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娘のクラスでお寿司のワークショップ!

こんにちは!先日、娘のクラスで夫の義則と一緒にお寿司のワークショップをしてきました。子どもたちも大喜びだったワークショップを振り返ります。

テーマ学習は"ワールドレストラン"

オランダの小学校の子どもたちの多くは「ワールドオリエンテーション」という、社会と理科をドッキングした教科を通して学びます。そして、このワールドオリエンテーションにはテーマ(単元)があり、1年間でいくつものテーマをなぞりながら学んでいきます。

ある日の朝食時、娘が義則に聞きました。
「お父さん、VOC(オランダ東インド会社)って知ってる?」
「うん、知ってるで。学校で勉強してるん?」
「うん!昔ってさぁ…」

と、歴史の話を始めたのでした。

彼女がそんな話を始めたのは、ワールドオリエンテーションの中で「ワールドレストラン」というテーマ学習をしていたから。

スパイスはどこから来たの?どんな味?
東インド会社は何をした?
世界にはどんな食べ物がある?その歴史は?

その中で、世界で初めて「株式会社」というアイデアを考案した東インド会社の話も自然と出てくるのです。

そして私は、話が食べ物の話に移ったと同時に、娘の小学校のinstagramで高学年の生徒たちがクラスで様々な国の料理について学んでいるという投稿を思い出したのでした。そこで、

「クラスでお寿司のワークショップできるから、(娘が)やりたかったら先生に聞いてみてもいいよ〜」

と聞いてみたのです。

マイノリティの娘と自国文化を紹介すること

これまで何度か言及したことがありますが、娘の小学校に通う子どもたちのほとんどは「オランダ生まれオランダ育ち」の保護者に育てられています。もしくは、そうでなかったとしても、いわゆる日本語で「西洋文化」と呼ばれるような人種の見かけやバックグラウンドを持っている子どもたちが多いようです。

時に"white school"と呼ばれるような学校に在籍することは、良い面がありながらも「マイノリティ」として学校生活を送ることは、時に「心配事」にもなり得ます。それは、比較的、人種に寛容なオランダでも差別が全くないとは言えない。というところに関連しているでしょう。そして、子どもたちから溢れる「無垢なままの質問」は誰かの心に影を落とすこともあります。

マイノリティと呼ばれる存在の人々がこの社会で認められ、一緒に生きていける社会とはどうやって築かれていくのか…様々な書籍を読んだり、オランダの教育課程を知ったりする中でわかってきたのは「知る」というところをスタートとして、その機会をどのように設定するかが大きな鍵だということでした。

例えば、アジア人差別があるとして、それは何故起きるのかといえば、根本的な発端は「知らない」というところから始まります。人は「知らないこと」に対してあまりにも不寛容でいられるのです。でもその「知らない」という原因はどこにあるのか…?

「知ろうとしない差別主義者たちの努力不足?」
「そもそも差別する人たちに"知る機会"がないという問題?」

色々考えたこたえの中に「知ってもらおうとする機会の不足」というのがありました。もちろん、いかなる理由があったにせよ差別する側に落ち度があるのは当然ですが、差別が起きにくい社会を自ら作っていくという行動もまたマイノリティには強く求められると思っています。

だからこそ、私はマイノリティの立場で生きる自分たちが「当事者」だからこそ発信できることを自分の行動を通して伝えていきたいと思うのです。そしてそれは、娘がクラスで居場所を感じるためにも大切なことだと思います。

そろそろ思春期にさしかかりそうな娘。
「恥ずかしいから来てほしくない」とか、
「そんなことやらなくて良い」とか、
そんな発言もあるかな〜と思っていたのですが、意外と彼女の発言は、
「うん、やってみて!喜ぶ友だちいると思う!」でした。
どうやら彼女は、自分の生まれ育った地「日本」に誇りを持っているようです。

子どもたちから出てくるたくさんの質問

…ということで、酢飯を作り、きゅうりを切って、海苔を買い、学校へ運びました。前もって担任に送っておいたプレゼンテーションを子どもたちにすると、出てくる出てくる子どもたちの質問…

「聞いたことがあるんやけど、本を反対側から読むってほんま?」
「その漫画しってる!」
「カービーも日本のキャラクターやんな?」
「その黒いのは何?」「お醤油やで」「何でできてんの?」

クラスメイトの親に対して子どもたちから質問がポンポン出てくるって素敵なことです。

「何か質問ありますか?」と聞かれて、沈黙になることって日本の子どもたちにはありがちかなと思います。この記事を読んでくださっている皆さんは、こういった状況で「我こそ!」と質問するタイプですか?逆にしないのであれば、「それは何故なのか」を考えてみるのも良いかもしれません。

何故「気軽に質問すること」に難しさを感じるのか、と。
その原因はどこにあるのでしょう…?

娘のクラスの子どもたちは、とにかくたくさん覚えなければいけない漢字の数に圧倒されていました。笑

1人の子が、
「6年生で習う漢字よりも、5年生で習う漢字の方が多いのは何でなん?」
と聞いていて、とても鋭い質問だと感じました。

カッパ巻きは大盛況

寿司を机にそのまま置いてしまう感じ…笑

お手伝いをするのが好きな娘は、私たちが教室に入ったところから、
「このお皿を分ければいいの?」とか、
「私がこれみんなに配るわ」と言って、せっせとアシスタントをしてくれました。

「○○(娘)、これってどうしたら良いの?」とか、
「ちょっとこっち手伝ってほしい!」とか、
「このやり方わからんのやけど、教えて?」とか、

色々声をかけられながら対応している娘を見ながら、私たちも子どもたちのサポートに入りました。

この日の前日、担任がWSの話をした時、ある生徒が、
「え〜、お寿司気持ち悪い〜!」
と言ったことを娘は家で少し気にしていて、
「あんなこと思っても、別に言わなくて良いのに」
と言っていた娘。

「ひょっとしたら食べたことがないからそう言ってるのかもしれんで?」
なんて私の声掛けに口を尖らせていた娘。

でも実際、一緒に作ってみたらその子はバクバクカッパ巻きを平らげて、
「もう1つ食べたい!」とまで言っていたのです。笑

「ね、そういうこともあるんやね。笑」
と目配せをした私に、娘は嬉しそうに微笑んでいました。

私たちは「知らない」を「知ってる」に変える一歩を踏み出すことをスタートにすれば良い。そんなことを娘が感じてくれていると嬉しいなと思います。

保護者にも喜ばれた寿司WS

帰宅後、義則が保護者のWhatsAppグループにWSのことを送ると、保護者たちからとてもポジティブな反応がたくさん返ってきました。

「めっちゃ楽しかったって言ってたわ、ありがとう!」
「とっても貴重な経験をありがとう!」
「残りはないん?笑」←笑

など、何だかほっこりする時間でした。

子どもたちに、材料は近くのスーパーで買えるよ〜!と伝えておいたので、家庭でも作ってみてくれると嬉しいなと思います。

家に帰ってきた娘に「どうやった?楽しかった?」と聞くと、
「みんなめっちゃ喜んでくれてたね!楽しかった!」とのこと。

教育はみんなのもの。
教育を通して自分の子どもだけを幸せにすることは難しいと思います。
人は誰かと関わり合って生きているからこそ、その周辺にいる人たちも一緒に巻き込んでいく行動を。

それが、巡り巡って自分の子どもの生きやすさに"も"なると信じています。

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