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「大学生はいいよね」なんていうな

コロナの影響で、悲鳴を上げている大学生が増えた。
それは、大抵の場合
「後期もオンライン授業」
という決定が下された大学生だった。

この一連の出来事で、いろんな人がいろんな影響を受けている。
ただ、私は最近
「大学生はいいよね、暇でしょ?」
と言われることに非常に腹が立つようになってしまった。

もちろん、暇ではある。
でもそれが「いいこと」かと言われれば、そうではない。

3月、春休みに「おうち時間」なんてワードが流行って
友達も、あつ森をやってみたり、パズルやゲームにハマってみたり
せっかくだからと家を模様替えしたり掃除したり
それぞれ有意義な時間を過ごしていたと思う。
私も、バタバタしていた大学生活の中で、こんなに休むことはなくて
割と落ち着いた生活ができて充実していたと思う。
(これを機にダイエットもできた)
でも、先輩たちは、大学生最後の卒業旅行がなくなったり
卒業式や追いコンがなくなった人もいた。
先輩たちはぬるっと社会人になって、
入社式も懇親会もないまま、自宅でリモート出勤をさせられた。

そして4月になって、私は4年生になった。
授業は最初からオンラインで、もともと授業の少ない私は、
前期一度も大学で授業を受けることはなかった。
でも学費はしっかり変わらず払った。
毎回無駄に印刷されるプリントの費用も、
エアコンや教室の電気代も、ないはずなのに。
慣れないオンライン授業。
先生たちも戸惑っていて、不具合は連発するし、
ただ送られてきた動画を見て、コメントを送る。
最初は私も、わざわざ大学に行く手間も省けるし、
スッピンパジャマでも授業受けれるし、ラッキー
と思っていた。

サークルは一度もできなかった。
私は軽音サークルに所属しているが、
ライブハウスがあれだけ叩かれた状態で、
小さなバンドサークルが、小さな部室でぎゅうぎゅう詰めのライブなんて
できるはずがなかった。
たかがサークル、と思うかもしれないが
友達と切磋琢磨して、ライブをして、それがかけがえない時間だった。
大学生活のほとんどを一緒に過ごしていた
サークルの友達とは、わざわざ約束しなければ会えなくなっていた。
この前、年に一度の大きな行事である、合宿の中止のお知らせが届いた。
前期は活動できないかもしれないけど、
これを乗り越えれば夏には合宿が待っているし、
夏になれば新入生も迎えて
楽しいサークル生活が帰ってくると思っていた。
大学生活最後の夏休みの、一番楽しみだった行事がなくなった。

私は旅行が好きで、4年生になったら時間もあるし
たっっくさん旅行に行こうと思っていた。
私は大学院に進むけれど、同期の友達はほとんど今年で卒業してしまう。
最後の思い出にと、たくさん旅行を計画していた。
まず、5月に行く予定のタイ旅行、9月に行く予定のバリ旅行が消えた。
この先も、いつまで続くかわからないこの状況で、
冬以降の予定を立てることなんてできなかった。
しかし世の中では、「GO TO なんちゃら」というものが流行っているらしい。
もし私がこの状況を押し切って旅行にいって感染でもしたら
「バカな大学生が旅行に行った」と、
晒し者にでもされるだろうか。

バイトができない友達も何人もいた。
コロナでバイト先が休業になって、
でもいつ復帰するかもわからないし、新しいバイト先を探すことはできない。
仕送りを送ってもらえない人だってたくさんいる。
某お笑い芸人が、お金に困って風俗で働く人が増えると発言したようだが、
正直、これはただの冗談ではなく、事実なんじゃないか。
Twitterでは、悲痛な訴えをする大学生を目にするようになった。
私も、本当にお金に困った時があって、
血迷って出会い系サイトに「お金がない」と書き込みをした。
すると1時間もしないうちに
「2万でどう?」「今夜どう?」などというコメントが何十件も届いた。
気持ち悪くてすぐに消して、自己嫌悪。
私と同じように、いやこれ以上になってしまう女子大生がいないことを願う。

私は、なんとなく辛い、と思うことが増えた。
何もすることがなく、ただ日々を過ごして、
課題だってレポートだって、卒論だってあるけれど、
起きたら昼で、携帯触って、家事をして、夜になって、
あぁ今日も何もしなかったなと凹んで。
そんな日を過ごすことが多くなった。

もちろん、この休みの期間を使って
卒論を進めたり、オンラインで何かできないかと活動をする同期もいた。
こんな状況の中で就活をして、内定をもらっている同期もいた。
私は、何者でもなかった。
もはや、大学生なのかすらわからなくなる時もあった。
もうすぐ夏休みが来るけれども、
今の状況と、夏休みとになんの違いがあるのだろう。

そして後期もオンライン授業になった。
昔のように、
授業か〜と朝起きて、化粧をして、着替えて登校し、
友達とテキトーに話して、ご飯を食べて授業を受けて
夕方にはバイトに行って、週に数日休みがあって、
友達とも適度に遊んで、人間関係もいろいろあって。
そんな日常に帰りたい。
私たち4年生は、このまま社会人になってしまうのだろうか。
最後の夏も、最後の旅行も、最後の大学生活がこのまま終わるのだろうか。

社会人に
「大学生はいいよなぁ」
と言われた。
「大学生」は、時間もあって、
飲んで、遊んでばかりで
そういうイメージがあるのかもしれないし、
そういってくる人に限っては、
相当大学生活をエンジョイしてたのではないかと思う。
そのイメージが100%間違っているかと言われればそうではないし、
私も実際、とても充実した大学生活を送っていたと思う。去年までは。

けど、今の私に
「大学生はいいよなぁ」
なんて言わないでほしい。
たくさんの大学生が、
コロナにいろんなものを奪われている。
鬱になる大学生だっている。
私も、これがもし大学1年生だったらと考えると、
友達も、サークルも、大学もない、そう考えると
本当に恐ろしい気持ちになる。

その一方で、
電車はたくさんの人を乗せて動いているし、
会社は一時期はリモートになったものの、
だんだんと通常に戻りつつある。
GO TOなんちゃらを進める広告も流れてくるし、
テレビだって少しずつ元に戻っている。
止まっているのは私たちだけで、
社会はどんどん先に進んでしまう。
それでも容赦なく、「就職」がどんどんと私たちに迫ってくる。

その一方で感染者は増え、
感染した人や店は特定され、病人のはずなのに、
白い目で見られてしまう。

私たちの1年と、学費、返してくれ。

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