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詩「ふゆばれ」

「ふゆばれ」

濃紺の空に白い満月が浮かんでいた

粉雪が風にあおられ

白い月に

さらに白い

ベールを引く

レースに隠された花嫁の顔のように

月の白い顔は薄らと透き通る

ふゆばれの今夜

結婚式が行われる

神父は星なのか?

星など出ていない

不在か

厳かな式は

観客も眠っていないだろう

わたくしだけが、指で

十字をきって、祈る

幸せは人の計り知れない遠くまで

こだましている

#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門

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