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【日本の山岳信仰】

日本の山岳信仰について考えてみたいと思います。
この国の山には、「日本三霊山」と「日本七霊山」という呼称があります。
(1)日本三霊山
 ①富士山(静岡県・山梨県)
 ②立山 (富山県)
 ③白山 (石川県・岐阜県)
(2)日本七霊山
 ①富士山(静岡県・山梨県)
 ②立山 (富山県)
 ③白山 (石川県・岐阜県)
 ④大峰山(奈良県)
 ⑤釈迦ケ岳(奈良県)
 ⑥大山 (鳥取県)
 ⑦石鎚山(愛媛県)
山岳信仰は、山を神聖視し崇拝の対象とする信仰のことです。人が自然環境に対して抱く畏敬の念、雄大さや厳しい自然環境に圧倒され敬う感情などから発展した宗教形態です。
役小角(634〜701)は山岳信仰である修験道の開祖とされています。彼は葛城山で山岳修行を行い、熊野や大峰の山々で修行を重ねました。そして、吉野の金峯山で金剛蔵王大権現を感得し、修験道の基礎を築いたとされています。
山岳信仰と仏教の関連性には深いものがあります。仏教では、世界の中心には須弥山(しゅみせん)という高い山が聳えていると考えられていました。
空海が高野山を、最澄が比叡山を開くなど、山への畏敬の念は深まっていきました。平地にあっても仏教寺院が「○○山△△寺」と、山号を付けるのはこうした理由からなのです。
大峰山寺は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されました。そして、この大峰山寺は未だに古来からの女人禁制を貫いている数少ない寺のひとつです。平安時代から現代に至るまで女性の立ち入りを禁じているのです。
修験道で修行する山伏たちは、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」と掛け声を連呼しながら修行をします。六根清浄とは、人間に具わった六根を清らかにすることです。六根とは下記の通りです。
①眼根(視覚)
②耳根(聴覚)
③鼻根(嗅覚)
④舌根(味覚)
⑤身根(触覚)
⑥意根(意識)
六根は人間の認識の根幹を構成しています。六根清浄とは、六根が我欲などの執着にまみれず正しい道を歩めるように執着を断ち、心を清らかな状態にすることを言います。山ごもりなどにより不浄なものを見ない、聞かない、嗅がない、味わわない、触れない、感じないために俗世との接触を絶つ修行が行われました。
日本の山岳信仰の主な形態を分類してご紹介します。
(1)火山への信仰
火山の噴火への畏れから、火山に神がいるとみなして信仰するもの。
①富士山
②阿蘇山
③鳥海山
(2)水源である山への信仰
周辺地域を潤す水源となりうる山を信仰するもの。
①白山
(3)死者の霊が集うとされる山への信仰
死者の霊が死後にそこへ行くとされている山々を信仰するもの。
①恐山
②月山
③立山
④熊野三山
(4)神霊がいるとされる山への信仰
山としては規模が小さいものの、その山に神霊がいるとされて信仰が始まったもの。
①大峰山
②三輪山
③御許山
日本の国土はその約4分の3を山地が占めています。日本人の「山」に対する信仰は古く、山岳信仰から派生して生まれた心象風景や郷愁などの要素は奥深いところで日本文化に影響を与えてきました。日本の至るところに山はあり、その景色を見ながら古来から日本人は生活をしてきました。日本人にとっての山は、他の国々に暮らす人々以上に大きな存在であると僕は考えています。

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