CKDG4患者さんのシックデイ対応についてトレーシングレポートで情報提供した症例
今から数年前の事なんだけど・・・
お引越しされた事がきっかけで来局。その処方元は門前クリニック・・・
その際にはCKDステージまでは不明だったし、処方内容もスタチンとCaブロッカーだけだったから、ご本人の話だけが頼りで・・・
ただ、はっきりしていたのは、尿蛋白があり腎臓が悪くなってると転院前の主治医から言われていた事!
なので、まずはCKDステージがどうなのか、尿蛋白があるやなしやを調べてもらおう!なんだけど・・・ ここで問題が。
私のTwitterでのツイートをご覧になっている方々はよーくご存じかと思いますが・・・ 門前のクリニックではとてもじゃないけど信頼するに値せず・・・
採血での溶血も多くてK値が不明なんて事が日常茶飯事。検尿も市民検診以外はしないし。
って事で、過去の採血データをまず探して頂いて、持参して頂くことにした。
ラッキーな事にちゃんと出てきました!過去のデータを拝見させていただいたことろ・・・
eGFR<30ml/min/1.73㎡ 尿蛋白は不明・・・ 血糖値は正常で糖尿は無かった。
って事は~尿糖による尿の泡立ちは否定されたのだから、排尿の際に泡立ちが目立つなら尿蛋白がある可能性が高いわけだ!って事でご本人に尿の泡立ちについて確認したところ、尿の泡立ちが毎回ある事がわかった!
なので色々整理すると~
CKDG4A2~3で腎専門医に紹介するレベルだから、すぐに腎専門クリニックへの受診を促した。
関西で腎専門といえば・・・ あの有名な病院。紹介状はないが、過去の採血データを持参していただいてその有名な腎専門病院に受診して頂くことに。
で~今に至っている。
腎臓内科での採血・検尿よりeGFR<30ml/min/1.73㎡
尿蛋白/クレアチニン比>0.5mg/dl
薬の変更はアミティーザが追加になっただけなのだが、やはり大きな事は患者さんの行動変容だ!もうこれにつきる。
医師や栄養士からの指導と、薬剤師からの説明を病院で受けている。
そして私。みんなが同じ方向を示してその患者さんと向き合っている。
自宅での生活がいかに大切なのかを患者さんは理解できるようになり、どんな事を守れば良いのかを理解するようになり、不安な事があれば医療従事者をすぐに頼る事がいかに大事であるかを理解するようになる。
その生活の中での変化を知るには・・・
まずは血圧を測る事と体重測定。これだけでも重要な変化に気づける事がある。例えば・・・ 起床時血圧が普段より低いとか高いとか・・・ 体重が増えたとか・・・ その前に何があったのかを記載してもらう。前日眠れなかったのか、外食して塩分摂取が多かったのか、下痢したのか、食欲低下であまり食べれなかったのか・・・ 親戚から送られてきた果物を多く食べちゃったとか・・・ ハムやソーセージを頂いて毎朝食べてたとか・・・
この情報がいかに重要か!
採血データを合わせて見てみると・・・
そっか~ なるほどだからこの値がね!なんて事が多々あるわけで~
そうすると患者さんも理解しやすいわけです。
あっ!!! 前置きが長くてすみません。
まぁ~普段からこんなやりとりを患者さんとしているので、不安な事があるとすぐに連絡があるのです。
そんでもって、先日患者さんから電話があり・・・
「下痢をしていて~」との事。発熱や嘔吐は無かった。下痢は水様便。
まずは1週間前からの起床時と寝る前の血圧を確認。
その前に~ 大事なことを書いてませんでした!!
ずいぶん以前から、排尿の際に腹部に力を入れないと排尿できないとの事で、腎臓内科専門医からの紹介で同病院系列の泌尿器に紹介されて~
腹部エコー検査などの結果、残尿を認め、泌尿器よりエブランチルが処方されたのでした。
って事は~
血圧が下がる可能性がある・・・
だけど追加されたタイミングが気温が下がる季節・・・
だとしても~ 寒くなる季節にしては暖かったり・・
でもって下痢かぁ~
やはり血圧低下が気になる。
エブランチル追加前の起床時収縮期血圧は約125~130mmHg
エブランチル追加後2週経過すると、起床時収縮期血圧約120mmHgに低下
現在、腎臓内科からの処方は
アムロジピン5mg0.5錠 ピタバスタチン2mg アミティーザ12μg
過去に大腸がん手術をされており消化器外科からの処方は
大建中湯 マグミット330mg
下痢が続くなら、消化器外科に受診して頂く事もご本人にお伝えし、
まずは、下痢された当日からマグミット330mg、大建中湯控えて頂き(以前から調節については了承されている)、さらなる血圧低下を回避するために、泌尿器処方のエブランチルもいったん中止して頂くことにした。
その血圧低下についてだが・・・
CKD診療ガイドライン2018より
米国の後ろ向きコホート研究で、ESKD(末期腎不全)への進展リスクが収縮期血圧<130mmHgの群で低値ではあるものの、<110mmHg の群では高値であった。
いつも、この事実を意識して、収縮期血圧110mmHg未満になるリスクが高いと考えたケースでは、薬によっては継続を控える事も重要だと思っている。RAS系やビタミンD剤等々・・・
血圧上昇ももちろん良くないが、急激な血圧低下により循環血漿量が低下し、糸球体内圧が低下して、結果糸球体濾過量が低下。
なので~ 後で追加となったエブランチルを控えて頂く事にした。
水分補給も、電解質補給のためにアクエリアスなどで補給していただくようお伝え。カリウムやナトリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなどは腎臓内科からのデータを毎回チェックしており、コントロールできているのを確認している。
アミティーザの中止も考えないといけないけど、今回は下痢がまだ続くなら~と思って、優先順位としては後回しにした。消化器外科の薬は控えてもらうし、下痢の後は便秘にもなりますし。脱水を回避できれば・・・
って事で~
今後もこのようなケースがある事をふまえ、エブランチル処方元である泌尿器科医師に情報提供しておくべきだよなぁ~って思ってトレーシングレポートを使うことに致しました。
ふだん、かかりつけ薬剤師が考えいている事が少しでも伝わればという思いです。ほんとに些細な事かもしれなのだけど・・・
小さなことからコツコツと・・・
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