【本】ガルシア=マルケス 『百年の孤独』内容激辛スパイシー、取扱注意!
今年に入ってから売れに売れている文庫版『百年の孤独』。
私もようやく手に入れて、読了いたしました。
1 読了してみて、初めて気づいたこと
購入したのがちょうど夏休みに入ってからというタイミングもあり、
2日ほどで読み切ってしまいました。
1967年に刊行され、1972年、初訳。20世紀文学屈指の傑作と言われており、「マジック・リアリズム」なる言葉が独り歩きしてしまい、舞台がコロンビアというラテン・アメリカであることも、「手が出しにくい」理由でもありました。
(普通に、本のページボリュームもある・・・)
今年、ありえないだろうといわれていた文庫化が実現し、
本屋に平積みにされ、大々的なキャンペーンを貼られているのを見て、
「これは、夏休みに読んでみよう。」とずっと思ってきました。
夏休み1週目に、読み始め、最初は登場人物の名前に混乱し、10ページくらいでやめようと思いました。が、そこからあとは、「やめられない、止まらない」状態になり、昼間も夜も読み続ける感じで、最後は
「読み終わってしまった・・・・」という妙な感覚になってしまいました。
アマゾンの書評を見ると、「最初で挫折った」人が多いようで。
本を読みなれている、いわゆる本読み体力のある人だと、勢いついて
最後まで読み切れるのかも。
読後、ぼーっとした後、頭を整理するために 「百年の孤独 読み解き支援キット」やら、関連したものを読んでいったのですが、
はっと気づいてしまいました。
この本、
『ジョジョの奇妙な冒険』好きな人なら、きっとハマるかも。
ジョジョの物語は、100年どころではない時間軸で続く物語ですが、
「呪われた一家」の栄華と没落、摩訶不思議な超常現象など、そういうストーリーにぞくぞくする人なら、『百年の孤独』はドンピシャに楽しいと思います。
〔以下、ネタばれ〕
2 あらすじと ラストネタバレ
コロンビア、というと身近な感じがしない国の一つかもしれませんが、ファンタジー系RPGの好きな方なら、なんの抵抗もなく読めちゃうのではないかな。
ホセ・アルカディオ・ブエンディアという男が、いとこのウルスラと結婚する際、血族結婚で生まれる子どもには豚のしっぽが生えるということ、さらにブルデンシオ・アギラルという男をホセが殺してしまったことから、2人で村を出て、新しい村を開拓することになったところから物語は始まる。
集落にやってくるジプシーたち、彼らにそそのかされ錬金術に夢中になる父親、働きずめの中3人の子供を育て、(その中には貰いっ子の不思議な女の子も含まれるが)、成長した子どもたちが、どんどんと一族の人数を増やしていく。
それがまともな増やし方とはいえない方法だったり、姉妹同士で呪いあったり、殺しあったり、それはそれは、常識的な範囲では考えられないような場面が続いていく。
同じ名前の息子が17人もいる!というあたりで、もうわけがわからなくなりそうだが。
この一族の男どもは、(登場人物も)あっさりと命を落としてしまう。
とにかく長く生きながらえるのは、女なのだ。
本当の主人公は、実はウルスラなんじゃないかとも思ってしまう。彼女は150歳まで生きたことになっているらしい。
100年の間に、コロンビアの内戦があり、(いわゆる千年戦争)それにかかわった息子たちは、軍の役職で呼ばれるようになる。その戦いで名誉を得るもの、死して忘れられるもの、策略で殺されるもの。
女たちは、世の中が変わったとしても、子どもを産み、子孫をつなぎ、家を守る。
バナナ園のプランテーションで富を得た集落も、結果的には搾取され、残されたのはお祭り騒ぎの後の廃墟である。
閉鎖的な「マコンド」という土地から、外に出た最後の末裔、アマランタ・ウルスラ。
彼女は、マコンドを開き、守り続けてきたウルスラの名を引き継いでいる。彼女がヨーロッパから連れてきた夫がこの一族の最後の子の親となるのかと思いきや、アウレリャノ(私生児)と熱烈な恋に落ち、夫がヨーロッパに去った後、誰もいなくなった屋敷を破壊するほどの激しい性愛の時を過ごす。
彼との子を身ごもり、出産するが、ウルスラはアウレリャノにとっての叔母であった。一族内で唯一、腹の子は、「愛によって生まれた子」と、彼らは喜ぶが、それは一族の終焉を告げるとどめの存在となってしまう。
産後の大出血により、ウルスラは命を落とし、そのショックのあまり誰もいない町をさまよったアウレリャノ。一晩狂ったように歩き回り、叫び声をあげつづけるが、次の朝、「緑色のしっぽの生えた赤ん坊」が死んでいることに気づく。その嬰児の死体は、大量の蟻の群れによって運ばれていく。
アウレリャノは、初代ホセの時代に死んだメルキアデスが羊皮紙に記したものを解読したただ一人の人間だった。
マコンドという土地に、たった一人残されたアウレリャノ。
先祖が開拓し、数えきれないくらい多くの人間が来ては去り、
何人もの血が流され、土にかえったこの土地。
彼は、栄華を極め、没落していった豪邸の廃墟の中で生を終えることを
知っていた。
この世界で、たった一人、崩れ落ちる家とともに、この世の歴史から消え去ることを。
100年をかけて紡いできた孤独な一家は、愛を知った最後の末裔とともにこの廃墟ごと塵に消えることが、アウレリャノにはわかっていたのである。
3 この小説の「魔力」とは
この小説を映像化しようとするNETFLIXは、どうやって映像化するんか?そもそもできるのか?なんて思ってしまいます。
でも、あの「三体」ですら、映像化しようとしている会社ですから、やってしまうんだろうなあと期待感すら持ってしまいます。
この「百年の孤独」は、読んでいるうちに、誰が誰だかわからなくなってきますが、女の人を軸につながりを考えて読み進めると、ちょっとわかりやすくなるような気がしました。
錬金術、ジプシー、土着の宗教儀式、美女の被昇天、4年間の雨期と10年の旱魃。
最初は理解不能と感じていた内容でも、読み進めるにつれ、その世界観に慣れるというか没入してしまうので、違和感も感じなくなってきてしまうのです。
読み終わった後、虚脱感というか、脱力感というか、
現実になかなか戻れない、なんとも不思議な感覚になります。
仕事や何かで、忙しい中で読むもんじゃありません。
何日か、ぼーっとする時間があるときに、ぜひ読んでください。
読後の「ボーっとする時間」で、マコンドの世界から、この世(現実世界)に戻ってくることができます。
その点だけお気をつけて。
うだるような暑い夏に、
ぜひ読んでいただきたい大作です。
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