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判断に迷った時に戻る場所が組織のミッション

非営利組織の経営 第一部 第1章はミッションについて述べられています


NPOはミッションに始まりミッションに終わると言われるくらい重要なキーワードなので、この章は丁寧に書いていきます。

企業経営者のなかには、「経営理念」は「飾り」に近い扱いだった人もいるかもしれないけれど、今後は、経営理念(ミッション)やビジョンで企業価値を判断される時代になってきていますから、見逃せないテーマです。

あ、ちなみに、なぜ経営理念(ミッション)やビジョンで判断されるかというと、経営理念(ミッション)はその会社の「ありかた」、ビジョンは「結論」だからです。経営理念(ミッション)やビジョンを見ればその会社が将来どうなるのかがわかっちゃう。富士山に登るのかエベレストを登るのかがわかる。だから、一緒に働く人や関わる人が目指す方向に合うかどうかを判断する材料となる、というワケです。

では、はじめましょう。

ミッションの価値は文章の美しさにあるのではない。正しい行動をもたらすことにある。

(P2)と、あります。


ミッションは正しい行動をもたらす?
アレ?(・_・)
「正しい行動」って一体なんだ?!

そう
正しい行動をもたらす、実はこれがミッションの最大の効力なのです。


NPOで運営がぎくしゃくしたり、メンバーとのコミュニケーションがうまくいかなくなる原因の一つに、この「正しい行動の定義」と「認識の統一」がなされていないことがあげられます。

人はぼんやり方向性を示されただけだと、各自の価値観(言葉の裏側にくっついているイメージや考え)を基準に言葉を解釈します。

例えば、ある団体が「環境を良くしよう!」とミッションを定義したとしよう。

「環境を良くする」という言葉の定義はあまりに広いため、人によって、いろんな解釈ができてしまいます。


例えば
木を植えて自然環境を良くすることも「環境」だし
石油に代わるエネルギーを開発することも「環境」の役に立つ
オフィスを心地よく過ごせる設備を整えることも「環境」かもしれない。

かかわる人の数だけ言葉の定義は違います。しかも、NPOは多くの関係者をかかえるのが宿命。ミッションの定義が漠然としたままだと、コミュニケーションに混乱が生じてしまいます。

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例えばあなたの組織で、こんな会話があったら要注意
Aさん:私はこれが「環境にとって良い」ことだと思ったのよ!
B:えっ?私は「環境」って違う意味でとらえていたわ!私の考えは間違ってるの?

と、お互いびっくり仰天!!

実は、AさんもBさんも間違っていません。

この世のほとんどの人が、自分の考える「常識」がほかの人も同じように「常識」だと思い込んでいます。
それが、すべてのコミュニケーションにおけるすれ違いの原因となっています。

結局ここでの問題は、①言葉の定義において自分と相手は同じモノサシを使っているとの思い込みがあることです。


もうひとつは
②具体的判断基準があいまいだと、何が正しいかの判断ができず現場の人たちが混乱してしまうのです。

現場において、正しい判断基準が与えられないまま仕事をすることほど苦しいことはない。常に迷い、悩み苦しませてしまう。


私は組織のミッションを考えるとき、この二つのポイントを当時見抜けませんでした。


できれば多くの人の役に立ちたい
だから理念も多くの意図を盛り込んでしまった。

これが組織内分裂の引き金となったのです。


ミッションはシンプルにしなければならなかった
ドラッカー先生も言っている
Tシャツに似合うようなシンプルなミッションを考えなさい、と。

「重要なのは(リーダーの)カリスマ性ではない。ミッションである。したがってリーダーが初めに行うべきは自らの組織のミッションを考え抜き、定義することである」


リーダーの立場にいる方は本当に大変重い役割を担っておられると思います。


あるべき姿を指し示し、携わる人たちが共感し、行動する勇気と判断基準のモノサシとなるのがミッションの力です。


どうか、ミッションを考え抜く時間をおろそかにしないでください。

設立当初、私はミッションを考える時間を一年間持ちましたが、まだまだ未熟でした。

ミッションは日々の活動を通して、進化し磨かれるものだと私は考えています。

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