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詩「つまらない歌」

「つまらない歌」

夕陽が
海の向こうに飲み込まれ
空に紺色の絵の具を
ぶちまけた
ところどころ茜色なのは
闇に犯されまいと
抵抗してるのだろう
時か経つにつれ
漆黒に空ごと飲み込まれ
私は影ごと飲み込まれた
暗闇がどこまでも続き
目で光を求めると
遥か彼方
まるで
ランドルト環を眺めているような
心地になる
海は身体から流れ出る
悲しみや
詫びしさを
スポンジの様に吸収する
涙も
声も
内臓の
雑音も
唾を飲み込む音も
耳鳴りも
こめかみの動きも
この
私の
馬鹿野郎も
全てが
闇に葬られ
私は
無になる
こんなことを
つらつらつらつら
書きたくなるのは
よくある事で
もう
ここまで来たら
読む人には
つまらない歌だろう
読んでいないやもしれないのに
止まらないのだ
それは
孤独が創りだす
つまらない歌だ
不思議なもので
孤独と書くと
孤独は
押しつぶしにやってくる
涙が
溢れて
身体中
びしょ濡れだ
いや
雨だ·
雨が降っている
このまま濡れて
寒さで
凍え
おっ死ねばいいのに
死ねない生命力を
人は持っている
私も
その一人である

私と言う馬鹿野郎は

海から

馬鹿野郎だけ

返還され

有難く

それを

受け取るのだった

#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門

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