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側弯症はエクササイズよりも習慣が大切

今回も側弯症のお子さんをパーソナルトレーニングで拝見しました。親御さんはとても熱心で、こちらの話をしっかりと聞いて頂きました。

そこでも伝えたことですが、とても大事なことなので、noteでも覚書として、また側弯症で悩まれている方がいればその一助になればと書き残します。

【側弯症を改善させる大切なコンセプト】

側弯症の詳細については、概要から具体的なエクササイズまでまとめた「側弯トレーニング手帳」をご覧下さい。

ここでは、側弯症を改善させるために、大切なコンセプトを強調してお伝えします。

側弯症は背骨が、捻れながら横に曲がる疾患です。遺伝性をベースとする特発性側弯症と、様々な疾患に対して二次的に起こる側弯症、そして骨そのものではなく姿勢として起こる機能的側弯症があります。

どんな側弯症であっても、重力の影響を受けていることは間違いありません。なぜなら四足動物に側弯症が発生しないからです。

二足である鳥は、実験で側弯症が起こることが分かっています。

人は重力というストレスの中で、脊柱を逆らうようにして伸ばして姿勢を保持する特徴的な哺乳類です。

重力は鉛直線に沿って体を潰そうとしていつもストレスをかけ続けています。そして、そのストレスによって、椎体は傾き、同時に椎間板は片側が圧迫され、中心にある髄核は離開側に移動します。この左右非対称な位置関係が固定化されることによって、徐々に椎間板の変性骨の変形が起こってきます。

何よりも重要なのは、圧迫による髄核の偏位を修正することです。

そのためには、凹側を拡張して、圧縮力を除去することです。

【病院では背骨しか見てくれない】

残念ながら病院では、背骨の形状しか見てくれません。

レントゲンやMRIなどの画像情報に重きを置き、歩きによるメカニカルストレスや、生活習慣については関心を示しません。

側弯症という病気は、遺伝性で原因不明で手術以外に何もすることはないという、ある意味古い常識の考えで思考が止まっています。

変形性脊柱症という変性疾患があります。

長年のメカニカルストレスの蓄積による背骨の変形でとても多い疾患です。この疾患のメカニズムはメカニカルストレスですから、若年性であってもメカニカルストレスが無関係であるはずがありません。

ヒューター・ホルクマン則という、生理現象もあります。これは成長期に、成長骨端軟骨に過剰な圧迫刺激が加わると、骨の成長抑制が起こるというものです。脚長差の原因です。

つまり、生活の中でのメカニカルストレスの蓄積は見過ごしてはならな点で、生活指導や歩行の指導がとても重要なのです。

残念ながら、その点が一般的な医療施設では完全に抜けています。つまり、病院で適切な生活指導を受けることはできません。なぜなら、生活習慣や歩行をみる専門家がいないからです。

本来はそれは理学療法士が担当しますが、医師から指示がなければできませんし、側弯症に対する運動療法は保険診療では地域によっては適応外になっているからです。つまりお金にならないので指示が出ることは相当まれです。

【エクササイズよりも習慣が重要】

側弯症の改善のための運動療法に対して、特別なエクササイズをしたら良くなると思っていらっしゃる方も多いです。

でも数十分体操したくらいで、良くなると思いますか?

1日の中で一番する運動はなんですか?一番メカニカルストレスを蓄積する動作はなんですか?

それは、、、歩行です。姿勢です。

座っている時間は相当な長さです。子どもならば学校の授業中の姿勢です。家でくつろいでいる時はどんな姿勢ですか?

食事中は?歩く時の脊柱へのストレスはどうでしょうか?1日歩くたびに背骨にストレスがかかります。

数十分のエクササイズが習慣の中での運動や姿勢に勝てるわけがありません。時間数に圧倒的に効果は影響されます。

ですから、側弯症にはエクササイズよりも習慣の見直し、姿勢への注意、患者教育の方が重要なのです。

そのためには、自分にとって、どの姿勢・動きがよくなくて、どの姿勢・動きを意識してとるべきかの理解が重要です。

習慣に勝るものはありません。側弯症に限らず、多くの疾患は生活習慣病です。自分の生活を見直して、自分にとって理想的な習慣になっているかを確認することをお勧めします。

側弯症の方々には、ぜひ、自分の変形の特徴を把握して、何が良くて何が良くない習慣なのかを理解して管理できるようになって欲しいと思います。

やはり特別なことではなく、コツコツと当たり前のことをしていくことが重要なんですよね。整形外科疾患であっても、内科疾患のように、習慣が大切だということを理解してもらえたら嬉しいです。

当社では側弯トレーニングセンターをTAKT EIGHT内で展開しています。

また、セラピスト向けに側弯トレーナー養成事業も行っています。ご興味がある方はこちらをチェックしてみてください。

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