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死後離婚する人が増えている!?亡くなっただけでは縁が完全に切れない理由と、姻族関係終了届の重要性を徹底解説!

離婚より蒸発する方が手っ取り早い!なんて言われていた時代もありましたが、近年では離婚はそんなに難しいことではないのかもしれません。
令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)によると、婚姻件数は50万1116組、離婚件数は18万4386組で3組に1組弱が離婚しています。

とはいえ、一旦婚姻届を提出すると、離婚という手続きを取らず、配偶者が亡くなって夫婦の関係が終了する場合の方が多いことに違いはありません。

では、国内の離婚しない夫婦が全てラブラブなの??といえば、う〜〜ん、、、という感じですね。

今回の記事では、結婚や離婚の是非を問いたいのではありません。

30代から始めるエンディングノートのつくり方でも触れていますが、「離婚」は離婚届やを提出したら、「死別」は死亡届を提出したら”はい終わり!さようなら!”というだけでは済まされないのです。

今回は、最近注目されている「死後離婚=姻族関係終了届」について、本当に「はい終わり!さようなら!」にする場合の「姻族関係終了届」の重要性を解説していきます。

【重要】配偶者死亡だけでは全ての縁を切ることはできません

永遠の愛を誓った結婚も、些細なことから関係がこじれることもある。
離婚届までは出さなかったけど「家庭内別居状態でした」とか「配偶者はいいけど親族とは一切関係したくない!」という声も少なくありませんね。

そんな状態でも、配偶者が亡くなると夫婦関係は解消します。
「我慢してたのよ!やっと解放されたわ〜〜、もうこれで一切関係なくなる!」(笑)

ちょっと待ってください!
亡くなっただけでは、配偶者以外の姻族との関係は解消されません。

あなたが縁を切りたいのは配偶者だけ?ですか?

確かに配偶者が亡くなれば、婚姻関係は解消され、他人になります。
(子どもとの親子関係は変わりません)
が!配偶者が亡くなって死亡届を提出しただけでは、婚姻届を提出した際に繋がってしまった、元配偶者の親族との姻族関係は解消されていないのです。

死亡届を提出すると、亡くなった人を戸籍の記載を消したり、火葬や埋葬の許可がおりたりします。
配偶者の人生の終焉と共に、夫婦の婚姻関係が終了したことになります。

一方姻族関係終了届は、夫婦だけでなく、お互いの親族との関係も終了する手続きです。

違いに気づいていただけましたか?
死亡届だけでは、婚姻関係は終了しますが、姻族関係は続くということなのです。

婚姻届を提出することで生まれる姻族関係

婚姻届を提出すると、本人同士はもちろん、本人の親や兄弟姉妹とも姻族関係が生まれます。
姻族関係は3等身内となっており、これは結構広範囲です。

本人からみて「曽祖父母、祖父母、父母、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、甥・姪、おじ、おば」が3等身内の関係になります。

思っている以上に広い範囲ではありませんか?

姻族関係にあることで生まれる義務

姻族関係?だから何?
別に会うこともないし、配偶者自信も親族との付き合いはないって言ってるし、関係ないんじゃないの?

いえいえ、そういう訳にはいかないのが「姻族関係」なのです。

普段は全く疎遠であったとしても、姻族関係にあるということは、困った時には助けなさいよ、その義務があるんですよ、ということです。

民法877条の2項に

家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

民法877条第2項

とあります。
もちろん、まずは直系の親子や兄弟姉妹に扶養の義務がある訳です。
しかし、現代は少子高齢化。
気づけばおひとりさまのおじ、おばの世話をすることになる、おじ、おばの住まなくなった家を相続してしまう、ということが起こっています。

姻族関係終了届を提出すべき人

その1 配偶者と死別をした人

配偶者と死別した場合、配偶者の親族(親や場合によっては兄弟姉妹)の相続には一切関係なくなります。

しかし、相続の権利はないにも関わらず、
・元配偶者の親の世話をしなくてはならない
・意地悪な姑や小姑の世話をしなくてはならない
・一緒のお墓には入りたくない
など、親族との関わりをこれ以上持ちたくないという方もおられます。

