大好きだった「nice things.」と、支払われなかった原稿料
携わっていた雑誌が終わること。
昨年11月から3号にわたりお仕事させていただいた雑誌『nice things.』の母体である出版社・ミディアムが3月上旬に倒産しました。あまりに突然のことで驚いた方も多いと思います。今発売されている4月号がおそらく最後の号です。
担当者から連絡をもらった時、まさか…と思いましたが、不思議と腑に落ちる自分もいました。真摯と不器用のアンバランスこそが「nice things.」だったのだと感じます。
短い期間ではありましたが、3号合わせて執筆40ページ、撮影52ページを担当しました。ものすごいボリューム…。校了日は編集部に足を運んで作業をするなど、どっぷりお仕事していました。数年前から大好きな雑誌だったので、携われるのが心からうれしかったし、誇りを持って制作していました。
今回の話は関わった身としても、読者としても残念でなりません。
支払われなかった原稿料と撮影料の一部。
そして倒産したということは…
ギャランティーの一部である数十万円は未払いです。やるせない気持ちでいっぱいです。
お世話になっている弁護士さんにどうにかできないか相談しました。「今後、私が受け取れる可能性は、限りなくゼロに近いだろう」と言われました。
(こういうことを表立って書く人は少ないかもしれません。だけど私は自分の経験を役に立ててほしいと思っているので、弁護士さんに相談の上、事実を書いています)
それを聞いた時、頭が真っ白になって、取材先の皆さんと一生懸命向き合ったこととか、年末年始を返上して原稿を書いた時間とか、何千枚も撮った写真とか、そういうのが全部ムダだった気がして、本当に落ち込みました。
お金が全てじゃないことは分かっています。フリーランスという働き方の面白さはお金だけにあらず、人との出会い、成長などいろんな場面にあります。ただ仕事の対価として決められたお金をいただけないであろうことは辛いし、そんなことがまかり通ってしまうのは嫌です。
でも…。
全国の取材先の皆さん、一緒に仕事をした編集さん、デザイナーさんに罪はないはず。『nice things.』に携わったことでたくさんの出会いがありました。その出会いはお金に替えられるものではなく、これからも続いていくこと。もちろん私の人生も続くので、あまり暗くなりすぎず、地道に前を向こうと思っています。
どうか力を貸してもらえませんか。
とは言え、私のような一人のフリーランスにとって数十万円の未払いは正直、かなり苦しいです。書くべきかどうか迷いましたし、気恥ずかしさもあるのですが困っているので書きます。
①力になれることがあれば、お仕事のお声がけをしていただけないでしょうか?小さなことでも、大きなことでも、はじめましての方でも。普段は雑誌、ウェブを中心に、撮影したりインタビューしたりしています。女性、暮らし、アイドル、ファッションがメインテーマで、人の想いを届けることが得意です(実績|仕事の指針)。
②応援したい、という方がいらっしゃれば記事の末尾でサポートしていただけないでしょうか。サポートしてくださった方はいつかお会いできたときにポートレートを1枚撮って贈ります(ぜひ声をかけてください)。
「力を貸してください」とはっきり言葉にするのはいつだって慣れません。お金のことを書くことも慣れません。ドキドキしながら書いています。でも実際困っているし、誰にだって起きる可能性があることだし(倒産するなんて想像もしませんでした)こういう事態に陥った時どう行動していくのが良いのか模索する姿を公開することで、誰かの参考になればと思って書いています。
でもやっぱりnice things.が好き。
最後に。悲しい幕引きになってしまいましたが私は『nice things.』に携わって、ますますこの雑誌のことが好きになりました。特集テーマと、取材先の皆さんと真摯に向き合って、時に丸一日密着して写真を撮り、執筆していく。他の雑誌では人件費やスケジュールなどでなかなか実現しえない取材スタイルを地で行く姿勢に共感していました。素晴らしい媒体と仕事ができて幸せだったと思っています。
3月10日に開催した写真展でも「nice things.大好きなんです、終わってしまうのが寂しい」って話してくれる方がたくさんいました。叶うならどこかに譲渡して復活してほしいな。その時までに私も成長して、いつかまた携われる日が来るといいな。
私個人としては、この経験を糧にして、引き続きいい写真を撮り、いい文章を紡いでいきます。
(3/14 14:41加筆)
いいねやサポート、シェアなど本当にありがとうございます。「3/13時点で」「私の視点から書けること」を書いたので、もちろん記事が全てではないし、状況は随時変化していくと思います。模索する姿も含め見守っていただければ幸いです。いただいているメッセージは落ち着いたらゆっくりお返事させてください。
(3/15 21:27加筆)
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