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花の命はみじかくて。

林芙美子記念館へ行った。彼女の生音声の録音テープを聴いた。NHKの番組出演の際の録音だった。その中の彼女の言葉を聞いていたら無性に涙が止まらなかった。庶民の中にこそ、生きている実感を感じることができる。器を大きくしても、その中に入れるものがなければ虚しいばかりである、と彼女は言う。

芙美子は片道切符でパリへ旅立った。往路360円、シベリア鉄道。不安はなかったのかと聞かれた芙美子は、「棺桶を背負って出かける人はいない。」と言い放つ。彼女は、パリから、知り合いにお金の無心をしている。そして原稿料を送金してもらったりしている。この何ふり構わずさ、そんな強さが私にはあるだろうか?そんな状況になるかも、と想像するだけで足がすくんで行動できない。貧乏で人は死なないというのだ。本当だろうか?彼女は底辺の生活経験していたので、厳しい状況の中にいながらも、生きていく者達への愛情は深い。私は、きっとそこに共感したのだ。

「花の命は短くて、苦しきことのみ多かれど、風も吹くなり、雲も光るなり。」

芙美子の言葉が心に響く、今日この頃。

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