もちろん、人間関係だけでなく、親の負債や生活費の支援や介護など、経済的な負担を負うこともあります。

配偶者ならまだしも、いなくなったのになぜ?
そんな気持ちにもなるかもしれません。

その2 姻族の中に負債を抱えている人、おひとりさまがいる場合

最初にも

離婚届を提出しただけでは、婚姻届を提出した際に繋がってしまった、元配偶者の親族との姻族関係は解消されていない

とお伝えしました。
繰り返しになりますが、死亡届は「夫婦間の関係を終了する手続き」なのです。

ですから、夫婦関係が終了したからには、その親族との関係も一切持ちたくない、2度と関わらない!と思っている方は、ぜひ姻族関係終了届を提出してください。

姻族関係終了届を提出しないでそのままになっていると、元配偶者の親の介護やおじさん、おばさんの介護、相続する人が決まらない土地の管理義務を負わされるなど、様々なトラブルに巻き込まれることがあります。

実際に、突然法務局や税務署から関係がほぼなかった親族の税金の請求がきた、土地を管理しなさいと通知がきた、という相談が増えています。

そんな時にも、姻族関係終了届を提出することで、元配偶者の親族との関係を終了させることができます。

なぜ姻族関係終了届の存在は知られていないのか?

それでは死亡届は提出するのに、なぜ「姻族関係終了届を提出する」ということは知られていないのでしょう?

背景には
・もう一つ届を出すという煩雑さ
・姻族関係終了届を提出することで発生する法的な効果やメリットが知られていない
・日本社会では家族の絆や縁を重視する傾向があるため

などが考えられます。

しかし近年は、家族の絆や縁という言葉だけでは片付けられない問題。

先ほどお伝えしたように、自分が危険空き家の相続人になっていた、姻族関係がある親族の葬儀や納骨の依頼がきたなど、知らなかったんです!では済まされないのです。

姻族関係終了届の提出からその後のこと

姻族関係終了届の提出ってどうするの?

離婚届などと同じように、本人の本籍地、もしくは住所地の市区町村役場の窓口に婚姻関係終了届を提出すればOKです。

届出用紙は、提出する各市区町村役場の窓口で受け取る他、ダウンロードなどもできます。

姻族関係者に言わず、こっそり提出しても大丈夫!

姻族関係終了届のことをお伝えすると「親や親族に反対されたらどうしよう」と言われることがあります。

しかし、その悩みは不要です!!

実は、姻族関係終了届は、姻族関係にある人たちの同意や、その人たちに断りをする必要はありません。

死別後の姻族関係終了届を提出したら姓はどうなる?

配偶者は亡くなったけど、子どものためにも姓はそのままにしておきたい。
そんな時、姻族関係終了届を提出したら?

大丈夫です。
姓はそのまま引き継ぎます。

離婚後は、旧姓に戻るか婚姻時の苗字を名乗り続けるかを選ぶわけですが、姻族関係終了届を提出した場合は、婚姻時の姓を名乗ることになります。

え?それはいや!
姻族関係も断ちたいし、苗字だって旧姓に戻したい!

そんな時には「復氏届」を提出することで、旧姓に戻すことができます。

姻族関係は終了したいけど、遺族年金は受け取りたい!

姑や面倒な親族との関係は断ち切りたいけど、遺族年金はもらう権利あるでしょう?!

そうですよね。それは当然です。

姻族関係終了届を提出したら、遺族年金ももらえないの?と言うご質問もありますが、大丈夫!受け取り続けることができます。

面倒な関係を断ち切っても、復氏届で旧姓に戻っても、遺族年金はあなたが受け取り可能です!

自分の都合で子どもの権利まで奪ってしまわない?

