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【予防運動日記】エビデンスが街づくりに生かされる〜その1〜

先日の旅行で面白い掲示を見ました。
こちらです。

街づくり

街づくりにエビデンスを盛り込んで、科学的だとする表示です。
これは面白いですよね。
これ、千葉県の道の駅にあったのです。
温泉もあって、そこに行ったらこれが掲示してありました。

エビデンスの重要性が叫ばれて長くなってきましたが、いよいよこういう日常にまで浸透してきたということで感心しました。
素晴らしい取り組みですし、こうやって掲示することも研究の一般化として意義のあることですね。

ただ、こういうのは誰が中心となって推進しているかで様相は違ってきます。
ちょっと独断と偏見で、文献を追いながらこの掲示を考察してみたいと思います。
道の駅に突如として出てきた感じはあるので、なんだこれは?というのがここに紹介して調べるきっかけです。

1)住宅

社会参加の多い地域に暮らすと本人の参加有無に関わらずIADL 低下リスクが抑制

Fujihara S et al.(2019)

論文を読んでみました。

アンケート形式です。
約2700名ですから人数が多いですね。
ポイントはソーシャルキャピタルについて個人レベルとコミュニティレベルで検討していることが特徴のようです。
バイアスは比較的高いですが、IADL はその住んでいる環境に影響を受けるということでしょう。

この掲示されている地域は、社会参加が高いということでしょうか?
社会参加は、ボランティアへの参加やスポーツや趣味活動への参加ということですから、そういう施設があるということでしょう。

2)広場

公園近くに住む人は約1.2倍頻繁に運動する

Hanibuchi T et al.(2011)

この研究は愛知県の知多半島を対象として行われており、北と南で公園とスポーツ活動の関連が違うという結果も説明されています。
少し、都合のいいところを切り取った可能性があります。
ただ、公園が近くにあれば運動しやすいというのはあるでしょう。
ちなみにウォーキングでは差がなかったと報告されています。

3)交流施設

交流によりうつを予防できる

J.Misawa & K.Kondo(2018)

こちらは文献が有料だったので、要約を見てみましょう。

目的:日本の高齢者のうつ病の発症を予防するには、生物学的および心理的要因を考慮しながら、縦断的データを使用してうつ病の社会的決定要因を明らかにする必要があります。そのような決定要因の特定は、社会政策を通じてより積極的な介入を可能にするかもしれません。日本の高齢者のうつ病に関連する社会的要因を明らかにし、関連する政策への影響を検討することを目的としました。
方法:愛知県老年学評価研究(AGES)プロジェクトの一環として、65歳以上の3464人の高齢者を対象とした縦断調査(波1から波2)から得られたパネルデータを採用した。老年病うつ病スケールによって評価されるように、結果変数はうつ病でした。友人との出会いの頻度、ソーシャルサポート、趣味、組織への参加、ライフイベント、病気、自己評価の健康、日常生活動作の道具的活動、および一貫性の感覚が、各性別のロジットモデル内の説明変数として入力されました。
結果:Wave 1で精神疾患またはうつ病のない被験者のうち、14%がWave 2によってうつ病になりました。男性と女性の両方で、ライフイベントはうつ病のオッズの増加を予測しましたが、一貫性の感覚はオッズの減少を予測しました。友人、趣味、および自己評価された健康との出会いの頻度は、男性のうつ病のオッズの減少を予測しましたが、年齢は女性のオッズの増加を予測しました。
結論:全体として、日本のうつ病を予防するためには社会的相互作用が重要であり、社会的相互作用を促進し、ライフイベント中に高齢者にケアを提供できるシステムの確立は、うつ病を予防するための有用な社会政策アプローチである可能性があります。

要約

具体的な数字が出ていないので、何とも言えませんが、交流がうつの予防に関連していそうだということは感覚的にそうだなと思いますね。

笑わない人は脳卒中リスク1.6倍、心疾患1.2倍増

Hayashi K et al.(2016)

2万人のアンケート結果というのは凄い数です、、、!
笑いが心疾患と脳卒中を予防するという、メカニズムは分かりませんが、笑う門には福きたるということですね。

交流の場が笑いが起こる場であれば、とても好ましいことですね。

週1回以上、趣味やスポーツの会に参加した高齢者はその後、11年間の介護費30〜50万円低い

Saito M et al.(2019)

11年間の大規模なコホート研究です。
凄い労力ですね。
感動します。

運動が介護費用を低下させるということは素晴らしいエビデンスだと思います。
趣味とスポーツなどの社会との関わりがどれくらい大切かということですね。

スポーツはグループで行ったほうが良さそう

Kanamori S et al.(2012)

まだたくさん研究が紹介されていますが、流石に全てを見て行くのは時間がかかるのでここまでとします。
それでも凄い数の研究であることが分かりました。

コホート研究に、数も数千人規模で、これは国をあげた研究ですね。

睦沢プロジェクト

ここまで見てきて、あぁこの事業は日本老年学的評価研究(JAGES)の関連なんだなということ分かってきました。

そしてサイトの中で市町村との共同研究プロジェクトの中で、今回僕が訪れた睦沢町が出てきました。
これだったのですね。

これからの展開が楽しみです。
にしても、こういう研究に携わっている人達と繋がりたいですね。
予防運動でも、ここまでの大規模な研究ができればグッと医療費の抑制ができるのに、、、。
自分の学術的な力の無さに悔しさが出てきますが、仕方ないです。
僕には僕のできることを進めていきます。

でも、たまたまにしろ、旅行先で、こういうプロジェクトの場所に行ったことに運命を感じます。

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