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レイヤーの言う非常識、非常識ではないかも知れない問題

「コスプレイベントで、写真を撮ったクセに
送ってくれないカメコがいる!非常識!」

という、女性コスプレイヤーのつぶやきを
最近よくTwitter上で見掛ける。

「送らないヤツ、何のために撮ってるの?
闇サイトとかでデータ売られたりしてないよね?」

などと、いらぬ心配までしている様子(笑)


私はいま41歳で 女性カメコをやっている。

主に撮影するのは 男装レイヤーだが
26歳から36歳までは 自分もコスプレをしていた
元レイヤー現カメコである。

しかも、1人でイベント(主にTFT)に行って
カメコに写真を撮ってもらうタイプの
コスプレイヤーだった。(時期もある)


その頃は、かろうじて「mixi」という
ネット上のコミュニケーションツールはあったが
「Twitter」や「Instagram」などはない時代。

写真もデジタルが主流になったばかりの頃だ。


その頃 私が何のために 1人でコスプレイベントに行っていたかというと
撮影されたデータを 全員からぶんだくる為ではなく

【自分とフィーリングの合うカメラマンと出会い、
そのカメラマンと スタジオ撮影の約束をする為】

である。


だから、知らないカメコにも何十人と撮影されたけど
その方たちから写真を貰えるとは思っていなくて

むしろ 私のコスプレを写真に納めたいと
思ってくれる人間がいるなんて 嬉しいなぁ~と思っていた。

はじめましてのカメコ全員と名刺交換※1 をするワケでもなかったし
むしろ はじめましてだったのに写真を送ってくれたら
「なんていい人なんだろう」と思ったくらいだ。


写真をくれるのは、毎回撮影してくれる
知り合いのカメコ3~4人くらいのものだった。

それがあたりまえだった。


流れとしてはこうだ。


・イベント参加1回目

撮影はされるが知り合いがいないのでデータはもらえないことが多い
(名刺交換したカメコの中には たまに送ってくれる超いいヤツがいる)

その中で、話しかけやすそうなカメコに
自前のコンデジを渡して撮影をお願いして
それを web上にあげていた。

・イベント参加2回目

前回撮影してくれたカメコがまた撮ってくれる
(この時レイヤー側から「こないだの写真ください!」と言えば送ってくれる)

・イベント参加3回目

1、2回目撮影してくれたカメコにこちらから声を掛ける
(「あっ!○○さーん!写真撮って~!」など
そうすると、ここからは何も言わなくても送ってくれるようになるし
会うたび 知らないジャンルでも撮ってくれる)

写真が好みで、お互いに話しやすく
撮影したいものが同じであれば、スタジオ撮影の約束をする


「でもいま Twitterあるんだし、そういう段階 必要なくね?」

と思っているレイヤーさんは
カメコを道具だと思っている節があると 私は感じる。


カメコだって人間なので、きちんとコミュニケーションを
図ろうとしてくれるレイヤーさんには 綺麗に現像して納品しようとか
少し無理なスケジュールでも こじあけて撮影してあげようと思う。

逆に、イベントでこちらが話かけても たいして話もしてくれない
流れ作業みたいな撮影しかしないのに
「撮った写真は送るのが常識」って言われても…(苦笑)


そもそも、そんな常識いつから出来たんだろう?

なんかそこそこ有名レイヤーさんがそんな発言をして
「そうなんだー」と思ったレイヤーの間で流行ったのだろうか?

だとしたらそれって「一部の常識」で
コスプレ界全体の常識というほどではないし

イベントの規約に「撮影させてもらったデータは必ず本人に送りましょう」
なんて100% 書かれてないと思うし

なんでそれを常識と思っている人たちが
そんなに強気なのか 不思議でしかない。


ちなみに、「イベントで撮った写真は 全員送るのが常識」
という意見を 私が初めて聞いたのは、今年に入ってからだ。

それまで そんな話 聞いたことがない。

私が 野良カメコじゃないからかも 知れないけれど

そんな日の浅い常識を 急に押し付けられても
こっちだって困惑する。


じゃあ、野良カメコってなんでイベントに撮影しに来るの?