そうですよね。
自分は関係を断ち切りたい!と思うけど、子どもの相続権や代襲相続の権利(子の親が祖父母より先に亡くなった場合など、祖父母の財産を子が相続する権利)までなくなったらどうしよう・・・

なんと!これも大丈夫です。

姻族関係終了届を提出していた場合でも、子どもは祖父母と血族であることに変わりはありません。

子どもにとって、親は離婚届と姻族関係終了届を出すことで元配偶者や親族と他人になっている訳ですが、子どもの場合は「血族」の関係は終了しないのです。

姻族関係終了届を提出するデメリットもあります

親や親族との関係を終了することができるメリットはありますが、デメリットももちろんあります。

自分自身が入るお墓はどうするのか?
元配偶者が、関係を終了する親のお墓に入っている場合、お墓参りなどに行きづらい。自分が一緒に入りたくても入れないことがある。
法事や年忌法要などの際、親や親族とトラブルになる可能性がある。

このようなデメリットも知っていただいた上で、お墓や法事などについては、事前に考えてから提出しましょう。

姻族関係終了届を提出する場合、親の責任と子どもが気を付けること

先ほど、子どもには親の相続の権利も、代襲相続の権利もあるとお伝えしました。

文字や言葉で「相続できる」といと、プラスの資産を想像しがちですが、相続するのは負債などのマイナス資産や、どうにもならない空き家などの負動産も同じです。

姻族関係を終了することで、提出した親は相続や姻族に関する扶養義務は無くなりますが、子は血族関係なので相続も、扶養義務も継続してしまいます。

ですから、マイナス資産を相続することになりそうな場合や、祖父母やおじ、おばなどの介護や扶養義務が発生しそうな場合の対処法を、子どもに伝えておく必要があります。

①相続や代襲相続が発生する場合に「マイナスの方が大きい」という場合

相続放棄の手続きを取る
相続が発生した日、または相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内なら、相続放棄の申請が可能です。

子が未成年者の場合には、代理人が申請することになります。

そのためにも、どんなに2度と連絡など取りたくない!という関係で別れたとしても、子どもがいる場合は、必ず連絡が取れるようにしておいてください。

詳しくは「書いて残す理由と意義がよくわかる!30代から始める「エンディングノート」のつくり方:赤川直美著をご覧くださいね!

②祖父母やおじ、おばなどの介護や扶養義務が発生した場合

一人で抱え込まず、地域包括支援センターや専門家に相談する

もちろん、親は関係を絶っているとはいえ、子どもは祖父母と仲がよく、お世話が必要になれば積極的に行いたい、ということもあるでしょう。

しかし、親の離婚後、死別後は全く疎遠だった祖父母や、ほとんど会ったこともない親族に関して、介護や金銭的な負担をするのは無理!

そんな時には、一人で抱え込まずに専門機関に相談しましょう。

法律では、直系血族及び兄弟姉妹、配偶者などに対する扶養義務はあります。

でも、一番大切なのは「自分の人生」です。

自分の人生を台無しにしてまで、苦しみながら扶養義務を遂行することは、誰にとっても良いことではありません。

経済的な負担が大きすぎて無理!という場合には、生活保護などの制度もあります。

専門機関に相談できる!ということを、親として子に伝える、子も放棄する方法がある、ということを知っておいてくださいね。

姻族関係終了届まとめ

姻族関係終了届は、あまり浸透していない届出ですが、実はとても大切な届出なのではないか?と思っています。

もちろん亡くなったからといって、親族と急に縁を切るようなことはしたくない!と言う方もおられるでしょう。

しかし、人情だけでは済まされないようなトラブルが発生しているのも事実です。

廃墟となった空き家の管理責任が自分にもあったなんて!
自分も相続人だったなんて!
知らなかったんです!

そうです。
亡くなったな〜とは思っていた、親戚から聞いていたけど、実は自分が相続人になるなんて、思ってもみなかった。

相続放棄は「相続開始を知った時から3ヶ月以内」ですから、知っていたのに相続放棄をしなかった=相続する意思がある、ということになる訳です。

配偶者が亡くなってお別れした際には、
姻族関係終了届という物がある
姻族関係終了届のメリット、デメリットを知る

ここから始めてください。

姻族関係終了届について動画で解説しています

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