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はじめまして

こんにちは。吉田なおみです。
私は、岩手県の安比高原というところに小学校を開校したいとプロジェクトを旗揚げして、準備を始めたところです。子どもが互いに支え合いながら、より良い社会を目指して挑戦し続ける人に育ってほしい。そんな想いで2027年の開校を目指しています。これまでの経緯や、自分の想い、考えなどを伝えていきたいと思い、noteを始めました。HP(https://appi-experience.com)も公開していますので、よかったらそちらもご覧ください。

小学校の開校とは、なんとも大きな話で、よくまあそんなことを始めようとしたと、正直、自分でも驚きます。そのきっかけは、父の死で気づくことになった自分の不甲斐なさでした。父は亡くなる直前まで事業を行っていたので、一時的ではあるものの、私がその事業を引き継ぐことになりました。しかし、想定外のことが多すぎて、対応しきれない自分に大きく失望しました。状況が正確に把握できず、自分の意図とは異なる結果が続き、ひたすら自分の力不足を実感する毎日。その後、事業の売却や清算などが完了し、一連の経験からそれまでの自分を振り返って気づくことがありました。それまでの自分は常識や一般的な考え方ばかりを気にして、人の意見に翻弄されることが多く、自分の基準で考えて主体的に行動してこなかった。結果として生前の父の力にも全然なれていなかったことに、恥ずかしながらそのとき初めて気づきました。自分はずっとそうだったと振り返ると、今度は自己否定に苦しむ毎日になりました。

当時私には0歳と6歳の娘がいましたが、そんな経験から、彼女たちには自分のような生き方はして欲しくないと強く思うようになりました。上の娘は小学校に入ったばかりでしたが、子どもが主体的に行動できる機会が少ない旧来の学校教育システムに、過去の自分を投影して、少しモヤモヤしていることに気がつきました。それまでの常識ばかりを意識していた自分であれば、この違和感にフタをしていたと思いますが、先の反省からあらためて学校教育について調べるようになりました。そして国際バカロレアの存在を知ったのです。国際バカロレアの初等教育プログラム・PYP(Primary Years Programme)は、生徒が学びの主体です。だれもが持っている一人ひとりの学びたいという欲求を満たし、生徒間や先生と生徒の関係を強くすることを第一に考えています。私はこの枠組みに魅力を感じ、思い切って国際バカロレアのアジア本部のあるシンガポールに家族で移り住むことにしました。現在も下の娘は、PYPを導入している学校に通っています。

娘の通う学校では、授業でも課外活動でも、子どもたちが活動の中身を選択し、主体的に活動しています。またどの授業でも生徒は感じたことを自由に発信でき、また他の生徒の発信に反応することで、お互いに積極的に学び合うサイクルが生まれています。教科書だけではなく、自分の感覚やクラスの生徒からも学んでいる点や、できることを増やすのではなく、楽しいと思うことに積極的に取り組んでいる娘の様子が新鮮で、親としても嬉しく、頼もしく感じました。

そんなとき、定期的に訪れていた安比高原で、学校を立ち上げようと動くに至る第二の出来事がありました。安比高原は私が小さい頃から家族で頻繁に訪れている場所で、地域の人とも交流があり、私にとっては第二の故郷のようなところです。結婚して子どもができてからも、家族で定期的に訪れて、スキーや自然学校に参加したりしていました。自然学校にはいろいろな体験プログラムがあり、季節に応じて四季折々の自然を感じることができます。森林を散策しながら、鳥の鳴き声を聞いたり、動物の足跡を追ったり、葉の形や色を観察したり。人と自然の繋がりを感じながら、動植物の生態系を学ぶことができます。私も自然学校ができた当初から参加していましたが、子どもが生まれてからは親子で参加するようになり、娘たちの反応を見るのも楽しみの一つになっていました。ある時、自然学校でブナ林を散策していると、普段は落ち着かない娘が、セミの羽化の様子をしばらくじっと動かず観察していました。私はその姿を見て驚きました。娘はじっとしていることができず、常に動き回っていることが多い子で、そのことで幼稚園から何度か指摘を受けていたほどだったのです。セミの様子に関心を示し、集中している娘の背中を見たその時から、こういう自然学校での主体的な活動を授業に取り入れた学校があったらどんな感じなんだろうと、ぼんやり妄想するようになりました。

安比高原のブナ林
自然学校の様子


山や林といったフィールドの中で、ありのままの自然を五感で感じることは、主体的な学びの入り口になるのでは? 探究活動や自己探求などを繰り返していくことで、主体的な姿勢で社会と関われるようになっていくのでは? 農作業や植林活動を行うことで、地域社会の課題も自分ごととして考えられるようになるのでは? それに地域住民の方もメンバーになって、生徒と一緒に地域課題の解消を目指すラーニングコミュニティが築けるかもしれない。 そんな経験が増えていくと、自分の属するコミュニティを広げていきたいと思うようになるんじゃないか? だんだん妄想が大きくなってきました。安比高原には古くから続く伝統や文化が根強く残っていて、地域の人の強い思いから学ぶことはたくさんあるはず。ここにそれができる学校があったら…。

私は教育分野での経験も事業立ち上げの経験もありません。こういう学校があったら良いなと妄想を続けるだけで、学校を作ろうなどという発想は、当初は全くありませんでした。ですが、調べていくなかで、学校を作りたいと思っている人が全国各地にいることを知り、熱い思いに突き動かされて活動している人たちに大きな刺激を受けました。そんな中で、自分も主体的に社会と関わりたい、自分の考えを行動で示していきたいと思うようにもなっていきました。いろいろと妄想がふくらみ、そんな自分の想いや、描いた妄想を主人にも聞いてもらいました。主人は
「学校?とてもいいと思う。大きなチャレンジだけど、やってみよう。」
と言ってくれました。主人は私が悩み、苦しみ、悶々としていた時期を支えてくれていたので、理解を得られたことはとてもありがたかったです。

そのような流れの中で、理想の小学校を実現したいという思いが芽生え、ふくらみ、足を動かし始めました。そして地域住民の方や自治体の方にも話を聞いていただけるようになり、協力していただける方も増えてきています。そしてかれこれ6年ほど悩んだり妄想したりの末でしたが、ついに学校づくりのプロジェクトを旗揚げすると決意しました。それからは教育関係の本を読んだり、セミナーやイベントに参加したり、猛勉強の毎日です。

これからこのnoteでは、日常で感じていること、考えていることを、学校づくりに関連することを中心に書いていきたいと思っています。まだ走り出したばかりで、これからどんな活動をしていこうか、いろいろなアイデアの中から前向きに検討中です。興味を持っていただけるようでしたら、ぜひご連絡ください。一緒に学校を作っていく仲間を探しています!
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