5月1日

朝は晴れていたのに、午後から雨が降り出した。
窓を叩くオリーブの枝が、湿り気を帯びた音をたてている気がして、
外を眺めたら大粒の水滴が緑色を濃く滲ませていたので降雨に気付いた。

買い物その他諸々の行動を瞬時に諦め、またクッションに身を沈める。
珈琲を淹れ、何かしていた夫を呼んでとりためたアニメを見る。
「SSSS.DYNAZENON」と「シャーマンキング」
2作品とも毎週楽しみにしている。
アニメを定期的に観始めてから、私は「ヒーロー」にちゃんと真正面から憧れることが出来るようになった。
世界を救うヒーローになりたいと本気で思ってしまうことと、ヒーローに憧れてその在り方を考えながら日常をちゃんと送ることの間には、天と地ほどの隔たりがある気がする。

休みの日は、ついお菓子ばかり食べてしまうので良くない。
私は、甘いお菓子が大好きなので、つい沢山買い込んでしまう。

アーモンドチョコを口のなかで転がしながら、ふと、大学時代の一コマを思い出す。
講義中いつも筆箱みたいにさりげなくアーモンドチョコの箱を机に置いていた同級生のこと。
彼は元気にやっているのだろうか。
銀行員になったと聞いているが、講義中にいつもアーモンドチョコを食べていなければ気が済まなかった彼が、きちんと銀行で働けている(と思う)なんて…と勝手に呆れ果てる。

雨の日は、なんだか見えないシールドで守られている気がする。

いつも以上にぼんやり過ごすことを許されている、というか。
無益なことをとりとめもなく考えることを許可されているというか。

雨粒のひとつひとつが次から次へと降ってはどこかに去っていくように、
思考、とも呼べないようなものが次から次へと去来し、どこかへ去っていく。

とりあえず、という言葉が、急に胸に灯る。

こうやって書いていること、ひいては生きていることに、とりあえず意味を持たせたり、持たせなかったりすることをやめよう。
とりあえず。雨が降っているから。

とりあえず、この鈍痛に似た生を、謳歌、とまではいかなくとも、口ずさむ、くらいはしてもいいだろう。

私の家はとても静かだが、夫が小さい音量で流しているビートルズが今日は聞こえてくる。
ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー
あり得ないほど寂れた場所に一緒に来ないか、と誘う歌詞。
ビートルズの曲のなかで、一番好きな曲だ。

母の日が近いのでインターネットで紅茶と花とを、それぞれの母に「手配」した。
母に感謝するのにいちいちお金のかかることが面倒で重いと思う一方、生存通知と一応のお愛想を、お金とネットで簡単に出来るようになったことへの侘しさ混じりの安堵。
私は、何年か前から男親には酒、女親には花と茶葉、と決めている。

浮世の義理、という言葉が浮かぶ。

こうやって文字をいじくっていると、だんだん惨めな気持ちに陥る。
すっかり夜になってしまった。

いつの間にか雨はやんでいたようだ。

今夜はレトルトのハンバーグを食べよう。








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