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「美」の価値観は変わる

最近、水原希子が「最も美しい顔ランキング」に対して、

「見た目で人を判断するのは絶対違うと思うし、そもそも1番美しい人なんて選ぶことは不可能。このランキングによって、偏った美の概念やステレオタイプな考えを広めて欲しくない。美の基準や定義なんて、本当に様々」

っていう反対意見を言った。

それについてちょっとツイッター見てみたら、
「選ばれてないからってただの妬みでしょ」
って日本人の心無いコメントばっかり。

日本、どうした??

① Lookism(外見主義)


最近GUCCIの美は外見の不完全さにこそ見出してる。

ex)
・歯並びが揃ってないリップモデル
・ダウン症のモデル
・シワのあるおばあさんリップモデル
・重ね塗りで固まったマスカラモデル
・プラスサイズ黒人モデル
しかも、全部肌修正なしのありのままの写真。

GUCCIはこれについて、
「美しさは不完全なものの中にこそ宿る」としてる。

もちろん、
GUCCIが広げる多様な美の価値感には、賞賛と批判の声が混ざってる。

でも、ステレオタイプの美しか見れないような、心の狭い古い客層は切る覚悟なのかもしれない。実際売り上げは好調で、新しい客層も期待できる。


②Body Positivity (どんな自分も愛そう)


2017年ユニリーバの調査では、
93%の10代日本女性が容姿に自信がない
59%が幸せになるためには美しさが必要と思っている
52%が「美しくなければ」とプレッシャーを感じている
48%が容姿に自信がないことが理由でやりたいことを諦めた経験がある
32%が雑誌の美しい女性を見ることで自己肯定感が下がっている

これは、2020年の今でも日本にまだ残ってる感情。


アメリカでは2015年頃から、#BeautyBeyondSize って言葉が使われ始めた。

Beauty Beyond Size は直訳すると "サイズを超えた美"

・痩せてるから美しい
・太ってるから醜い
っていう固定観念を超えて、他人の基準に合わせない、ありのままの自分でいること、鏡に映る自分に「愛してるよ」って言おうって考え方。


6月12日のVOGUE記事
https://www.vogue.co.jp/change/article/models-in-challenge-paloma-elsesser

自分の容姿に自信のなかった Paloma Elsesser は、「もっと美しかったら」って何度も悔しがった過去をバネに、「自分らしさ」をインスタで発信するようになった。

そしてモデルに。

彼女が初めてヌードモデルをやった時のインスタ

抜粋すると、
I've never done nude before. I cried 3 times before this shoot. I cried because I still feel scared, paralyzed by insecurity at times, and exhausted by an unfettered vulnerability that I want to present to the world. I did this to show that being fat isn't a burden. Being fat isn't ugly or shameful. For that young girl looking on Instagram that she is fucking perfect.
ヌードは初めてだった。撮影の前には3回泣いた。私が世界に届けたいと思ってたものが足かせを外された弱みになって、不安で怖くて、疲れて泣いた。でも、私がヌード撮影をしたのは、太ってることは重荷じゃない、醜くも恥ずかしくもないって見せたかったから。インスタを見てるそこの若い女の子に、あなたはクソほど完璧よって言いたかったから。


今では世界中のランウェイを堂々と歩く一流モデル。彼女の勇気と努力は、多くの女性たちに希望を与え、ファッション業界の美の価値観すらも変えた。

Body Positivity は、体型などの偏った美しさを捨てて、どんな体型でも美しい、「どんな自分も愛そう」っていう意味が込められてる。

もちろん、男性のBody Positivityも。背が高くなくても、腹筋が割れてなくても、太ってても、痩せてても、背が低くても、一人ひとり違う美しさがある。


③Diversity(多様性)


6月11日のVOGUEの記事
https://www.vogue.co.jp/beauty/article/workout-rihanna-bodypositive-wbg

歌手Rihannaの下着ブランド 'Savage X Fenty' で起用されるモデルは、これまでの細身体型のモデルだけじゃなくて、リアルな体型の女性たちが着こなすことが特徴。

様々な人種、体型のモデルを起用することで、ブランドの多様性を作り出した世界観が、このブランドの美しさ。ファッションショーには、臨月の妊婦モデルが下着で登場することも。

2018年に立ち上げたばかりのこの Savage X Fenty が最近、長年の女性下着市場の覇者 Victoria's Secret を追い越した。


一方でVictoria's Secretは、
2018年から売り上げを一気に落とし始めた。それは、美の多様化が進む中で、プラスサイズモデルやトランスジェンダーモデルの起用を避け、現実離れしたような細身で長身のモデル、白人多め、のように偏ったブランドイメージと美の価値観だったから。

もちろん、細身で長身の Gigi Hadidとか Kendall Jenner とかがかわいいのは間違いないけれど、ブランドイメージを優先してリアルな消費者の声に耳を傾けられず、だんだん消費者が離れてしまった。

その後、やばいと思ってヴィクシーがプラスサイズモデルを起用しようと、最初のモデルに選ばれたのが Barbara Palvinっていうサイズ9(Mぐらい)の白人モデル。

いや、普通に細いわ(笑)

最初の方はこんな感じでブランドイメージを崩すのが嫌だったヴィクシー。最近ではいろんなモデルが起用され始めたけど、ファッション業界の多様性に出遅れてしまった。



「社会は言葉で成り立ってる」

それは、
雑誌やメディアで「モテ」と「ブス」のコーナーがあったりして、社会で作り上げられた美しさの価値観が、知らない間に私たちに染み付いてしまってるから。

一回、自分たちの先入観を理解して、無くす必要があるのかもしれない。


ここで、水原希子の発言に戻る。

「偏った美の概念やステレオタイプな考えを広めて欲しくない。美の基準や定義なんて、本当に様々。大事なのは中身。」

ここまで読んでまだ、
「妬みだろ」
なんていう人はいないと思う。

大事なのは中身って言ってしまうと少し論点がずれるけど、少なくとも外見に対して美しいとか醜いとかは人によって基準が違うから、評価してランキングにするべきではない。これからは多様な美しさを認めていくべきだから。


"There is no such thing as ideal beauty."
理想の美しさなんて存在しない。


自分に誠実であることが一番。

体型にコンプレックスがあっても、
「生きづらい」って感じない、みんなが自分らしくいられる社会にしたい。

女性が痩せたいって思う理由が、
「美しくなるために」とか「男性にモテるために」じゃなくて、

「自分らしく生きるために」
って言える日本社会にしたい。


でも最近、日本の女性の美の価値観が変わったって感じることもある。

昔はただ細い人がフォーカスされてたけど、今は筋トレして健康的に細くなる人が増えてる。それは、たくさんの女性たちが美の価値観を「男性目線」から「女性目線」に変えてくれたから。

最近の女芸人たちは、自分の体型や見た目を自虐にして、バカにされたような笑いを取ろうとしない。

ゆりやんは最近、ナイキのスポーツブラのモデルして、太っててもがっつり露出することはかっこいいって身を持って証明してくれてる。

渡辺直美やブルゾンちえみは、派手なファッションセンスで私たちに色んな美しさを届けてくれてる。

そうやって、自分らしく生きる人たちが日本でも着実に増えているのが素敵だねって話。

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