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初めてProduct Huntでローンチして、4位になった話

湯川です。約2年ほど、米国サンフランシスコ/ニューヨークを拠点にしたスタートアップをやっています。
現在はLifestackという、ウェアラブルデバイス等から取得できる生体データを用いて、1日の中で生産性の高い/低い時間を提案する、カレンダーアプリを作っています(アプリの詳しい話は別の機会に)。

今回は、Product Huntという初期プロダクトをローンチするサイトで、実際にLifestackをローンチしてみての、振り返りをNoteにまとめました。

Product Huntでは毎日20~30ほどのプロダクトがローンチされ、その中から、
ユーザーの投票によって日毎の順位が決まる

Product Huntでのローンチのtips自体は、参考になる記事(一番最後にリンクを貼っておきます)がいくつもあるので、ここではtipsよりも、実際の体験談ベースで進めたいと思います。


0. そもそも結果はどうだったのか

結論から言うと、今回の ローンチは、当日(2024年6月26日)の全体4位、Health & Fitnessカテゴリーではその週の1位、という結果になりました。

Product Huntでは5位内に入ると、Webサイト上に貼れるバッジがもらえます。初めてのローンチにしては、バッジももらえて、良い結果だったかなと思います。

また、自分達の事業領域(productivity tool)で一番有名なメディアを運営しているFrancesco D'Alessioや、Notion初期投資家のBen Lang、Product Hunt創業者のRyan Hoover、Product Hunt現CEOかつTandem創業者のRajiv Ayyangarなどといった、錚々たる人々に投票/コメントしてもらえたのは、非常に嬉しかったです。

ずっと見ていたメディアの人にコメントをもらえて、オタクを発揮する湯川

ユーザー数の推移でいうと、めちゃくちゃ増えたというわけでもないですが、ローンチしてから24時間以内に、それまでのユーザー数の約1.5倍になりました。
ただしこの新規ユーザーに関しては、以前AutoRepurposeというプロダクトで1位を獲得したTaishiさんからも、「Product Huntのユーザーは必ずしもターゲットユーザーと被らないので、backlinkを得ることが目的、くらいの心がけでも良いかも」という旨を教わっており、
あくまでもこれをきっかけに、今後の本格的なユーザー数拡大に繋げていきたいなと思っています。


1. ローンチ前準備

プロダクト自体は半年ほど前に開発着手して、直近3~4ヶ月はClosed Betaと称して、300人ほどのテスターにアプリを試してもらっていました。
最近では課金ユーザーが少しずつ増え始めたこともあり、このタイミングでのローンチを決めました(一応Open Betaと呼んでます)。

Product Hunt自体に向けた準備は、およそ1ヶ月ほど前から始めました。以下が、具体的に行なった準備です。


見た目を整える

もちろんプロダクトとして良いものを作るのは当たり前ですが、Product Huntは必ずしもみんなが実際にプロダクトを使ってみて投票するわけではありません(というか実際のプロダクトを使わずに投票する人がほとんどだと思います)。
そこでまずは、見た目を整えることに注力しました。

ウェブサイトは、以前からお世話になっているhicardさん(特にMidoriさん)にお願いして、すごいスピードで、めちゃくちゃ綺麗に整えてもらいました。

かわいい

またプロダクト自体も、それまではかなりMVP感溢れる仕上がりでしたが、天才CTOのHayato Wakiが細かな部分の修正を急ピッチで行い、自分達でMMP(Minimum Marketable Product)と呼べるレベルには仕上げました。


Coming soonページを作って、知り合いにフォローをお願いする

Product Huntでは、ローンチ前からcoming soonページを作っておくことができます。このcoming soonからプロダクトをフォローした人の元には、ローンチ当日に通知がいく仕組みです。
当日いきなりお願いするよりも、あらかじめ先出ししておくことで、多くの方に応援いただけたのかなと思います。

また、自分も具体的な重みづけはよくわからないですが、bot対策として、作成から日の浅いアカウントからの投票は、ランキングへの影響がかなり軽くなると言われています。
そのため、あらかじめcoming soonページを作っておいて、アカウントを持っていない知り合いには、早めにアカウント作成をお願いすることが大事です。


Product Huntのアカウントを持っていそうな人たちと仲良くなる

上述の通り、新規ユーザーからの票が軽くなることを考えると、既にアカウントを持っている人からの票を集めることも大事です。

当然考えられる一つの方法は、Product Hunt上でアクティブな人と仲良くなることです。
Product Huntにはスレッドを立てて議論をする機能があるので、そこで積極的に発言して、他のユーザーと絡むことが推奨されます。

