徹底的に世間体を気にしない生活、これは誰でも望むところなんだけど、そういった生活が送りたいのなら、イギリス風にいえば、貴族になるかワーキング・クラスになるかしかないわけです… - 忘れがたいことば

渡部昇一『人生を「知的」に生きる方法』より再度引用します。

先回の引用は、15章”自分だけの知的時間をどう持つか”からでした。
小見出しは、”プライベートタイムは生かし方で決まる”です。
”自分の書斎”を持つ効用についてでした。https://note.com/naotaka7328/n/n247caa689fdd

今回も同じく、15章の最終部分からの引用です。
今回の小見出しは、”周囲に惑わされない自分の養い方”です。

 ”だから、徹底的に世間体を気にしない生活、これは誰でも望むところなんだけど、そういった生活が送りたいのなら、イギリス風にいえば、貴族になるかワーキング・クラスになるかしかないわけです。貴族というのは、日本流にいえば何とか伯爵とか何とか男爵とかいう意味じゃなくて、勝手なことをしても生きていける一流の芸能人とか、一流の学者、横紙破りの政治家でもいいですが、一芸に秀でた人物ということですね。
 そこまでいけば貴族みたいなものですよ。素人芸に毛の生えたぐらいじゃどうしようもない。あるいは、まった<逆に、まともな杜会には入らないで、周囲なんかかまわないような、それこそ底辺でうごめくようなところまで落ちるか、二つに一つでしょうね。
 それができないというのなら、自分の生活の糧になるような重要な場所、つまり職場などでは、人目や世間体に妥協し、そうでない私的な生活では、時間的にも空間的にも厳然とプライバシーを守る場所を持ち、世間体をいっさい気にしないでやるという知恵を持つことだと思いますね。”

3種類の生き方が示されています。
(イギリス風に言えば)”貴族”。
(同じく)”ワーキングクラス”。
最後が名前はありませんが、(おそらく)”ふつうの人”。

少し、それぞれのカテゴリーの具体例を考えてみましょう。

ビートたけし氏が、”貴族”の一例です。
日本的には、”大御所”とか言いますかね。

昨今話題の”不倫”をするにしても、渡部の言う”貴族”、すなわち”一流の芸能人”は、世間から叩かれません。
突き抜けて、世間に追いつけないと思わせると、”何でもあり”になるみたいです。

ビートたけし氏は、ここで言う”一流の芸能人”ですが、彼は細心の注意を払い”嫉妬”を避けようとしています(ビートたけし『「さみしさ」の研究』などによる)。
あれだけの実績があって、なおかつ注意を怠らなければ、”徹底的に世間体を気にしない生活をエンジョイできるのでしょうか。

さて今回の彼の再婚が、どう出るか。
きのうの夜のテレビで、「兄ちゃん、姉ちゃんから、ちゃんとしなさい」って言われたから籍を入れた、みたいなことを言っていたけど、これも”うまい言い方”だな、と個人的には思いました。
誰も傷つかない言い方ですからね…

”本音”は、たぶん慎重にコーティングされているかもしれない。
ワタクシの深読みですが…

ちなみにこの人は、漫才ブームのときから自分を売り方、生かし方を考えて、意識的にシフトチェンジをしてきたんだそうです。
漫才ブームはいつまでも続かない、と。
それからテレビ番組を制作する側に回り、今のバラエティ番組の基礎は、だいたい自分の作った番組にある、と語っています(これも、ビートたけし『「さみしさ」の研究』などによる)。
今のバラエティ番組に、彼の発想を超えるコンテンツはないかもしれない。
”枝葉”は別としても。
それから映画製作、作家としての活動もあり、本当に才人です。

では次に行きましょう。
俳人の種田山頭火、尾崎放哉の二人。
”貴族”と”ワーキングクラス”の混合型でしょうか。
昔の”学士様”でインテリ、でも実生活では破綻、句作に没頭する。
金はないが、好き勝手の人生でした…

いわゆる”ワーキングクラス”となると、ビートたけし言うところの”浅草芸人”でしょう。
ただし”昭和の”、という但し書きがつきますが…

”今テレビに出て稼いでいる”芸人”諸兄諸姉、芸能プロダクションの作った芸人養成学校(?)を出れば”芸人”になれる(”芸”がなくても)と思っている”自称芸人”諸兄諸姉とは違います。
この人たちは、世に阿っている。
だから、そんなにおもしろくないんですよ、ネタも、生き方も。
突き抜けてない、から。

”ふつう”なんだ。
我々と同じです。
世の99%の人がたぶんそうだろうという、”ふつうの人”。

見ておもしろいのはやはり、横山やすし、勝新太郎、みたいな”芸のある破天荒な人”でしょう。
”芸”も”生き方”もおもしろいから、見てみたくなる。
でも本質的には、彼らは”芸”だけでいいんです。
”芸人”なんですから。
プライバシーを”切り売り”しなくても、このクラスなら十分やっていけます。
芸が一流でなくて、何が芸人か。
いやいや、ちょっと言い方がキツくなってしまいました…

最後に、ふつうの人の実例。
周りを見渡せば、たくさんいらっしゃいます…
ワタクシももちろん、この”ふつうの人”です。

”自分の生活の糧になるような重要な場所、つまり職場などでは、人目や世間体に妥協し、そうでない私的な生活では、時間的にも空間的にも厳然とプライバシーを守る場所を持ち、世間体をいっさい気にしないでやるという知恵”を持って、生きるほかはないんでしょう…

ですからせめて、”稼ぐとき”以外は、のびのびと気楽に、楽しくやりたいです。
”営業用”でない自分を、遠慮なく出していきたい。
自室にこもって、こうやって文章を書くのも、”自由”の発露なのです。
イギリスでは「家は城」というそうですが、城内では裃を脱いで、”敵”のことを思う必要はありません。

「世間」とのかかわり方も考えてみようと思いました。
引用文をアップしてみるかもしれません。

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