【臨床日記】歩行分析は「触れずに観察」という常識はいただけない
理学療法士の専門技術の中で「歩行分析」があります。
歩きの異常を見つけて、その原因などを分析する方法です。
基本的には、前額面と矢状面で自然歩行をしてもらい、ビデオで撮影したり、肉眼で観察して異常を判断します。
破行という異常歩行がいくつかありまして、その破行の有無や、リズム、姿勢、スラストの有無、墜落の有無、各関節の動きなどをみていきます。
海外では、結構システマティックに分析方法が構築されていて、セラピストはそのシステムに則って異常からその原因を推測して、他の評価結果と照らし合わせて、機能障害の原因を追求します。
しかし、臨床20年以上の僕の印象では、基本的に自然歩行の観察であって、介入しながら歩行を見ることは入谷式足底板意外には知りません。
また入谷式もテーピングや蝕察法などで特定の筋肉やアライメントを補正するという方法で、僕の視点とは違います。
僕が違和感があるのは、まず正常歩行という定義がないのではないか?ということです。
つまり、自然歩行で破行は探すけど、どこが正常との逸脱なのかは、実際正常の定義がないのでよく分かっていないと思います。
もちろん、左右差が少ない方がいいとか、しっかり蹴っているのが望ましいなどはありますが、例えば足の向きはどうあるべきかとか、骨盤の前後傾はどこであるべきかとか、視線はどこを見るべきかとか、そういうのはないですね。
僕は、正常を比較解剖学がら定義しているので、正しさの定義があります。
そして各個人の骨格を必ず確認しますので、その人の正しさも把握した上で観察しています。
また、ここが一番違うところですが、正しい状態にこちらが修正した状態でも歩いてもらいます。
もちろん、これは触れながら行ったり、本人に修正させたりして行いますが、そうやって正常な状態と自然歩行との差を見ることで、色々な問題点が浮き彫りになります。
僕以外の歩行分析に対する問題は以下の点です。
骨格特性を考慮していない。
各クライアントの正しい歩行を把握していない。
修正歩行を見ていない。
自然歩行のみでは見逃していることが多々あることに気づいていない。
日々臨床をすればするほど、今までの自分の至らなさが痛いほど分かります。
幾つになって日々進歩です。
僕は原理原則を追求することが好きなので、新しいプラスの技術を習得するよりも、今行っていることの精度を極限まで高めることにいつも集中してます。
当たり前にしていることほど、灯台下暗しで、実際は知ったかぶりになっていることが多いのです。
歩行分析、本当にできていますか?
自分にとっての常識を常に疑った先に、新しい発見とひらめきがあります。
そして、それは自分の技術の精度を飛躍的に高めてくれるのです。