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ゆるく始まる新学期、コーヒー、校長からのメール

こんにちは!私の住んでいる地域では、もうそろそろ夏休みも終わろうとしています。例年ほど暑くない夏はちょっと期待外れではありますが、少しでも気温が高くなったら、近くのビーチへ意味もなく出かけるというのが習慣化されてきました。…夏への執着。爆

そんな中、そろそろ新学期が始まりそうということで私が勤める勤務校へ出向いて、校長と来年度のスケジュール調整をしてきました。TA(teaching assistant)として始まった現地校でのボランティアでしたが、途中で単独クラスを担当することになり、一時期は小1〜小6の英語の授業を担当していました。

他にもしたい仕事があるため、週1日だけの勤務で雇用契約を結んでいたのですが、合計6学年のマテリアルを用意して、1日で全ての学年の授業をやるというのはさすがにきつかったです。それを校長に相談したところ、校長は何とか私と仕事を分担できる人を見つけてきてくれて(というか、学校団体内で何とか人事を調整して)、もう1人の英語担当者と仕事を分担できることになりました。

…ということで、来年度は4歳〜6歳、日本で言うところの幼稚園年中〜小1の学年に絞ってもらい、それらの授業が終わった後は別の担当者の授業にTAとして入る…という雇用契約で締結できました。

夏休み中、誰も1日も出勤はしなかった模様

恐らく多くのオランダの学校がそうであるように、学校教育に携わる人たちは長期休暇中に出勤することはありません。笑
本当に文字通り「1日も来ない」ということを徹底しているように見えます。…ということで、私が勤務する学校も例外ではなく、清掃員以外の教職員は誰も休暇中学校に出向くことはなかったようです。

ある意味、夏休み前の最終日はほぼ全ての教職員が「夏休み中は二度とここに来なくて良いように」くらいの勢いで片付けをし、清掃員が清掃活動に集中できるように教室を整えて去ったくらいでした。

マフィンとコーヒーで年度はじめ

…ということで、夏休みを前にして校長から「スケジュール調整をしたいんだけど、ちょっと学校に来れる?それか電話でも良いでーす!」とメールがきたので、彼女の顔を見に行く意味も込めて学校に出向きました。

娘に「一緒に来てみる?」と聞くと「行ってみる!」と言ったので、自転車の後ろに彼女を乗せて、学校へと向かったのでした。この日は、一応出勤日になっていましたが、全員の教職員が来ているという感じではなく、何というか「準備を早めにしたい人は来る」みたいな日でした。笑

到着すると、職員室(というか、お茶のみスペース)に教職員が集まっていて、みんなで談笑してコーヒーを飲みながら、マフィンを食べていました。笑
校長が私と娘を見つけ、「わお!あなたも来てくれたのね〜!素敵!マフィンがあるけど食べる?あ、菜央、マフィンあげても良いかしら?」と聞かれ、娘は嬉しそうに彼女からマフィンを受け取り、3人で校長室に入ったのでした。

娘は同席しながら読書をし、私は校長と簡単にバケーションの話で盛り上がってからスケジュール調整を始めました。色々と決まってから彼女が言います。

「良い?菜央、あなたが居心地良く働けることが1番大切だから、チームの一員として困ったことや改善して欲しい点があったら何でも言ってね。チームの仲間はそれぞれの意見に耳を傾けることにオープンだから心配しないで。残念ながら、私は菜央が働く日は"ママの日"だからいないけど(校長はパートタイマー、もしくは9H×4日のフルタイマー)、心は側にいるわ!あなたがその熱いパッションで一緒に働いてくれることに感謝してるからね!」

と言ってくれました。正直、私がこの学校を離れないのは、彼女の人間性に魅力を感じているからです!

スケジュールは、スケジュール!走り出してから調整よ!

