ソフトウェア開発の見積りについて(2/2)

前回の続きで、見積ミスに関してです。

見積りミスは赤字以外にも弊害が伴います。
作業量が増える場合が多く、また納期を延長できないケースも多く、その場合人数を増やすか、現メンバーで残業休日出勤でこなすか、ということになります。

人員を増強する場合、増強された人間が内容を理解するまでに時間がかかってしまいます。その人に開発システムの全容を伝えなければならず、これは既存メンバーの余計な作業となってしまいます。

多少のことであれば、既存メンバーで残業や休日出勤するほうが余計な作業がなくなりますので、こちらを選択するケースがほとんどです。そのかわり、残業がかなり増えてしまいます。

見積り時の「3ヶ月かかる」には、もうひとつの側面もあります。

例えば、仕事の出来る人間は2ヶ月で終わり、スキルの低い人は4ヶ月、もしくはそれ以上かかる場合があります。

単純に考えると、スキルの無い人間が担当すると見積は高くなりがちになるということです。顧客側は納得できないでしょう。

見積は平均的なスキルの人間を基準として考えることが理想となります。しかし実際には、スキルが低いと思っていない人間が「4ヶ月かかる」という見積りをすると、それで見積り金額が提示されることになります。

「ソフトウェア開発の見積りはいい加減」と言われそうですが、そういう面があることは否定できません。

見積金額を提示する際は、いつもドキドキでした。

一度、見積りを出して「高い」と言われ、その後の商談が無くなったことがありました。高い見積りではなかったのですが「高い」と思われてしまったのでした。

それ以来、見積提出時のドキドキ感は増しました。

安く出してしまうと会社経営上苦しくなります。でも「高い」と思われて商談が流れてしまうと、予定していた仕事のスケジュールがぽっかりと空いてしまい、それも会社経営上苦しくなってしまうのです。

私の会社がなんとか創業時に生き残れてきたのは、「インターネットを使ったシステム構築」に焦点をあててきたからではと思っています。

今はどこの会社も行っていますが、20年以上前に起業した頃には、まだこの方法でシステム開発を行う会社は少なかったのです。

そのため実績のない新参の会社でも、耳を傾けてくれる会社があったのだと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?