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リコーGRⅢxを。

500円玉貯金をしている。
買い物をしてお釣りに混ざってくると、
菓子の空き箱に、ちゃらちゃら貯めている。
いい歳のおっさんが、ちまちま硬貨を
貯めているのもいかがなものかと思うものの、
稼いだ日銭は、すみやかに一升瓶に姿を変えるか、
馴染みの飲み屋に消えていくから、それしか
貯金の仕様がないのだった。
そこそこ貯まったら、服を買ったり、旅行に
出かけたり、気になるカメラを買うときの頭金に
使っている。
10年前、フジフイルムのカメラを買った。
佇まいにフィルムカメラのような懐かしさが有って、
以来、幾度か買い足した。
内田ユキオさんという写真家がいる。
フジフイルムから、X-Pro2というカメラが発売になった
ときに、
「X-Pro2と仲良くなりたいなら、手のなかで
転がしているのがいちばんだと思う。
一日五分だけでもいい。
X-Pro2で写真を撮り歩くのはもちろん楽しい。
でも電源を入れずに、もてあそんでいるだけでも喜びが
感じられる、稀有なカメラだと思う。」と
おっしゃっていた。
カメラがあると、日々の生活が豊かになると伝えてくれる
台詞に惹かれたのだった。
この頃発売になるフジフイルムのカメラは、そんな
情緒が薄らいだ感があり、ちょっと寂しいことだった。
この頃も、
「カメラは散歩を旅に、旅を冒険にしてくれる。」
と、胸に響く台詞を述べていて、このかたのコラムを
毎回楽しみにしている。
その内田ユキオさんが、リコーのGRという
ちいさなカメラも愛用している。
GRについての台詞も、なかなかそそられる響きがあって、
500円玉が好い感じに貯まったこの春、ぽちっとした。
名前だけは知っていたものの、届いたカメラを
手にしてみると、長きにわたって、ほぼ形を変えずに
作られつづけた製品は、佇まいに品が有る。
これもまた触っているだけで、好い気分になる代物
だった。
GRのホームページで、愛用している写真家の
かたがたの作品を眺めていたら、
大門美奈さんというかたを見つけた。
作品よりも先に、目元涼しい美しいお顔にやられた。
作品を拝見すると、
骨太な感の写真を撮られるかただった。
茅ヶ崎在住のかたで、
コラムとツイッターを拝見したら、酒ネタが
出てくる出てくる。ビール日本酒ワインウイスキー、
なんでもござれ。
黒霧島の一升瓶を枕に昼寝をしたり、
私は酔っ払っているといい写真を撮ると言っちゃたり、
馴染みの飲み屋で凍結酒でよれよれになったり、
夜中にウイスキーやリキュール飲んじゃったり、
仕事から解放されてほにゃららしている
サラリーマンを、楽しく観察しながら飲んでいたり、
早い夕方から福島の会津娘飲んじゃったり。
酒飲みの美しい女性写真家、最高です。
伯楽星の純米吟醸、一緒にやりませんか。
楽しくなって、写真集をぽちっとしてしまった。
届いた写真集に、7月に横浜で個展を開くと
メッセージが添えられていた。
夏の楽しみができたことだった。

一升瓶枕に昼寝淑女かな。









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