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左ききのエレン(原作)を読んでみて

左ききのエレンとの出会い

左ききのエレンは、リメイク版をジャンプ+で連載が始まった時から読んでいた。ちょうど自分も社会人1年目だったこともあってか、1話のガッツしかない光一に憧れと共感を抱いて毎週読むようになった。

それから毎週欠かさずリメイク版を読んでいて、連載が始まってから1年ほどして原作があることを知った。
「原作があるならそっちの方が物語の先を読める!」と一度読んでみたことがあったが、1話読んでみたのだが、リメイク版に慣れてしまった僕には絵が受け付けなくて、結局「俺はリメイク版で気長に読むことにしよう」と決めたのだった。

原作を読んだ経緯

そうしてジャンプ+で毎週リメイク版の更新を(番外編含め)楽しみに生きていたのだけれど、ある時同じく左ききのエレン好きの友達から「左ききのエレンに第二部があるの知ってる?」と言われた。正直、その時は原作がどのくらい先を進んでいるか、ましてや完結しているなんて考えたこともなかった。なぜなら、リメイク版が僕にとっての「左ききのエレン」だったからだ。

しかし、新たなストーリーがあると聞くと気になってしまうは漫画好きの性である。友達から聞いた帰りの電車ですぐにスマホで調べてみた。そして見つけた「左ききのエレン HYPE」を。

「HYPE」を見つけた時、僕はかなり葛藤した。「読んでみたい。しかし、1部が終わってから読んだ方が楽しめるか?しかし、リメイク版で1部が完結するのはどのくらい先だ?」
そんな葛藤もあったが、結局誘惑には勝てず無料公開されているHYPEの1話と2話を読んだ。すると、驚きが2つあった。
1つは、「絵がめっちゃ綺麗になってる!」だった。(考えてみれば流石に何年も漫画を描いていれば上達はするだろうから当然っちゃ当然なのだが。そもそも作者のかっぴー先生は美大卒なのに連載初期はあんな絵柄だったことの方が驚きではある。)
そして、2つ目の驚きは「なんでそうなった?!」という情報が次から次へと出てくるのだ。。。もう情報の洪水なんてもんじゃない。情報の津波である。
そして、僕は決心した。「この津波の源流を辿ろう」と。そうして、原作版「左ききのエレン」を読むことにしたのだ。

好きなところ

左ききのエレンを読んだ感想はネタバレ抜きには語れないので、ここでは僕が特に作品として気に入っている点を4点(+α)挙げようと思う。
①登場人物が全員頭いい
とにかく全員頭が切れる。代表格としてはエレンの相棒さゆりだが、それ以外の登場人物も頭をフルに使って仕事をしているところが格好良い。特に神谷さんが役員相手に即興プレゼンをするシーン。役員全員が揃っているという、それだけでエスパーダが並んで座ってるくらいの興奮を覚えたのに、さらにそれを神谷さんがねじ伏せる、というシーンにはかなり痺れた!!
②とにかく人間関係が絡みまくる
広告って人脈・人脈アンド人脈なの?といっても大袈裟じゃないくらい、いろんなところで人が繋がってる。でも、それが物語に立体感を与えていて、新しいキャラクターも“ぽっと出感“をあまり感じることなく受け入れられるようになっているんだと思う。
③サラリーマンの面白さを教えてくれる
左ききのエレンには社内外の政治に関する話が多い。各部署の思惑が交錯したり、コンペにおける競合との読み合いだったり。さらには人材育成や引き抜きといったどの会社でも悩んでいるような題材を扱うからこそサラリーマンが共感できるのだと思う。
④演出が上手い
やっぱりさすがデザイン出身というか。いわゆる「決めコマ」のセンスがすば抜けてると思う。ここぞ!という時にカッコいい決めコマがあると、それだけで漫画としての説得力が増すと思う。
+α みっちゃんが推せる
永遠の後輩キャラ、みっちゃんが可愛すぎる。1部でもめっちゃ可愛かったけど、2部では大人の色気も合わさってさらに可愛くなった。2部でさりげなく描かれている谷間がマジでエロいっす。

左ききのエレンは王道ジャンプ漫画である

ジャンプの3本柱が「勝利・友情・努力」だとすると、僕が考えるジャンプ漫画を面白くするの3つのスパイスは「ギャグ・最強キャラ・ヒロイン」だと思っている。その理由について、以下に書いていく。

まずギャグについては、ずっと本筋だけで物語が進むとどうしても読者の集中力が張り詰めたままになってしまうので、読んでいる途中で疲れてしまう。なので、ギャグが入っていることで、読者に適度にリラックスを与えられるし、さらに物語に緩急がつくのでシリアスなシーンの印象が強くなる。

次に最強キャラについて。最強キャラというのは、作中で「最強」という役割を持つキャラである。左ききのエレンでいうと神谷さん。呪術廻戦だと五条先生とか。こうした最強キャラというのは、実は「どういう風に最強か」というのは必要なくて、ただ作中のキャラが全員「あの人は最強だ」と崇めていれば良い。なぜなら、最強キャラの役割としては「安心感」と「主人公を認めること」だからだ。主人公がピンチの時に最強キャラがやってきた安心感。そして、最強キャラに認められることで主人公の成長が客観的に認められる。この2つが我々読者に作品の魅力として強く訴えてくるのである。

最後にヒロインについて。これは説明不要だと思うが、可愛いヒロインがいたらみんな読みたくなるよね。

左ききのエレンは、ジャンプの3本柱はもちろん、3つのスパイスもかなり良いバランスで入っていてまさに王道ジャンプ漫画!という感じ。
きっと作者のかっぴー先生は、結構ロジカルに漫画を書く方なんだと思う。なので、きっとこれから漫画を描こうと考えている人は是非読んで分析してもらいたい。ロジカルに作られている分、ジャンプで連載されているような漫画に比べて「どういう漫画が面白いか」を考えやすいと思う。

僕らにとって左ききのエレンとは

左ききのエレンが僕らのような若手社員にウケるのは、きっと「頑張れば光一のように成功できるかも」というように自分に重ねて自分のサクセスストーリーを描きやすいからだと思う。
ルフィみたいにゴムゴムの実を食べた能力者じゃないし、虎杖みたいに宿儺の器でもない。光一は天才じゃない普通で、しかも僕らと同じ「サラリーマン」だから。すごい自分も光一になれそうじゃん。

でも、左ききのエレンで活躍するサラリーマンは、天才の対比として凡才と描写されるが、現実だと全員「エリート」だと思う。天才が「万が一」なら、このエリートは「百が一」くらいだろうか。僕らの部署にいる優秀なあの人だ。まずは、その人に勝てないと光一にはなれない。みっちゃんにも流川さんにも同期のユウコにもなれない。きっと僕はまだ喫煙所にいる小太りのモブだ。

僕たちは心得なければいけない。左ききのエレンは“フィクション“であると。
しかし、フィクションだからこそ明日からの仕事をやる気を与えてくれる。
光一みたいにできなくても、少しでも近づこうと今の仕事を頑張れるのである。
だって、僕は少年マンガ脳だから。

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