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詩「紙の雪」

「紙の雪」

風のない街、アスファルトに立つ。
冷たさが足元から広がり、 紙の月をちぎったような雪が、 肩に髪に降り積もる。
身体の温度が奪われないのは、 あなたに向けた熱のせいか。
濡れた睫毛に孤独を表し、別れの文字は鍵をかけたまま。
終わりのない終りが 残酷に肌を刺す。
紙の雪は溶けることを知らない。
感情の上に感情を重ね、自分を嘲笑ってみた。
叫び声を空に向けると、口中に無機質が広がる。
紙の雪は溶けることを知らない。
心まで降り積もり窒息しそうな夜。

#創作大賞2023 #オールカテゴリ部門

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