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代用品のプライド(ベーゴマ考62)
戦争中に鉄が使えなくなった影響は
子どもの遊びにも影響し
小さなベーゴマ達は子ども達の前から消えた。
考察61でガラスのベーゴマについて記したが
今回は陶器のベーゴマについて考えたい。
そのままの形
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141166906/picture_pc_6ca68656b7155a308b314a4fbe4208ec.jpg?width=800)
私が持っている完品はこの黄色に着色された物しかない。
違うものを買った際にオマケとしてついてきた。
15年くらいの間に
何度か箱ごと潰れた駄菓子屋かなにかから出た
デッドストックの陶器のベーゴマが
藁に包まれた形でオークションにでたことがあった。
それらのいずれかのものであろう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168624/picture_pc_5ad89f986a416ca1ef3170d19375c08f.jpg?width=800)
鉄バイと呼ばれる戦前の形をそのまんまモチーフにしたのか、
どちらかというと、
もともとバイ貝だったころのデザインに戻っている気がする
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168975/picture_pc_85c4f96c8cd82d56adf676de8d080e98.jpg?width=800)
欠けたベーゴマ
陶器のベーゴマは対戦させたり、床外しして、地面に落ちると
当然欠ける可能性が高く、
完品の場合はほぼデッドストックである
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141167335/picture_pc_86e05d7997f7fd2c157cca4e6435abce.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141167472/picture_pc_484e24ef55c738ad2a920f662beb6c1e.png?width=800)
上の写真を見てもらうと、一部が欠けているのがよくわかる。
そして、右と左をよく見ると、
大きさ、型、模様、材質が少し異なるので
戦争中の代用品としてつくられた
陶器のベーゴマであったが
いくつかのメーカーが存在していたと推測される。
時代によって、入手できる材質の変化と考えることもできるが、
型の違いからメーカーが異なると考えるほうが自然だ。
加工の余地
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168067/picture_pc_709f28cb542b5dee76698db7aecb0b20.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168045/picture_pc_ec6b5e6079254c7d7400126c4cbc650f.png?width=800)
ガラス製と異なり、陶器製のメリットは
ベーゴマの醍醐味である「加工」ができたことだ。
ヤスリなど鉄製の道具も
おっぴろげには使いづらかったであろうから
その辺の道路などに擦り付けて加工できたのは
強みと言える
持っているものにも
加工の跡がみえる。
歴戦をくぐってきてるのでわかりにくいが、
角をけずり、六角や八角形に形成しているのがわかる。
また裏面も
かろうじて、4面削りや8面削りの跡が見える
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168063/picture_pc_54c371b8fa6eb60d52862093955720bf.png?width=800)
ぶつかったときにかけたのであろうか
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141168645/picture_pc_3f9bf5d35afc2a1b07bb135dcf9e8314.png?width=800)
右側なんてもうぼろぼろ
しかし、イメージとしては
ガラス製のほうが材料を得にくいような気がするのに、なぜ先に陶器製が流通して、ガラス製になったのであろう
戦時統制の刻印が刻まれた
食器などもあるし、最後は手榴弾とかも陶器になったと聞く。
割れるガラスより、陶器の方が戦争の道具につかいやすかったのだろうか。
瀬戸物の企業は回され、陶器のベーゴマまで奪われたと思うと心が苦しくなる。
ブリキの代用品
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141169446/picture_pc_71d851c6aa5060fca87490ae736799dc.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141169649/picture_pc_633744d32dadfa35bc1fc289fcbb055d.jpg?width=800)
以前友人から
とんでもないものを得た
ブリキ製のベーゴマの代用品である。
こんなものは見たこともなかった。
しかし、鋳物で作れなくなった際に
ブリキで作ろうとしたのはわからんでもないし
どこからどうみてもベーゴマである。
面白い特徴が、
上部が蓋になっていて、中におもりとなるものをつめて使っていたようだ。
蓋を開けると
中にはコールタールのカスのようなものがはいっていたようで、当時は中に充填されていたのか、
自由に好きなものを詰めれたのであれば
それはそれでおもしろい。
加工された貝殻だけ買って
粘土や砂、蝋などを詰めた空バイのように
その工夫の余地が戻ったとしたら…
それはそれでおもしろい。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141169651/picture_pc_862f7b72a5e200b36b0d12f21d922e7f.jpg?width=800)
陶器製、ブリキ製、ガラス製を
ならべてみた。
ちいさなちいさな
この独楽達は戦争に翻弄された
子ども達の声を今にとどけてくれる。
苦しくて
こわい時だからこそ。
小さなおもちゃは
こどもにとって、心を支える上で
大切だと思う。
戦争は大人の世界で起こるが
その猛火の下に
子ども達がいて日常が崩れていくことを
わすれてはいけない。
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