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ななめ上を行くインター校ママたち

息子たちはノルウェーでインターナショナルスクールに通っています。生徒さんたちの出身国は多種多様。多数派はヨーロッパとアメリカ合衆国、次いで南米、中東、少数派ですがアフリカやアジア諸国も。

インター校の親は転勤族が圧倒的に多く、ここにいる間は専業主婦で過ごすママが多いようです。とはいえ、アルバイトを探したり、ボランティア活動をするママ率も高く、私のように変則的に働いてる人も。みな、他のママがどのように生活しているかは興味津々なのです。

学校行事やボランティアにちらほらと参加するなかで、ママ達と話す機会があり、そんななかで見つけた、特に印象的なインター校ママのお話です。
日本ではあまり見かけないタイプで、良い意味で私の想像を超えていた「斜め上」のママたちです。

記事写真はノルウェーのクリスマス風景より

兵士でワンオペ

すらっと背が高く、態度も会話もまっすぐな印象の次男の同級生ママ、「ここで何か働いてる?」という話題となって返ってきた答えが、
「私、NATOの兵士なの」
でした。

30代半ばに見えるのですが、彼女は出身国チームのトップとのこと。そして、ご主人は仕事のために(裁判官っぽい)出身国に残って生活をしている、と。
部隊のトップで、そしてワンオペ?いったいどうやって両立してるのかと、彼女の生活があまりに想像できなすぎて頭がパニックになりました。

詳しくは聞きませんでしたが、基本はオフィス(?)勤務の仕事の様子。
出身国では家政婦や運転手を簡単に雇えるけれど、ノルウェーでは数時間雇うだけで何万円も飛ぶので自分がやるしかない、と。週末は料理するだけで1日が終わってしまうのよ、と苦笑していました。

そんな忙しさなのに、子供には自国の言語や算数の力を伸ばしてほしいと、学校外での教育にも力を入れているようで、あっぱれというしかありません。

「私は強いんだけど、息子は繊細なところがあるのが気がかり」というセリフがさすが兵士だな、と思いました。

お肉屋のツリー飾りで見つけたかわいい子豚くん

クラスママはエンタメ意識の塊

インター校では各クラスに「クラスマザー」と呼ばれる役があり、生徒の親が数人ボランティアで活動しています。学校行事をサポートしたり、先生・学校と保護者の連絡係になるのが主な役割。

日本のPTAと違って、保護者が集まって選任するわけではなく、いつのまにか誰かに決まっていると言う感じ。オフィシャルな募集がないので、具体的な活動内容や活動量は把握できていません。というのも、ほぼ確実に、学校から呼びかけがあった時に積極的に立候補する親がいるから。

彼らの動機としては、子供が好きとか、教育関係に携わっていたとか、子供のクラス環境やお友達を把握したいとか、知り合いを増やしたいとか、ただ単に時間があるから、とか様々。でも、抽選で選ばれたから仕方なく、という後ろ向きの動機で活動する人がいないのがすごいところ。
アメリカ合衆国から来た親が立候補する率が高いような気はしますが、出身国割合的にそうなだけかもしれません。

新入・転入家族を迎えるパーティから、スポーツイベント、ハロウィン、インターナショナル・フェスティバル、クリスマスパーティ、などなど、学校行事とは別に、クラスマザー達が企画し実施するイベントが数多くあります。

先日のクリスマスイベントでは、クラスマザーたちがサンタクロースに変装し、お菓子やスナックを提供し、ちょっとしたゲームコーナーを作って子供達を楽しませ、全員にプレゼントまで用意してくれました。資金は事前に親から募った分で運営したようです。

ノリノリで歌い踊り、子供を盛り上げながら本当に楽しそうに一緒に遊んだり、生粋のエンタメ精神を発揮するママ達を見て感心せずにはいられません。学校や先生のサポートを、義務や強制ではなく、当然のこととして自然にやっている感があり、自分ができるからやっているだけで、時間がなかったり不得意な親はそれでよい、という割り切りも感じます。

クラスマザーが準備したクリパイベントの飾り付け
クリパでのミニアクティビティのひとつ

ママだからって我慢しない

同じ学校の日本人ママから聞いたお話。彼女の子供さんはまだ小さく、年少クラスなのですが、同級生のママ達には驚かされる、と。

三人の子持ちで一番下はまだ1歳という西欧人ママ、心理学カウンセラー資格を持ち、その活動のためにとひとり1週間海外へ。その間、夫が仕事をしながらワンオペで三人の子供の世話を引き受けたようです。

ほかにも、自分の家族親戚が集まるからゆっくり再会を楽しみたい、と、小さな子供達を夫に任せ、ママひとり集合地の国外へ旅行をしたというママ友もいる、と。

おそらく、彼らにとっては特別なことでも珍しいことでもなく、当たり前のことという感覚のようです。一方で、私やその日本人ママにとっては、その状況がなんとも羨ましく感じてしまいます。

息子達が小さい時、私はシンガポールで生活していて、家に住み込みのヘルパーさんが家事と子供の世話を助けてくれていました。そんな状況でさえ、夜に友人と食事にでかけることも、会社の飲み会も、夫はいい顔をしません。「小さい子供がいるのに、母親のすることじゃない」と。

女性の自由や平等、働き方については、仕事上でもアンテナを立てて敏感でいる方なので、昭和の価値観や昔ながらの社会構造には本当にたくさんの憤りやモヤモヤを感じ続けてきました。
なので男女関係なくやりたいことができる自由があり、男女が互いにサポートしあう世界はうらやましく、それが当たり前のなかで行動しているママを見ると希望を感じ嬉しくもあります。

自分もまだ古い価値観を持っているせいで「ママなのにすごい」「女性なのに自由」という観点でついほかのママを見てしまうのかもしれません。
そうではなく、性別の枠をとっぱらって、「こんなに頑張っている人がいる」「こんな面白いことやってる人がいる」と見れるようになるといいいなと思います。

石のニッセ(サンタのお手伝いをすると言われる北欧の妖精)

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