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【朝の卓袱台vol.4】「NIT革命」


世の中、便利になったものでござる。四角いこの小さなスクリーンを覗けば何でも調べられる。世界の状況、他人の日常の表面、天気の変遷、株価の値動き、さらに、会話、連絡、なども大変しやすくなったものだ。

あっしがこの小さなスクリーンの虜になったのは10年ほど前。購入したiPhone4に夢中になり、アップルストアで働きたい気分になり、採用面接に殴り込み、「iPhoneは家電を結集させた夢の機械です」と告げ、見事に惨敗したのだった。

それからあっしを含めた人間たちはこぞって最新版のiPhoneを求めるようになった。グッチやシャネルに興味を示さない若者も林檎マークのスマートな機器には夢中になった。

あっしはこの数年間、このスクリーンを眺め過ぎた。それと引き換えに様々なモノを失ってきた。時間、元気、喜び、視力などで、きっとまだまだある。それに費やした私達の時間が多ければ多いほど、カリフォルニアに住む元バレー部やらの面々が「ガファファファ」と笑う。何故なら、私たちの注目がお金になるからだ。

ここで、あっしとしても、そろそろ革命を起こさねばならない。「No IPhone Time革命」略して、「NIT革命」だ。

あなたも革命に参加しないか?方法は簡単だ。まず、一冊のノートを購入する。日々のアイデアや日記をiPhoneやPCではなく、これに書き込む。時間が空いたら、ニット帽を被り、近くの図書館に集合し、ニット帽の仲間達と合流する。その仲間達と共にiPhoneの電源を切り、会話を楽しみ、笑うのだ。「ガファファファ」と。

おっと、この札幌創生スクエアにある図書館にもニット帽の仲間達がポツポツと集まってきている。比較的、年配の方が多い。やはり、危機感を感じているのはあっしだけではないらしい。近くのニット帽のお爺ちゃんに笑いかけ、「お宅もですかぁ?」と声をかけた。すると、そのお爺ちゃんは「プイッ」と目を逸らし、別の席へ移っていった。全くもってツンデレな革命家だ。ガファファファ、ふぁふぁふぁふぁ。

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