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組織の立ち位置と役割を明確にする。

産官連携をする場合、NPOは自らの立ち位置をはっきりさせておかなくてはいけません。

恥ずかしながら、NPOを運営しているときに私はこの点があいまいでした。

NPOが行政と協働する時、企業と協働する時、いつも私の頭の中はモヤモヤしていました。

どこからどこまでが行政の仕事で、私たちNPOは何をどこまで責任を負えばよいのか。
企業は私たちをどのような位置づけで見ているのか?

当時私はNPOは企業にも行政寄りもなることなく自立していなければならない、ということだけはわかっていました。

企業からNPOに資金提供がある場合、運営は安定します。しかし企業に依存し、企業の言いなりになったり、企業に都合よく使われて企業側にコントロールされる恐れもあります。

行政にくっつきすぎれば、行政の顔色を見て仕事をしたり、なんでもかんでも補助金を得る官依存のNPOになってしまいます。

また、別の観点からも私のモヤモヤは加速していました。
例えば子育て支援と称する託児所について例を挙げます。託児所は企業も行政もNPOもそれぞれサービスを提供しています。

しかし、企業と行政とNPOのそれぞれの立ち位置や役割は何が違うのか?
どのように棲み分けをすればよいのか?
わたしには答えがありませんでした。

このモヤモヤな気持ちのままドラッカー先生の「非営利組織の経営」を読みはじめ、最初の「まえがき」を読んだとき、非常にすっきりしたのを今でも覚えています。

そこにはこう書かれています。

「非営利組織は、政府や企業とは違う何かを行う。企業は財とサービスを供給する。
政府はコントロールする。
企業は、顧客が買い、払い、顧客のニーズが満たされたとき役割を果たす。
政府は、自らの政策が意図した成果をもたらしたとき役割を果たす。
非営利組織は、人を変えたとき役割を果たす。非営利組織が生み出すものは、治癒した患者、学ぶ生徒、自立した成人、すなわち変革された人の人生である。


人を変えたときにNPOは役割を果たす。なんと心に炎が灯る言葉でしょうか!
人が集まれば社会になります。ということは、人も社会も変革することがNPOの役割なのではないでしょうか。
新しい時代を切り開く革命児がNPO!です。

託児所を例にとれば、企業も行政もNPOもやっている行為は、みな託児です。
けれど、先に書いたようにNPOは人を変革する役割を担っています。

ここで問うべきは、「NPOは人や社会の何を変革しようとしているか?」ではないでしょうか?

変革する、ということは現状に満足していないことを意味します。
NPOには「こうあるべき!」という組織の理想像があり、現実のよどみから人々を引き上げ、理想に到達するために人々を啓蒙しチャレンジする組織(目的を持った人の集まり=組織)がNPOということになります。

今まで誰もどこもやっていない手法で地域に住む人々の困りごとをとらえ、顧客を開拓し、啓蒙し、解決するための方法を考え提供する組織がNPOと言うことになります。

つまりそれは、新しい社会や新しい理想のコミュニティを実現するための実験場がNPOに求められている、ということになります。
しかし、現状の路線を否定し、未知の世界へ踏み出そうとすれば、たくさんの失敗をします。失敗を運命づけられた組織、それがNPOです。

失敗は辛いですね。
ここで、エジソンの失敗論に学ぶ必要があります。
「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」
求めている結果に辿り着くため、科学者は幾度となく研究を繰り返します。失敗はその過程で起きるひとつの出来事にしかすぎないと彼らは考えます。
むしろ、その失敗から次のステップが見えてくることもあるので、彼らにとっては成功と同じくらい必要であり、ありがたいものなのです。

頭では理解していても私たちは、失敗に怯え、足を止めてしまう傾向にあります。
失敗という言葉を聞くと、うまくいかなかった過去の経験をもとに自己否定してしまいます。「失敗=ネガティブ」という概念が深く染み込んでいるからです。

しかし科学者の視点からすると、失敗はあくまでも成功への過程であって、失敗をしてこそ、「自分の理想や目標に近づく」という認識なのです。
そう考えると、新しくものごとにチャレンジする際、ずいぶん気持ちが楽になりませんか?

新しい時代を作っていくためにはイノベーションが必要です。
NPOは、イノベーターということになりますね。
イノベーターは失敗することが許されているということです。100の失敗から1の成功を作り上げたとき、それが新しい時代の「あたりまえ」になっていきます。

ここで原点にかえり自らの足元を見直す必要があります。
もしNPOがイノベーターであるなら、行政からお金をもらって言われたとおりに仕事をすることがNPOの仕事かどうか?

NPOの組織維持や生活の糧を得るために企業から補助金をもらい仕事をすることが本当にNPOの役割を果たすことなのかどうか、立ち止まって考え直さなければなりません。

NPOであること、社会を変革するイノベーターであることを常に私たちは意識し、誇りを持って活動していきたいですね。

これからも挑戦していきましょう!(≧∀≦)

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ちょっとおしらせ

ドラッカーコミュニティカレッジイベント02


ドラッカーコミュニティカレッジ:新しい時代をサバイバルする経営者・起業家の会 #02  http://ptix.at/jROoF1

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