コメントへの返信についての基本的な考え

さて先日の記事「何度書いても伝わらないこと」についたコメントを基点にちょっとコメント欄でのコミュニケーションの考え方について触れて置こうと思います。

ITmedia ビジネスオンライン日経ビジネス電子版など、コメント欄のある記事には、賛否両論を多々いただきます。またこれらの記事もその他の記事も多くはYahooニュースに転載されて、そこにもコメントが付きます。ですが、筆者はそれらにコメントを返さないルールを自分に課しています。

一応プロである筆者は、書くのであれば読者全体に向けた記事を書くべきだと思っているからで、コメントのひとりひとりに時間をかけて反論して、消耗した結果、連載記事を休載するようなことになるのは本末転倒だからです。それよりなにより、基本に立ち返れば、同じキーボードを叩くなら、記事を待っていて下さる人たちに新しいコンテンツを届ける方が遙かに大事だからです。

しかしながら、思わず突っ込まずににはいられない反対意見や、中には筆者が立腹する様な書き込みも当然あります。そういうものに腹膨るる思いを堪えて、というか、ばねにして8年書いて来たわけですが、やっぱり言われっぱなしで反論の手段がないことは、精神衛生上よろしくないので、それをnoteで解決しようとしたのが、ご覧のこのページです。

コメント欄への返信ではなく、このnoteで記事化してしまう。そうすることによって、他の読者に取ってもコンテンツとなりますし、書き方についても多くの方に読んでいただける妥当な範囲に収まります。エキサイトした論争の挙げ句、馬鹿馬鹿しくなって打ち切って「逃げた」のなんのと言われることもありません。

メンションを切って飛んでくるものに絶対反応しないと決めて、唯一の出口をコメント欄とフェイズの違う場所にすることにしたのでした。であれば、そもそも誰のどのコメントに返信するのかは筆者の自由意志で選ぶことが出来ますし、永遠にラリーが続く心配もありません。

ということなので、コメント欄へのレスは基本しないのですが、「何度書いても伝わらないこと」に、たまたま過去記事を案内すれば簡単に済む質問があり、さすがにそれはわざわざ1コンテンツに仕立てるまでもないですし、かと言って本当に疑問に思っていることが伝わってくる文章だったので、初の例外事項として、参照先リンクを紹介する返答をしたのでした。

ところがそれを見たと思しき他の方から、以下のような書き込みがありました。

2021/03/24 15:16
2点、疑問を抱きました。
「教徒」の「一部」ということは、ごく一部なのですよね。どうしてそれを殊更に取り上げるのですか。「vs.極論」の形だと論を構成しやすいからですか。
もうひとつ、私は、全廃論的な主張をしている人を、偏りの強そうなコミュニティを含め見たことがないのですが、本当にそういう人がいるのですか。

さて、面倒なことになったなぁと。まあ普通に読む限り好意的な書き込みとは受け取れません。一応文章を書いて生計を立てて(まあ食えるのは副業あってのものですが)いる身としては、サブコンテクストにそういう要素が入っていることは明確にわかるわけですよ。だから本当はスルーしたい。ただ成り行き上、2人のうち1人だけにレスを付けて、直後のもうひとりは放置というのも気に入らない性分です。

なのでそれをひとつの機会としてここでコメントの基本方針と合わせて書くことにしたわけです。

さて
>「教徒」の「一部」ということは、ごく一部なのですよね。
日本語では「一部」と「ごく一部」は意味が違います。0%と100%を除外した全てが一部です。こうやって自分で勝手に議論する相手の「論」をねじ曲げて再定義する不正な議論方法をストローマン手法と呼びます。それ以上の説明は多分要らないでしょう。wikipediaのリンクは張っておきますので、もしご存じない方はご参照下さい。

>私は、全廃論的な主張をしている人を、偏りの強そうなコミュニティを含め見たことがないのですが、本当にそういう人がいるのですか。
これも質が悪いですね。「全廃論」は再びストローマン。「内燃機関の開発なんて即刻やめろ」とか、「水素なんて未来がないので、開発リソースも補助金も全部EVに集中しろ」と主張する人はいくらでもいますが、それが具体的などこのどのコメントと言えば、そこで挙げられた元々意見が対立的な人の反感を買うことは必至で、この人の疑問を解くためにわざわざ敵を増やすリスクを冒す意味がありません。

上に張った連載リンクのコメント欄でレスが伸びているところをご覧になれば理解する気があるなら理解できます。ありがたいことに愛読者の方々は筆者の考え方はもう予め理解していて、筆者に成り代わって反論していただけるので、安心して見ていられます。そんな訳でそういうEV真理教と思しき人の書き込みのレスは伸びるのですね。

また「プロと素人」に書きこまれたコメントを見れば、読者の一部の方がそういうものにどれだけうんざりされているかは読み取れると思います。

ということで、主題は実は、池田はこのnoteで何をしているのかということでありました。あ、でもそれも一部(笑)だなぁ。

もう少し書きます。えーと例えば「真剣にヤバい日本経済の行方」なんかは、色んな情報が流れ込んできて、それがパズルとしてつながり始めた段階で、思考の整理というか、メモを書きながら考えるようなつもりで書いたものです。読者の中にはそれを言い当てている人がいて心から感心しましたが、まあそういう媒体向けの商品原稿のためのβ版みたいな意味でも使っております。

それから媒体向けコンテンツとしては向かない書き手としての方針や原則みたいなものは多分ここにしか書けないし、ここでしか読めないものになるでしょう。それはある種のメイキングコンテンツみたいなものですね。

あとはたまにサービスとして、これお金もらえるトコに出した方がいいよなぁみたいなのも混ぜ込んでいます。これは読んでいただいている方々への感謝の気持ちですかね。そもそもここへ来る方のほとんどは連載記事も読んでいただけているでしょうし。

ということで、まあ終わりにちょっと告知です。雑誌Wedgeから執筆依頼があって、ガソリン問題について結構ヘビーなヤツをここ2日くらいで書きます。要するに締め切りなわけですね。多分発売は4月20日。遅れてかもしれませんがweb版にも載るでしょう。

それと旧知の人に頼まれて、あらたに週刊連載を頑張ることになった媒体もあります。グーネットマガジンです。こっちはもう原稿を渡してありますが、掲載は月が明けてからでしょうねぇ。

お気持ちの投げ銭場所です。払っても良いなという人だけ、ご無理のない範囲でお使いください。