「今、色々と2人で調整してみた訳だけど、もちろん実際に学校が始まったらうまくいかないことも起きるわ。でも大丈夫、それで良いから!その時はあなたの意見をちゃんと出してね。より良くしていきましょう!」

これこそ、オランダの"learn by doing"の精神かもしれません。

新学期を何度迎えても、二度と同じメンバー、教職員、生徒で同じ年度はじめを迎えることはありません。いくらリスクを排除したって、予想もしないことが起こることは受け止めて、改善してカバーする。

人間関係でコンフリクト(もめごと)が起きるのは当たり前であるかのように、新年度で問題が起こることは当たり前なのです。大切なのはその都度調整していくこと。そして、それを臨機応変に乗り越えていくこと。

そんな大切なことを校長はリマインドしてくれました。

全員出勤日を前に届いたメール

そして、明日(金曜日)は全員出勤日で、月曜日から新学期が始まります(日本の新年度に比べたら、準備は1日〜2日ということなので驚きです。笑)。私の勤務する学校は1学年1クラスしかなく、かなり小さいチームなので調整も少なくて済むという観点から金曜日の全員集合で間に合うのかもしれません。1学年に複数のクラス展開がある学校は、その分関係する教職員の数も増えるので、金曜日だけの出勤では間に合わないかもしれません。

その金曜日の出勤日を前に、教職員に届いた校長である彼女のメールを紹介します。私はこのようなメールを送ってくれる彼女の管理職としての人間性がとても好きです。

長かった1年というスクールイヤーを終えた教職員全員が「ご褒美」として受け取った夏休みを終えて、新学期が始まります。おかえりなさい!それぞれ、自宅や旅行先などで、ゆっくりと楽しい時間を過ごしてくれていたら嬉しいです!新学期を前に、私たちは可能性とチャンスに満ちたその始まりを迎えます。

私たちは、熱心な一つのチームとして形をつくり、児童生徒の学習プロセスを指導し、刺激し、サポートする準備ができています。 今年度も引き続き新しいアイデアを一緒に探求し、児童生徒の成長をサポートする革新的な教育方法に取り組みましょう!

私たち教職員の在り方、生き方が生徒の学校生活に与える影響を忘れないようにしましょう。皆さんの努力と献身が、本当に違いを生み出すのです!お互いに学び続け、児童生徒と同僚の両方が成長できる安全で刺激的な学習環境を作り出すために協力していきましょう。

ここからは、学校の周辺地域の工事についてです…

さて、明日は、連絡していた通り午前 8 時 30 分のキックオフミーティングから始まります!コーヒーと一緒に美味しいものを用意していますよ〜!
この1年が皆さんとともに成功と感動に満ちた一年となることをとても楽しみにしています!

言葉だけではない、管理職の彼女に滲み出る人間性

この文面を読んで、私は彼女が「口だけの人間だな〜」と思わないのは、私と彼女の勤務日が重複していなくても、彼女が「菜央のこと、ちゃんと気にかけているからね!」というメッセージを常に発してくれているところにあるからだと思います。

とても隅々まで気が利く彼女は、特に「労いの言葉」を惜しみません。垢抜けに明るく、どんな困難もポジティブに乗り越えていく。そんな彼女は間違いなく多くの教職員から愛されているように見えるのです。

残念ながら明日のキックオフミーティングに私は参加できないのですが、きっとコーヒーを飲みながら楽しい雰囲気で緩やかに年度の始まりを迎えるのでしょう。そして、その雰囲気はきっと子どもたちにも伝播するのだと思います。

「ママのところの校長先生、めっちゃ面白いな。笑」

明るくユーモアに溢れる彼女の人間性に娘も引き込まれたようで(笑)、

「今日は来てくれてありがとうね〜!残りの夏休みもうちょっと楽しむのよ〜!」

と手を振ってくれた彼女に、娘も同じく手を振っていました。そして、「ママのところの校長先生、明るくて面白くて良い人やね!」と言ったのでした。

出会い頭にぶつかりそうになると"Oh, let's dance!"と言うような彼女は、とても明るく、聡明で、自分の役割がチームという場所で何を担うのかをよく知っています。そして、それが教職員全体の働き方やチーム形成に大きく影響していることも理解しているように見えます。

そんな効果もあってか、昨年度の小6の児童生徒の学力レベルはオランダ全土の上位5%に入るという結果を残していて、管理職の在り方と教職員の雰囲気は、まるで子どもたちの学校生活にストレートに影響しているかのように感じられました。今ではチームのwell-beingと生産性の関係性がエビデンスベースで語られることも多くなりましたが、勤務校でその一部を実感できたのはとても大きかったです。

さて、新しい教職員を迎えて始まる新学期。これからの毎日がとても楽しみです!

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