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紫陽花の季節と家族会

昨年8ヶ月間、母が入院してた病院から『家族会』という行事の案内を貰った。そこは緩和ケアの病院で、病院の先生や臨床心理士が、看取った後の家族とお話しする機会を設ける、というもの。担当の看護師さんやスタッフの方にとてもお世話になったし、久し振りに行って来た。

緩和ケアの病院で8ヶ月というのは、極めて珍しいし、母はよく喋る人だったので、皆さんよく覚えてくださってた。僕も休日はもちろん、平日も休める時に行って病院に通ってた。一人で病室にずっと居るのは不安だろうから。長い入院生活で母にどういう気持ちで接していたのか、スタッフの方と話しているうちに色々思い出して来た。

昨年、病院の行き帰りに聴いてたのがこれ。長い病気療養から奇跡の復活を遂げたジョニ・ミッチェルに思うところがあった。
The Circle Game / Joni Mitchell


去年の見舞いに行ってた時の話をする中で、「よくお母様の話にずっと付き合ってらっしゃいましたね」と言われたので、「もう人生の残りの時間が余りない親にどう接していいのか最初は分からなかったけど、ある時期から『ただ話を聞いてあげるだけでいいんだ』と気付いた」と言ったら、「それがなかなか出来なかったりするんですよ」と。

また、病院の方は患者本人だけでなく、家族にも常に気を遣ってた。「ご無理されてないですか?時々はリフレッシュして休んでくださいね。なんでも仰ってくださいね」とよく声をかけてくれた。その感謝を改めて伝えることも出来た。ストレスとか緊張感とか常にあって、大変な環境だなと思ってた。

「去年、自分が母にしたことが十分出来たことだったのか、不十分だったのか、今でも分からない」と言ったら、「その答えは保留したままの方がいいと思いますよ」とアドバイスをくれた。また「同じような意味のことをお母様も仰ってましたよ。親子で考えは似るんですね」とも。

「問いに対して答えを保留するのは時として有効である」というのを今日知れて良かった。

去年の今頃、少し安定した母を病室から連れ出し、車椅子で病院の周りを少し散歩した。紫陽花が綺麗だから、見に行こうという口実で。今日帰り際に寄ったら綺麗に咲いてた。

my note #106

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