宣伝のための軽い気持ちで始めたスレッドに、地味に27件もupvoteがついている

そしてこれは、Undesk(かつてProduct Huntで1位をとった、バーチャルデスクアプリ)のYamatoさんから頂いたアドバイスなのですが、
Product Huntはアクティブユーザーのランキングがあるので、上から順に彼らのSNSをフォローして仲良くしておくのも、とても効果的でした。

また必ずしも毎日Product Huntを観に来ていなくとも、アカウントだけ持っているという人も多くいます。
自分の場合は、buildspaceという、最近シリコンバレーで盛り上がっている、個人開発者や起業家などを対象としたコミュニティに参加していたので、そこにいる人々からも助けてもらいました。
Product Huntのアカウントを持っている人が多そうな、PdMやエンジニア系のコミュニティと、日頃から積極的に仲良くしておくと良さそうです。

ちなみに繰り返し、"仲良く"という言葉を使っていますが、これはProduct Huntが、大規模なcold DMをガイドラインで禁止しているためです。
"仲良く"なればcold DMではないですね。


2. ローンチ中

Product Huntは西海岸時間(PT)の12:01AMからの24時間の得票/コメント数で、順位が決まります。
西海岸12:01AMというのは、自分がいる東海岸時間では、3:01AMになります。めちゃくちゃ眠い中、CTOと2人(もう1人の共同創業者は体調不良により自宅から参加)、深夜のWeWorkからローンチを行いました。

深夜の誰もいないWeWorkで誤ってロックアウトしてしまい、絶望しながら撮った写真


最初の4時間が大事

ローンチ後初めの4時間は得票数に関係なく、ランダムな順番でプロダクトが表示されます。その後は得票数順で表示され、当然ですが上の順位のプロダクトほど目立ちやすくなります。
そのため、初め4時間でどれだけ上の順位(できれば5位以内)に入れるかが、大きな分かれ目となります。

西海岸時間12AM開始から4時間というのは、アメリカの知り合いにお願いするには、ほぼ絶望的です。

その点、日本時間だと1PM - 5PMの間になるので、日本の方はこの間で投票してくださる方がとても多かったです。日本に知り合いが多くいて、本当に良かったと思いました。
またアメリカの知り合いでも、寝る前や朝一番で投票してくれた方も多く、非常にありがたかったです。

おかげさまで、最初の4時間が終わって初めての順位では、なんとか3位でスタートできました。
(実はこの後、最初のランキングではTop 5圏外にいたSuperhumanが、さすがのプロダクトの強さで、一気に1位に上り詰めます。普通はかなり難しいと聞きます)。


自分達がお世話になってるプロダクトからの応援

初回ランキングが確定してからしばらくすると、もう一つ別のプロダクトが4位に追い上げ、自分達は5位でほぼ固定になりました。
Top 5に入りたいと思っていたので、このまま終われば問題ないですが、6位のプロダクトは得票数自体は自分達よりも多く(おそらく前述の重みづけの結果ですが、ランキングの詳しいアルゴリズムは正直よくわかりません)、最後まで5位を保てる保証がありませんでした。
できれば4位のプロダクトを抜いて、安心して終わりたいところです。

色々な人に引き続きメッセージを送る中、ノーコードツールのStudioや、各種ウェアラブルデバイスのAPIをまとめて提供するTerraなどの、普段弊社がお世話になっているプロダクトのチームが応援してくれたのは、非常に嬉しかったです。

Studioは以前別プロダクトを開発していた時から使っていますが、本当に超便利。今回LPをアップデートした際もCTOと2人で、「便利すぎん…?」と感動してました
世の中に大量にウェラブルデバイスがある中で、そのほぼ全てに一つのAPIからアクセスできるのは、非常にありがたい

さらには、以前からやり取りをしていたProduct Huntのgrowth担当Jason が、Product Hunt公式のXアカウントからもRTしてくれました。

ちなみに字数制限を超えたツイートだと、リンクのpreview画像が表示されないのは、完全に盲点でした。今回の大きな反省の一つ


Product Huntビジネス

しかしそれでも、なかなか4位のプロダクトとの差が埋まりません。
実はその頃、これはProduct Huntあるあるだと思うのですが、「マーケティングしてあげるから金を払わないか」という趣旨のメッセージが大量にLinkedInに届きました。

