『サイレント フォールアウト。知らないなんて恐ろし過ぎる事実。』
突然、激しく頭を殴打された…
一瞬、何が何だか分からなくなった。
それほどのショックを受けた。
ドキュメンタリー
『サイレント フォールアウト
〜乳歯が語る大気汚染〜 』
直訳すると…
『静かな 放射性降下物』である。
これだけ甚大で深刻な被害を出している事実が、
世界に知られていないなんて。
そして、
いとも簡単に地球規模で
放射能汚染が進んでしまっているのに、
そのことに誰も気づかず、
そして誰も責任を取っていないことに愕然とした。
1950年代から60年代にかけて…
なんと!
アメリカのネバダ核実験場で
大気圏内での大規模な核実験が
およそ100回に渡って行われ続けたのだ。
ラスベガスのリゾートホテルから見えるキノコ雲は
当時、観光の目玉にまでなった。
そんな資料があまたあることから、
都市伝説レベルのことではないのが容易に分かる。
実際にあった驚愕の事実である。
当初、
核実験の危険性は一切、
インフォメーションされなかった。
核実験の恐ろしさは
核爆弾の投下後、何年も続く。
度重なる核実験で大量に発生した
有害なセシウムやストロンチウムが
風に乗って全米各地に広がって行った。
核実験場の風下では、
普通に沢山の人が働いていた。
牧場を生業にしていた地元の人が
インタビューに答える。
『ある日、兄はヒドイ日焼けをしたような状態で
家に帰って来ました。
牧場からの帰り道に通った渓谷で、
濃い霧のようなところを通ったと言うのです。
通っている間、金属のような味がしたと。
その後、兄は癌になり若くして亡くなりました。
一緒に働いていた父も、ほかの兄弟も
癌で数年のうちに亡くなってしまったのです。』
核実験場の風下の地域の人々の死因は、
癌、白血病、脳腫瘍…
牧場には牛がいた。
放射性物質に汚染された牧草を食べ続けた乳牛は
危険なミルクを作り続けた。
風に乗って拡散し続ける放射性物質。
動物を通して人間の体内に取り込まれる有害物質。
しかし、
アメリカ政府は当初、それを認めなかった。
認めないどころか、
危険性すら喚起しなかったのである。
核実験場から、
風の流れによって、
有害物質が集まって降り注ぐ地形の場所に
大きな街があった。
突然、増え続ける癌の患者数。
「雨に当たると放射能汚染される。
牛乳には放射性物質が入っている。」
当時、まことしやかに囁かれた噂。
何かがおかしい。
いち早く危険を感じたのは母親たちだった。
政府が否定する放射能汚染。
まずは、その事実をつかむしかない。
母親でもある医者がママ友と立ち上がり、
生え変わる子供たちの乳歯に目をつけた。
地域の小学校や歯医者さんにお願いをして
乳歯を集める活動を始める。
「私の乳歯を科学のために捧げます。」
多くの子供たち、お母さんたちが協力をした。
集まった乳歯の数は
32万本。
一本、一本、丁寧に調べると
驚きの結果が出た。
核実験場から遠い街の子供たちの乳歯からも
セシウムやストロンチウムが検出されたのである。
ネバダの核実験の被害は
ネバダ周辺だけではなく
全米各地に広がっていたのである。
牛だけではない。
時を同じくして太平洋のビキニ環礁では
太平洋の核実験場として
水爆の実験がなん度も行われていた。
ビキニ環礁の近くは
当時、
日本のマグロ漁船における
遠洋漁業の中心的な海洋だった。
マグロ漁船の乗組員の多くが
癌で亡くなった。
船で獲れたてのマグロをさばくと、
赤黒い腫瘍のようなかたまりが
内臓から次から次へと出て来て驚いた。
当時の船員が話す。
しかし…
核実験をしていたのはアメリカだけではない。
ソ連、中国、フランス…
ある日、
乳歯を集める母たちの代表の家の電話が鳴った。
『ジョン・フィッツジェラルド・ケネディですが、
お母さんは居ますか?』
1963年8月5日。
アメリカのケネディ大統領の働きかけで、
アメリカ・イギリス・ソ連の三国によって
部分的核実験禁止条約が締結される。
しかし。
大気圏内外と水中の核実験は禁止されたが、
地下実験は容認された。
また
当初はフランスと中国が参加しなかった。
その後、中国政府は
46回におよぶ核実験を行ったと公式発表している。
最後に行われた大気圏内の核実験は
1980年10月16日である。
放射性降下物は風に乗る。
風に乗って地球を回り続ける。
アメリカやソ連、中国だけのことではないのだ。
かけがえのない地球を、
核兵器を持つことで優位に立とうとする人間たちが
破壊して行く。
そして、
その事実すら、
私たちは知らされない。
こんなことがあって良いのだろうか。
こんなことが許されて良いのだろうか。
ドキュメンタリー
『サイレント フォールアウト
〜乳歯が語る大気汚染〜 』。
亡くなられた人たち、
汚された地球を考えると
激しい憤りと果てしない慟哭が残った。
今、私たちにできることは
まず、その事実を知ること。
知って考えること。
政治的には
核兵器を持つことが必要なのかもしれない。
しかし、
『サイレント フォールアウト
〜乳歯が語る大気汚染〜 』を観た後でも、
同じ考えでいられるだろうか。
知ることは、
人の考えを変える。
考えが変われば行動が変わる。
行動が変われば未来が変わる。
私はそう信じている。
まずは皆さんに知って欲しい。
Silent Fallout 公式予告編
日本語版 https://youtu.be/dPJGVpJJ6iY
英語版 https://youtu.be/hchLgbpOBvg
〜 ※ 〜 ※ 〜
今回、私は…
レオ財団の橘 俊夫さんにご縁を頂き、
19年もの間、取材を続けて来た
元南海放送の伊東 英朗さんの上映会に
行くことが出来ました。
沢山の方に知って頂きたく思います。
『知ること』で未来を変えられると信じます。
上映会を出来る方、ご連絡をお待ちしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?