見出し画像

イノベーションとリーダーシップ-2

--------------
(第二章 イノベーションとリーダーシップP21)
優れたリーダーは、「私」とはいわない。意識して言わないのではない。
「私」を考えないのである。
いつも「われわれ」と考える。チームを考える。
--------------

間違ったリーダーは「私が」と言う。
私がやりました。
私が頑張りました。
と言う。

ドラッカーは、なぜリーダーは「私」を考えずに「われわれ」と考えるのでしょうか?

私の師である今岡善次郎先生は、
「ドラッカーのマネジメントは経営陣や専門家に限定しない。
あらゆるレベルで現場の一人ひとりを含むプロジェクトマネジメントの有機的統合である」
と言われます。

どういうことか?
①組織構造の視点と②個人と組織のあり方 両面から説明できます。

まず、現在、組織構造は大きく変化しています。
かつては社長を頂点にピラミッド型のヒエラルキーを持ち
部長、課長、係長、のようにタテで分かれていました。
また、営業部、企画部、というようにセクションごとに専門分化していました。

ところが、これからの組織は垣根がなくなり、
各自が個人事業主のような視点で自律的に他の人や他のチームの役に立つように仕事をし、最終的に組織全体でお客様のお役に立つ仕事のしかたに変わります。

現場の一人ひとりが意思決定をし、各自が責任をもって成果を作り上げていきます。
それを経営者1人でやり遂げたかのように考えるのはおこがましいですよね。


②次に個人と組織のありかたですが

誰だって自分のやってきたことや努力は人に認められたいもの。
私はそれを一概に悪いことだとは思いません。

けれど、組織はたくさんの人の力をもらって成果を出すものなので、その視点を忘れてはならないのです。

私は、組織のリーダーだった時、ドラッカーの書籍と出会い、深く反省しました。
以下の問いに丁寧に答えていくことによって、自分自身がいかに傲慢に生きてきたかがよくわかったのです。

・私という人間が今なぜ存在できているのか?

・なぜ私が組織にいられるのだろうか?

・お客様が満足してもらうために組織にいる私が何ができるのだろう、果たすべき役割はなんだろうか?

・どれだけ多くの人の力によって組織が運営されているのだろうか?

・過去どれだけたくさんの人の時間や労力、願いが結実して自分が存在できているか

などを想像してみる。

すると、自分が大きな生命体の中の1個の細胞として心底生かされていることを自覚できました。
誰が偉いとか自分は頑張ったとかそんなのはどうでもよく
与えられた使命に基づいて、ただ淡々と自らの責任を果たすのだ、という心境にたどり着いたのです。

各自の使命をもちつつ、組織の使命を理解し共に働いてくださる人々に心から感謝をし、そして周りから感謝をされつつ働く。組織が人間の体のように心と頭と体が一体となって動き成果を出すことができます。
こうした認識になれば細胞1つの「私」を考えるのではなく
「われわれ」という言葉を使うのはむしろ当たり前と感じますね。

・・・・・・・・・・・・・・
(第二章 イノベーションとリーダーシップP21より)

彼らは、自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。
責任を引き受け、
逃げることをしない。成果は「われわれ」のものとする。

考えることは、なされるべきことと、チームのことだけである。
そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされる。
・・・・・・・・・・・・・・

「リーダーは、自分の仕事が何かを知っている」この言葉は重いですね。
自分の仕事が何かを知らない人はリーダーとは呼べない、ということです。


リーダーは人と組織を活かし、お客様のお役に立つという最終成果に向かって全体を構築します。
それがリーダーの仕事です。

先ほど、組織構造が大きく変化していると先ほど述べました。
組織構造に伴い、ピラミッド型からフラット型に移行します。

変化する組織のカタチ

変化の流れが激しい現代において、意思決定が遅く柔軟な対応ができないような組織は顧客にニーズに対応できません。

そこで、管理階層を少なくする事で、現場に近い人に権限が委譲され、
スタッフ各自が高い自立性を持って行動するフラットな組織形態になります。

フラット型組織では、スタッフが明確な判断基準をもち、なるべく上長による意思確認を待たず自律的に行動します。

組織では、基本的に「自由」な意思決定が尊重されるのです。

「自由」と自立、自律、自己責任を前提とした組織では、リーダーはスタッフへ仕事の依頼の仕方が変わります。

仕事をしてもらうために「力や命令」で人を動かすのではなく
「各自の責任と貢献」したい気持ちを引き出して仕事をしてもらうのです。

スタッフはたとえリーダー(上司)からの依頼であっても条件によってはNOといえる力をもちます。

こうした「自由」を前提とした中で
リーダーはスタッフの強み、主体性、能力を引き出し、組織の成果につながるように仕事を組織化します。
これがリーダーの仕事であり責任になります。

成果が出た場合は、全員の強み、主体性、能力が引き出せた結果であるので「われわれの成果」と呼ぶのですね。


こうしたリーダーの認識と仕事に対する責任を果たす姿勢があって共に働く人々の信頼を生み、正しく仕事がなされてゆくのですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?