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観てきた!幻想の銀河 山本基×土屋仁応 at THE GINZA SPACE

いつかの東京都美術館のミュージアムショップ。ずらっと並んだポストカードの中で、吸い寄せられたのが、土屋仁応(よしまさ)さんの木彫でした。

その後、実物を観る機会に、ことごとくタイミングが合わず、念願かなった今回。本当に待ち焦がれていただけあって、感動もひとしおでした。
そして、本当に、本当に、神がかったような美しい空間でした。

場所:ザ・ギンザ スペース(東京・銀座)
会期:2020年6月2日(火)~8月2日(日)
時間:11:00~18:00 ※時短営業
休館:7月20日(月)
料金:無料


◎観に行こうと思ったきっかけ

開催を知ったのは、土屋さんご本人のTwitterだったでしょうか。
当初の会期は4月末から1ヶ月ほどの予定でしたが、臨時休館に。
今回も観られないのかな・・・と思っていたら、6月再開との吉報が!!!本当に嬉しかったです。

◎どんな展覧会?

木彫作家の土屋仁応(よしまさ)さんと、「塩」を素材にインスタレーション作品を制作する、山本基(もとい)さん。お二人が初めて一緒に行うコラボレーション展です。

開催場所であるザ・ギンザ スペースは、資生堂が運営しているギャラリーのような場所。GINZA SIXにほど近く、みゆき通りを一本入ったところのビルの地下2階にあります。館内はワンフロアで、撮影OKとなっていました。

初めて訪れる方は、ちょっとドキドキするかもしれませんが、思い切って地下まで螺旋階段を下りてみてください!

ちなみに地下1階には、資生堂の素敵なフレグランスブランド『セルジュ・ルタンス』のショップもあります。こちら、内装が本当にモダンでかっこよいので、(こっちもだいぶ入りづらいかもですが)ぜひちらっとのぞいてみてください。

◎銀座にいることも、日常も、時間も忘れる空間

わたしが訪れたときは、雨の日の夕方だったこともあってか、贅沢に貸切状態・・・時間を忘れて作品に見とれてしまいました。

今回の展示は、こちらのディレクターさんがお二人を引き合わせて実現したそう。ですが、初コラボとは思えないほど、お二人の作品の世界観がマッチして、素敵なタイトル通りの、幻想的な空間が広がっていました。

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お塩で描かれた模様は、果てしなく続く流氷のような、雪原のような。

凍てつく空気の中、この世とあの世のはざまみたいな世界を、光に向かって連れだって進む、鹿の一族のように見えました。

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◎気高く神々しい姿

初めて実物を前にして、土屋さんの作品は、想像していたよりもずっとずっと、本当に神々しい姿をしていました。
これみんな神様なんじゃないかな、と思ったくらい、神秘的です。

かなり近くで観察できる場所に、ちょっと近寄りがたいまでのオーラを放つ鹿が佇んでいました。
近くにしゃがんで、その鹿を見上げると、息をのむほど気高く美しい表情をしています。

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キラキラと光る玉眼、今まさに、ふわっとこの場所に降り立ったよう。

正面で向かい合ってみると、今度はとても優しい表情に見えます。
柔らかいまなざしだけど、しっかりと真っ直ぐに見つめる鹿と、視線が合い、また息をのみました。
なんだか胸がいっぱいになって、泣きそうになっていました。

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見つめる角度で、表情がどんどん変わっていくので、全然飽きません。

しゃがんでみたり立ち上がってみたり、随分うろうろしていましたが、本当にずっと見つめていられるなぁ・・・と思いました。

これは写真ではなく、立体である実物と対峙できたからこその感覚でしょう。合わせて、照明も当て方がよく考えられてるんだなぁとも思いました。

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土屋さんは、東京藝術大学の大学院で、文化財保存学彫刻博士課程を修了されています。大学院の在学時より、仏像制作の技術をもとに、このような幻想的な動物の木彫を制作されてらっしゃるそう。

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何とも言えないこの色調。柔らかいシルエット。
山本さんの作り上げた、真っ白で繊細な風景に本当にぴったりでした。

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◎山本基(もとい)さんプロフィール

山本 基(やまもと もとい)
1966年 広島県尾道市生まれ。1995年金沢美術工芸大学絵画専攻卒業。お清めに用いられる「塩」を素材にインスタレーション作品を制作。
主な個展に2005年「しろきしろへ」下山芸術の森・発電所美術館/富山、2009年「ザルツ」クンストステーション・サンクトペーター教会/ケルン、「桜」ミキコサトウ・ギャラリー/ハンブルク、2011年「しろきもりへ」箱根・彫刻の森美術館/神奈川、2012-14年 米国巡回展「海に還る」など。
主なグループ展に2003年「ザ・ファーストステップス」MoMA P.S.1/ニューヨーク、2004年「21世紀の出会い-共鳴、ここ・から」金沢21世紀美術館、2010年「MOTアニュアル2010:装飾」東京都現代美術館、2013年「物の哀れ」エルミタージュ美術館/サンクトペテルブルグ、2016年「瀬戸内国際芸術祭」、「六本木アートナイト」など。

今回同様、お塩のインスタレーションを制作している様子がタイムラプスで観られます。21_21のギャラリーで行われた時の様子だそう。

ちなみに、使われているお塩は固まっていると勝手に思っていたのですが、どうやら、さらさらの粒子状のままのよう。すごいです・・・

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◎土屋仁応(よしまさ)さんプロフィール

土屋仁応(つちや よしまさ)
1977年生まれ 神奈川県横須賀市出身。2001年に東京藝術大学の卒業制作がサロン・ド・プランタン賞を受賞。2007年 東京藝術大学大学院文化財保存学彫刻博士課程修了。大学院在学時より仏像制作の技術をもとにした独自の木彫技法による幻想的な動物の彫刻を制作。
2009年以降、MEGUMI OGITA GALLERY/東京にて定期的に個展を開催。主なグループ展に2010年 「現代木彫の潮流 : 創造と回帰 」北海道立近代美術館、 2011年 「集まれ!おもしろどうぶつ展」横須賀美術館、2014年 「Crafting a Continuum: Rethinking Contemporary Craft」Bellevue Arts Museum/ワシントン、 2016年 「開館90周年記念展 木々との対話──再生をめぐる5つの風景」東京都美術館、 2018年 「第9回円空大賞展」岐阜県美術館など。

土屋さんのTwitterは、いつもお花にあふれていて素敵です。

そうそう、小説家・天童荒太さんの最新刊の装幀にも、土屋さんの作品が!

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◎ぜひ会場でお楽しみを!

会期は8月2日(日)までと、もうしばらく開催中です。ぜひ!ぜひ多くの方に、幻想的なこの空間を体感していただきたいです。
わたしもできればもう何度か、観に行きたいと思っています。

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ちなみに、もっと土屋さんの作品を観たい!という方。
数年前に作品集が出版されていますので、ぜひ!
わたしはよく、夜、眠る前に眺めています。とても美しいです。


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