と言われれば、あくまで「私は」の話だけれど

・屋外撮影の練習

・好みのレイヤーさんと出会うため

※Twitterで繋がったのち、自分の写真や人となりを気に入っていただければ
スタジオでの撮影に発展するので、いわば営業活動です。

この2点。

それ以上でも以下でもない。


「営業だというのなら、撮った写真送るのが手っ取り早いじゃん」

と思うかもしれないけれど、それでは レイヤー側の 人となりがわからない。


カメコに変なヤツがいて 怖い思いをする危険性があるように
レイヤーにも変なヤツがいて 不快な思いをする危険性があるのだ。


実際 会って話して、Twitterでのつぶやきを拝見したり
リプでやりとりしたり。

そこで、私と価値観が似ているなぁと思えれば
次イベントで会って撮影させていただいたデータは 喜んでお送りする。


ただ、古のレイヤーとカメコの話をして

「昔はこうだったんだから、君たち 若者もこうしなさい」

なんて 老害じみたことを言いたいわけではない。


そこで、【今の】イベントに撮られに行く系のレイヤーが
何のためにイベントに 撮られに行くのかを 考察してみた。
(私の周りには「データ送るの当然」レイヤーがいないので考察するしかない)


今のイベント系レイヤーは
【良いカメコと出会ってスタジオ撮影】が最終目的ではなく

【自分が盛れてる写真を 1枚でも多く集める】

その中で最大に盛れている写真を Twitterで発表し
【たくさん いいねを獲得して 認証欲求を満たす】

それが最終目的なのではないだろうか。


なるほど、カメコとレイヤーの目的が違うのであれば
こういったすれ違いが起こるのも無理はない。

価値観の多様化している現代で
そういったすれ違いが起こるのは仕方ない。


であれば、同じ目的を持ったレイヤーであるのかどうかを
撮影前に あらかじめ確認する必要性がある。

今後は その確認を怠らない努力をしよう。


しかし、ここでとあるレイヤーのツイートを見かけた。

「はじめましてのカメコに
『撮影したお写真は 必ず送っていただくことをお願いしています』
って言ったら、『じゃあ結構です』って言われてキレた」


それにキレられてしまったら、我々のような営業系カメコは
もはやイベントに参加できない。


私は これまでたくさんのレイヤーさんを
撮影させていただいた 写真や実績があるから
頑張れば Twitterだけでも 新しいレイヤーさんを
撮影させていただける機会を 作れるかもしれないけれど

これからカメコを目指すひとには 致命的な話だ。


撮影した写真を全て、時間をかけて 現像して納品しなければ
【カメコ】には なれないのだ。

お仕事が忙しくて なかなか趣味の時間を捻出できない人間には
やりたくても 出来ない趣味になってしまう。

ただの趣味なのに。


しかも、それだけ時間を掛けたのに
1枚も使って貰えないこともあるとよく聞く。

それなんてやりがい搾取?


若い方よく「いまは 価値観が多様化しているんだから
若者の価値観を 否定すんな!」って言ってるのに

自分の中にない 人の価値観は受け入れないんです??


せめて「撮ったらよこせ」レイヤーを【撮らない】権利くらい
カメコにいただけませんかね?


ところで、有名レイヤーさんは イベント後
Twitterで、可愛らしい自撮りとともに
こんな投稿を されている印象がある。


『今日は暑いなか、撮影してくださってありがとう!

撮影してくださったお写真を、DMで送ってくださったら
とっても嬉しいな…♡

いつもたくさん送っていただくので
全部をご紹介できなくてごめんなさい><

でも、みなさんとっても綺麗に撮ってくださるから
いつもおうちで見返しては ニヨニヨしてる(笑

私が毎回 楽しくコスプレできるのは
撮影してくれる みなさんのおかげ…

いつも本当に ありがとね♪

今日は暑かったから、体調崩さないように 早めに休んでね!

おやすみなさい ♡ 』


…あざといとお思いかもしれないけれど
言われたカメコは たとえ女性であっても悪い気はしない。

むしろ「よっしゃ かわいこちゃんにそんなこと言われたら
早く送ったらな!」となる。


有名レイヤーさんは、こういった
配慮や気遣い、努力をしているから

愛されるし 有名になるし

有能なカメコやスタジオ経営者や
衣裳制作さんとも人脈が出来るのだ。


なんの努力もせずに 常識を振りかざしたりしないのだ。


※1 名刺交換
いまはTwitterアカウントを QRコードで交換すればよいので不要だが
昔はカメコとレイヤーがコミュニケーションを図るため
コスネーム、フリーメールアドレス
CURE NO.(コスプレ専用コミュツール)などが書かれた名刺を
お互いに交換していた

仕様写真素材© つるたま氏

40代主婦、職業フォトグラファー。 コスプレ撮影、アニメ・ゲームの感想、好きなアイドルのことなどの雑記がメイン。 世界一わかりやすい写真の撮り方も、すこしずつ増やしてゆきたいです。