興味本位で、「今日ローンチしてるプロダクトのどれかを手伝った?」と聞いたところ、まさにその4位のプロダクトを手伝っていたことが判明したのでした。

Lazy AIは4位のプロダクト。Pygmaは別日に1位になったプロダクト

本来、投票を買うのはProduct Huntのルール違反です。しかし彼らの言い分としては、あくまでpaidマーケティングの一環であって、投票は"副次的に"ついてくるもの、ということでした。

この気持ちの悪いProduct Huntビジネスに加担したくないと思いつつ、LinkedIn上でのプロモーション投稿の数を見るに、4位のプロダクトは既にこのマーケティングにおそらく$1,000近く注ぎ込でいます。

結局終了6時間前ほど前に、意を決して、$100($50×2)だけマーケティングをお願いしました。
そこからはみるみる内に4位のプロダクトに追いつき、最後はわずか4票差で、自分達が4位になることができました。

順位確定直前、おそらくこのマーケティングで増えた投票はほぼ全て無効化(4位だったプロダクトも同様)されましたが、最後の票差を考えると、business decision的には、最小コストで最大インパクトを取れたかなと思います。

もし今後Product Huntでローンチする方は、こういったビジネスが存在することも、ぜひ念頭に入れておいてください。
自分達も次回ローンチする際は、こんなビジネスと関わらなくても済むように、圧倒的に勝ちたいと思います。


3. ローンチ後

ローンチ翌日、Product Hunt growh担当のJasonに紹介してもらったことがきっかけで、Lifestackを気に入ってもらえ、Product Hunt現CEOのRajivと、30分のミーティングをしました。
(ちなみにミーティングのリンクはTandemで、流石だなと思いました笑)

彼自身Tandemを作っていた際に、「Hacker Newsなどでローンチしても無風だったものの、Product Huntでローンチしてみたら、internationalなチームが多くて一気に初期ユーザーを獲得できた」話や、「毎週経営メンバーの学習したことを振り返り、学習スピードが遅い場合は、何を改善すればいいかを議論した」話、
さらには今後の進め方として、「ひたすら今回のローンチで入ってきたユーザーから学び続け、前回よりも確実に変わったなと思えるようになったら、またローンチして別の仮説を検証するのが良い」といったアドバイスまで、色々な話を聞くことができて、とても面白かったです。

忙しいだろうに、めちゃくちゃいい人でした

また、以前ダイエットプログラムを提供するNoomで働かれていたKosuke Moriさんにも、Lifestackを見つけていただいて、ローンチ後に少しお話しさせていただきました。

「PMF前だからこそ重要なgrowthの考え方」や、「ヘルス系アプリ全般の課題感」、「Lifestackの場合はそれをどう乗り越えられそうか」など、本当にとても勉強になりました。
ちなみにMoriさんのNoteも、勉強になることだらけで、非常におすすめです: https://note.com/kosukemori/

週末には、NYCにいるメンバーでの打ち上げも行いました。ちょうどQ2の終わりでもあったので、良い振り返りにもなったかなと思います。
Q3以降、より一層加速していきます。

KentuckyのチームメンバーがNYCに来ていたので、彼女も含めての写真


おわりに

今回は多くの方に応援いただきまして、本当にありがとうございました。もし自分がお力になれることがあれば、ぜひ「あの時応援してやっただろ、その恩を返せ」とお伝えください。喜んでお手伝いさせていただきます。
また、自分が今回色々な方からアドバイスいただいたように、このNoteが今後ローンチする方にとって、何か参考になれば幸いです。

正直ローンチ前は、ちゃんと準備してればまあまあいいところ行けるだろうと思っていましたが、実際にやってみると、意外と難しいことも多かったです。
特に、Product Huntというプラットフォームとの相性(やはりプロダクト開発に関わる人が多いプラットフォームなので、最近だとAIによる自動化系が強い)や、同じ日にローンチする他プロダクトとの兼ね合いなどもあり、
もう一度ローンチするにしても、top 3に入れるかは運次第かなと思ってしまいます。

とはいえ、top 5であればある程度再現性がありそうだなというのも感じました。おそらくこのNoteを読んでいる人で、僕たちよりも全然プロダクトも進んでいて、ネットワークが広い人は、すぐにtop 5なんて入れてしまうと思います。
これまたUndeskのYamatoさんの「Product Huntは一定の閾値超えないと実際のleadに辿り着けない」というのが本当にその通りで、ぜひ今後ローンチする方は、top 5以内を目指してみてください。

最後に、Lifestackはモバイルアプリと、Chrome拡張機能のみ提供していますが、近い将来webアプリ版も出す予定です。
Webアプリ版もProduct Huntでローンチする予定なので、ぜひその際はまた、応援よろしくお願いいたします!


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