見出し画像

【臨床日記】脚長差からのPF障害

外科医から手術を告げられていらっしゃった方です。遺伝性の関節のルーズがあるから手術しかないと。

みさせて頂いたところ9ミリの脚長差がありました。脚長差の中ではかなり高い方です。

痛いのは左で、見ると膝に伸展制限(屈曲拘縮)がありました。短いのは右なので、長さを補填するために左膝を曲げて対応していたのです。ですから立位で骨盤の高さには差がありませんでした。上手に代償されていたんですね。本人も気づいていませんでした。

PF障害というのは、膝蓋骨と大腿骨の関節で、膝が曲がると膝蓋骨への圧力が高くなるので症状が出ます。崩壊のメカニズムも同じです。また、外側に膝蓋骨がずれていましたが、それは膝が内側に入って相対的に大腿四頭筋が外側へ膝蓋骨を引っ張るのでそのような傾向になります。

つまり、左膝の症状の原因は全て脚長差で説明がつくということです。遺伝で起こっているならばなぜ右はなんともないのでしょうか?ご本人も医師の説明に納得がいかないのでいらっしゃいました。

なぜ、病院ではこういうアセスメントをしないのでしょうか?理学療法士がしっかりとチェックすれば分かることです。なぜ医師は医師のみで結論を出すのでしょうか?手術したら後戻りできません。この方の場合、脚長差は手術しても変わりませんから、後遺症が出たかもしれないですね。

ちなみにヒアルロン酸注射をされて、注射前よりも痛くなったとのことです。

ご本人の歩行動画をスクショしました。

こちらは自然な歩行です。

PF障害.002

左膝が内側に入っているのが分かります。また右は骨盤が平行で、左は骨盤が傾いています。右脚が短く、左が高いということが示唆されます。

こちらは右に9ミリ補高した歩きです。

PF障害.001

左の膝の内側への入りが軽減し、骨盤は右でも傾くようになり左右差が是正されています。

補高しただけです。

原因がわかればアプローチは単純です。これだけでいいのです。そしてこうすることで徐々に左膝は伸びてくるでしょう。

外科医の診断と処方はヒアルロン酸と手術です。もちろん、保存療法でも痛みが取れないということであり、間違いなく手術で良くなるなら致し方ないでしょう。でも手術でも完全に治るとはいえないと言われたそうです。???。それは納得できないですよね。

つまりは、原因は遺伝意外分からないから、痛いなら手術するけど保証はないよというわけです。これが残念ながら今の現状です。

僕は、クリニックなどでもっと普通なアセスメントを理学療法士が行って、医師が判断する材料をもっと増やせばいいだけだと思っています。手術を進めた医師も悪気があるわけではなく、脚長差の影響を知らないだけなのです。膝の伸展制限を見逃しただけなのです。歩行分析ができなかっただけなのです。

であれば、理学療法士ともっと連携すればいいのです。医師が全て行う必要はありません。理学的検査は理学療法士にさせればいいのです。

でも、残念ながら理学療法士を信頼している外科医は少ないでしょう。薬と同じく、処方したことをそのままやらせればいいと思っている医師が多いでしょう。実際、そういう関係のクリニックがほとんどでしょう。

そういう環境では理学療法士も自ら考えることをやめ、言われたことを漫然とこなす機械のような人も多いです。本当はもっと可能性があるのに。もっと国民に還元できるのに、、、。

残念です。

僕は、当たり前のことをしているだけです。特別なことはしていません。怪しくもないし、しっかりとインフォームドコンセントをしています。この方も納得されていました。医師の説明には納得できなかったのに、、、。

僕の夢は病院を作ること。そこで当たり前の理学療法を、当たり前の整形外科医との連携を、患者さんの当たり前の権利として提供したいですね。

もちろん研究もして、こういう骨格特性を評価することの意義も文献レベルで啓蒙したいですね。時間と余裕があれば、、、。誰か研究してくれないかなぁ、、、。

よろしければサポートをお願いします。私自身ではまだまだ微力です。当たり前の選択や情報を得ることができていない方々に、予防医学の視点で、知らなかったことで損した方を少しでも減らすよう、有益な情報を発信していきます。皆様の応援を励みに、より精進して行きます。応援ありがとうございます。