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変わるリーダーの役割

社員が指示待ちで困る。では、相手のやる気や本音を引き出すにはどうしたらよいのでしょうか?

かつて日本が高度成長期だった時代は、人口がどんどん増え、右肩上がりの成長をしていました。作れば売れる時代でしたから、リーダーはトップダウン式で社員に命令指示していました。
その方が成果が出たからです。


ところが、少子高齢化で働く人口が減少し、先が見えない時代に突入するにつれて、現場で起きたことをいちいちトップに判断を仰ぐ方法では逆に効率が悪くなってしまいました。

リーダーシップは「組織で権力を握った者が、トップダウンにより現場の人間を動かすこと」と思っている人が意外に多いのですが
指示命令されたり、脅されたりすると、人間関係に分離が生まれてしまいます。
一方は「指示する人」、そしてもう一方は「指示を受ける人」という立場になります。


指示を受ける人(部下)が指示を出す人(上司)に対して分離があると、「話しにくい」「相談しにくい」「聞いたら叱られる」という心理的ハードルによってボトムアップ(社員から)の意見表明が難しくなります。

この習慣が繰り返されると社員は間違いなく「指示待ち」になります。
目の前で変化が起きていても、リーダーから指示がなければ社員は動けません。結果的に、こうした組織は時代の変化を見逃し、衰退し消えていきます。この傾向は、企業でも非営利組織でも同じです。


では、組織を衰退させないためにはどうしたらよいのでしょうか?


みなさんも子供の頃に経験があると思うのですが
親から「お手伝いしなさい」と言われて行動する時と、
自発的にお手伝いを行った時ではやる気や満足度は全く違いますよね。


組織でも同じことが言えます。
リーダーの役割とは人に指示を与え人を動かすことではありません。
一人ひとりの潜在能力を引き出す役割がポイントになります。

では、どうしたらリーダーは相手の潜在能力を引き出せるようになるのでしょうか?

相手の潜在能力を引き出すとは、相手の本当に望むことを引き出し、明確化し、やる気にさせる力が必要です。それには、リーダーの「聞き方」が重要になります。

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(非営利組織の経営 P23より)
リーダーとしての能力の第一が人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。
聞くことはスキルではなく姿勢である。
誰にもできる。
しなければならないことは自分の口を閉ざすことである。
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とはいえ、人の話をひたすら聞き続けるには忍耐がいるものです。(-.-;)
始めは相手の話を聞いていても、途中で口をはさみたくなったり、気がついたら他の事を考えていたりします。

上記の引用文中にあるように聞くことは「スキル」ではなく「姿勢」だとドラッカー先生は言います。


「姿勢」とは、マインドセットを指します。
人を大切に思う気持ち。
自分の考えをいったん横に置いて、人を理解しようとする寛容な気持ち。
人を信じる気持ちです。

根底で相手を信じ、大切に思う気持ちがリーダー自身の中に育っていなければ人の話を落ち着いて聞くことはできません。
相手を信じる前提には相手を理解するステップがあります。
相手を理解し受け入れるためには、自分を理解している必要があります。
自分の性質、価値観、考え方の傾向性などを十分に理解していなければ、自分と考えが違う相手を受け入れる余裕など生まれないからです。

人を信じる前に、自分自身を信じているでしょうか?
人を理解する前に、自分自身を本当に理解しているでしょうか?

相手の話を聞く前提として
①自分を理解する(自分の性質、価値観、考え方の傾向を認識する)
②自分を信じることができる (自己肯定→自分への信頼)
➂相手を理解する(相手の性質、価値観、考え方の傾向を認識する)
④相手を信じることができる(相手の肯定→相手の信頼)

時代の変化に応じてリーダーの役割も変化します。
「自己探求」なくしてリーダーとは言えない時代がやってきたのです。


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