愛ゆえの怒りと提案

この記事は、危機管理広報の消費者インサイトのいい事例になると思い、備忘録を兼ねて残したものです。

本稿で、触れている内容は、あくまで私個人の意見であり、所属する企業とは一切関係ございません。ご了承ください。

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僕と奥さんは、元々前の会社の先輩後輩です。一緒に飲んだくれる機会が多く、いつしか2人で飲みに行くようになり、今日に至ります。

僕らの恋心と愛情は、飲み会によって育まれたと言っても過言ではありません。

そんな僕らのライフスタイルに変化が生まれたのが、妊娠発覚と息子の誕生です。

奥さんは、大好きだったお酒を我慢し、でもやっぱり時には飲み会の空気が恋しくなって、居酒屋で炭酸水にレモンを絞って出してもらって、レモンサワー風を飲んでいました。

その後、無事に超絶かわいい息子が生まれ、まだ親になった自覚の無かった当時の僕と、しばし喧嘩したりバタバタしながらも、息子のおかげで総じて楽しく毎日を過ごしていました。

しばらく経ってようやくお酒を解禁した時の奥さんの表情は今でも忘れられません。妊娠発覚から、およそ2年。

あぁ、一緒に飲める日々が戻ってきたねー。と、ワクワクしたのも束の間、当然ゆっくりなんて飲めません。

僕の実家が近いので、2回ほど日中の面倒を親に託して、昼飲み居酒屋に行った事もありましたが、やはり奥さんからすれば、気がひける。

どうしたものかと悩んでいた時に出会ったのがキッズラインでした。

初めてお願いしたのは、20年の経験を持つ元看護師さん。3時間程度だったけど、事細かに、メッセージで息子の様子を伝えてくれて、僕らも久しぶりにゆっくり夫婦水入らず楽しめたのでした。

そこからは、お互いの誕生日や打ち上げと称して何度か利用しています。

息子もずっと遊んでもらえるから、楽しいようで、「●●先生は〜?」とシッターさんが帰っちゃった後も聞いてくるほど。

そんな中で、自粛期間を迎えてしまい、「コロナがあけたら、またお願いして、飲み行こうね」と先週末話していた所でした。

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そうして、木曜に例の報道を目にしました。
男性シッターとして登録していた人が、業務中に子どもにわいせつを働き、逮捕されたのです。

●ビジネスインサイダー
businessinsider.jp/post-214061

●ビジネスインサイダーを受けて発表された対策
https://kidsline.me/contents/news_detail/605

男性シッターの表示制限。専門家の意見を聞き、男性の方が性犯罪起こしやすいから、消すとのリリース。

我が家ではたまの楽しみを支えてくれるサービスとして利用していたキッズライン。使わないと日々の生活が回らないと言う方も居たのではないでしょうか。

僕は、広報PR業を生業としているため、この危機対応が非常にショックでした。

今回の事件は何故起きたのか、会社としてはどう捉えているのか、シッターの登録フローに問題は無かったのか、今後再発防止のために何をしていくのか•••

今回起きたことは、サービス品質を著しく損なうもので、利用者に大きな被害(最悪、子どもが殺されたり)する可能性もあるわけです。これを利用者にもっとちゃんと伝わる形で、示さなかったのは、何故なのでしょう。

そもそも事件の発生は、昨年11月。
またビジネスインサイダーの1ヶ月前に、AERA.dotでも報じています。

●キッズラインシッター逮捕を先月報道したAERA.dot
https://dot.asahi.com/dot/2020050300008.html

●AERAを受けたリリース
https://kidsline.me/contents/news_detail/584

AERA.dotの記事見る限り、トラブル自体は昨年時点でキッズラインは認識していたわけで、下記のお知らせ出していたとのこと。

<11/14(木)一部SNSにて、キッズライン利用者とシッターの間でトラブルがあった旨の情報があり、発覚時から情報収集に努めておりますが、現時点では、該当すると思われる事案の事実確認はできておりません>

逮捕は今年の4月下旬ですが、11月14日以降、事件を知らないまま利用した人もいたのではないでしょうか。もしかすると、自分の子どもが、被害に遭っていたかもしれない。「安心して、子どもを預けられる」という前提が崩れていたのです。

間違いなく会見すべきですし、前提を担保できるようになるまで、サービス提供を停止するべきだったのではないでしょうか。どうしても利用しないといけない方には、サポートセンターにて代替サービスを伝えるなども場合によっては出来たと思います。

加えて、今回の意思決定。
場合によっては、今後下記のような惨劇も起こり得る。

●暴行の疑いでベビーシッター逮捕 監視カメラに映像 ネットで契約

https://www.kanaloco.jp/article/entry-46537.html

上記の事件の逮捕者は女性です。キッズラインとは関係ない事件と僕自身は信じていますが、過去にはこんな事件もあったのです。なので、問題の根本は、男性がどう、とか言う問題ではないわけです。どうやってその危険因子を取り除くのかを考える必要があります。

この決定を、専門は攻めの広報だとしても、元PR会社社長の経沢さんの会社でなされたと言うのが僕は本当にショックでした。

他の役員は、何も言わなかったのでしょうか。もしくは、上申された案に対して経沢さんは気にならなかったのでしょうか。

そして、11月以降利用促進のコミュニケーションを続けたのは何故なのでしょうか。

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とは言え、すごく好きだったサービスですし、僕自身早く安心して使いたいので、最後に提言いたします。

●まずは、いち早く会見を開く※オンラインでオッケー。
●その上で、対応が遅れたことの謝罪と事実の詳報、キッズラインにそもそもどれだけの責があったのか、過去のトラブル含めた検証、今後の対策を発表
●対策委員会発足
●サービス品質が整うまではサービス提供停止し、シッター登録フロー•登録条件•利益按分見直し、保護者の状況把握ツールの見直し、どうしても利用が必要な人向けのサポートセンター開設(他社サービスを含めた案内も検討)、保証などの検討。
●それぞれ対応のタイムラインを検討し、続報

上記をやる必要があると思います。

正直、見直したら、これまでの価値だった安さは損なわれるかもしれません。ただ、安くて子どもが乱暴されるより、高くて子どもも親も安心して使える方が良い。

その上で、これまでのサービスで見せてくださった企業努力で、普通の人が使えるサービスにして欲しいなと切に願います。




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