することが目的になってしまい、DX化(変革によって競争上の優位性を確立する)ができない」
「そもそもなんでIT導入しようと思ったんだっけ?」
ということになってしまうケースが多いと感じています。

(2)DX化が上手くいっているケース

一方、DX化が上手くいっているケースはあるのでしょうか?

自分が最近感じたのは、引っ越し屋さんの営業がもっているタブレットです。昨年、引っ越しの為に何社か引っ越し屋さんに見積もりを頂きました。

その中の一社の営業さんは、うちに来てざっくりの荷物をみてもらったら、
その場ですぐにタブレットに荷物量を入力、概算費用をすぐにだしてくれるとともに、本社のシステムと連携して人員・トラックの空き状況を確認して、引越対応可能な日時候補をその場で提示してくれました。

これによって、以下のような優位性の確立ができると思います。
・営業さんの効率向上
・本社の事務さんも効率向上
・正確な情報を即答することによる顧客満足度向上

私がシステム導入を担当したわけではないので詳細は分からなくて申し訳ないですが、しっかりと業務プロセスを把握した上で、目的(従業員の効率向上・顧客満足度向上)を達して競争上の優位性を確立できているのではないでしょうか?

3.どうすればDX化が上手くいくのか?

では、どうすればDX化が上手くいくのでしょうか?

(1)目的を明確にすることが大事

これについては講演の中で白川さんがおっしゃられていたように、まず、IT導入を目的にするのではなく、【そもそも何をしたいのか?なんで欲しいのか?】という目的を明確にするべきだと思います。

その目的を明確にする為には経営上の課題を明確にするべきです。
その課題については具体的なレベルまで考えることが必要だと思います。
例えば、
・営業の日々の訪問件数を○件→○件まで増加したい
・社内事務の効率化、残業時間を○時間まで減らしたい
など。

先程の引っ越し屋さんの例で言えば、
システム化によって営業さんの効率向上して訪問件数を増加することができるかもしれませんし、本社の事務さんが介在せずに空き状況を確認できることで事務の効率化・残業時間削減、につながるかもしれません。

(2)社内の組織・体制をしっかりと整えることが大事

また、上述のように目的を明確化させる為には、現在の経営上の課題や業務プロセスを明確にすること、が非常に重要になります。

その為には社内の【IT部門】だけではなく、【経営層】と【業務部門】の関与は必須になります。

DX化の為には【IT部門】だけに任せるのではなく、【経営層】【業務部門】【IT部門】の体制構築が非常に重要になると思います。

【業務部門】と【IT部門】は同列の立ち位置になるので、その辺りを調整する【プロジェクトリーダー】の存在も必須になると思います。

また、業務部門やIT部門などどうしても個々の利益・部署の利益にとらわれがちになってしまうので、【経営層】がしっかりと舵取りをする、プロジェクトリーダーに最大限の責任を与えて養護することもとても重要になると思います。

「目的を明確にすること」
「社内の組織・体制をしっかりと整えること」

の2点を強く意識することで、DX化が上手くいく可能性は高まると思います。

4.中小企業診断士として何をするべきか?

ここまでDX化について書いてきましたが、では中小企業診断士として何をするべきか?ですが、それぞれの方の経験・スキル、やお客様企業の規模によっても異なってくると思います。

IT関連企業で技術部門にいてITスキルが高い社内診断士の方であれば、お客様企業の【プロジェクトリーダー】と一緒に動くようなコンサル的な立ち位置を目指すのもありかな?と思います。

ITの知識・スキルもある独立診断士の方であれば、お客様企業の経営診断を通じて課題を明確化、投資できるお金・人員など経営層と話をして、自分が【プロジェクトリーダー】としてIT部門やIT企業との間にはいって推進していくのもありかな?と思います。

また、ITの知識・スキルのない診断士の方でも、経営診断・経営課題を明確化するという一番大事な部分でDX化に携わることはできると思います。

自分の過去の経験では、製造業の企業様の経営診断をさせて頂いた際、お客様と銀行さんからの「ITの課題について考えて欲しい」というご要望を頂き、製造工程の流れ図を作成して、それぞれのポイントの課題・改善案を優先順位をつけてご提案させて頂き、お客様と銀行さんに今後の経営課題として取り上げて頂けたケースがあります。

お客様の業務工程の流れ図を作成して気になる点をお客様と議論する、ということであれば深いIT知識がなくても取り組むことが出来るのではないでしょうか?

何れにしても、どのITツールを導入しよう云々の前に

【課題の明確化】→【明確な目標設定】

は必須だと思いますので、そこをしっかりと考えていけば、お客様企業のお役に立てる様々な可能性はあると思います。

それでは、駄文長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

IT、DX、何か難しい、、、というイメージを抱かれている方に少しでも参考にして頂ければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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