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チャーハン1000円って高い? 普通?

極上チャー王セット チャーハン王@新橋

 20年前は新橋で働いていた。新橋はサラリーマンにうってつけな美味しいランチの宝庫。街全体に充実している。そこそこ新橋界隈のお店は食べ歩いたと思うけど、ひさびさに訪れたら知らない店がいっぱいだ。今やどの町へ行ってもお店の移り変わりが激しい。だからこそ変わらない店ってすごいよねってことで、ニュー新橋ビルでも行ってみようという気になった。
 ここは昔から変わらないお店が立ち並んでいる、と入ってみてたら、だいぶ変わっちゃっていた…。
 その一つがチャーハン王というお店。しかも人気店で昼時は並んでいるらしい。僕はタイミング良くすんなり入れた。ラッキー。

 嘘でしょ。

 メニューを見て思った。
 チャーハンしかないのは専門店らしくて素敵だけど、チャーハンがなんと1000円もする。ホテルの中華かよ、とツッコみたくなる思いを抑えて唯一のメニューである極上チャー王セットを注文する。まあ今時ラーメンも1000円オーバーは当たり前になっているし、チャーハンもそういう流れなのかもね。

 最初に旨み凝縮の鶏スープが出てきた。小さな湯呑みくらいのスープカップに白濁の鶏スープが入っている。しかしカップの6割程度しか注がれていない。
 まじ?
 しかもスープのおかわりは200円するようだ…。まさかのぼったくり店か? とツッコみたくなるが、それもおさえてスープを一口すする。

 嘘でしょ。

 激うま!
 チャーハンについてくるスープなんて、たいていラーメンのスープを薄めた感じのものばっかりだけど、ここのは全然違う。博多水炊き鍋の〆のスープかっていうくらい美味しい。やばい、いきなりお会計が1200円に跳ね上がるが、これはおかわりしてしまう。もしかしたら1400円かも。チャーハン専門店でラーメンがないかわりに、それに匹敵するくらいのスープを用意しているのだろうか? チャーハンに1000円は高いなーなんてナメた態度をとってしまっていたけど、身を引き締めなければ。相手は本物っぽい。姿勢を正して向き合う必要があるとスープが教えてくれた。

 そしてついに、極上チャー王が着丼した。
 見た目は、綺麗なチャーハン。いろいろ具材入ってる感じだけど、まあ、その、割と普通のチャーハンだよね。
 匂いは良い。とりあえず食べてみよう。

 うん、美味しい。油にコクがあるって感じるチャーハンってあんまり食べたことないかも。上質なラードなのか? なんか不思議な感じ。
 あと、チャーハンってレンゲがついてくるところがほとんどだけど、普通のカレースプーンみたいなので食べる。冷たい舌触りになってしまわないように、鶏スープにスプーンをつけてから食べると良い。レンゲよりとても食べやすい。レンゲだと最後の一杯がうまくすくえなくて、指で押さえながら無理矢理すくう感じになっちゃうでしょ。これなら普通にすくえるので、ストレス少なくていいよね。なんてどうでも良いことを思ったけど、飲食店を営む上で、こういうのも大事なんだなと改めて思う。チャーハン自体もパラパラだし、味もかなり美味しい。

 さらに、チャー王の食べ方がメニューに書いてあった。

・初めはそのまま食べる。
・半分まではスープと一緒に食べる。
・特製タレ(酢醤油)をひと回しかけて食べる。ラー油+特製タレもオススメ
・特製タレ付きチャーハンをスープと一緒に食べる。

 とのことだ。
 確かに酢醤油かけるとまたさっぱりするし、ラー油もちょっと辛くなって味変して楽しい。さすが専門店だなと思わせてくれる。

 …のだが、量もそんなに多くないし、食べた後にちょっと物足りなさを感じてしまった。また、正直、酢醤油をかけるより、チャーハンそのままやスープそのままの方が僕の好みっていうこともあり、全体にかけなければ良かったかもと反省した。あと、ちゃんとパラパラなチャーハンすぎて、レンゲじゃなくスプーンでも最後に掬い取る時には同じ努力が必要だった。

 スープもチャーハンも美味しいのは美味しい。ただ、チャーハン自体、いわゆる心躍るほどの感動があるかと言われると、そんなに味覚が優れているわけではない僕にはなんとも言えない感じだった。
 で、ボリュームがあるわけでもないし…(一般的なチャーハンと同じくらい)。
 結果としては、満足度と値段がつりあってないかなぁという感想。いや、ほんと旨いっちゃあ、旨いんだけど…。なんだろうなぁ。

 チャーハンの1000円の壁は、まだ大きいということなのだろうか?


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