見出し画像

ダッチ・デザイン・ウィーク 2022を振り返る

今年も行ってまいりました!オランダ南部アイントホーフェン(Eindhoven)市で開かれる「ダッチ・デザイン・ウィーク(DDW)」。今年は10月22~30日まで開かれましたが、素晴らしい秋晴れの日が続き、例年よりも盛況だったような印象でした。

個人的にあまり時間がなく、かなり駆け足で一部しか見ていないのですが、秋のオランダを盛り上げる、この文化イベントの雰囲気をお伝えできればと思います。

DDWは街のあちこちに会場がありますが、ここ「Strijp-S(ストライプS)」はメイン会場。Eindhoven駅からは20分ぐらい歩きます。レンタル自転車が便利です。


市内に点在する会場の間を徘徊するDDW専用のタクシー。ルーフにはいろんなオブジェが。

もう最近のDDWの定番テーマといえば、サステイナブル。今年もたくさんのサステイナブルな家、車、素材、暮らし……などが考案されておりました。

ゴミを出す余地はない!
コーラの瓶を再利用したグラス
ビール瓶を再利用したランプ
ドイツEDAG社が開発した自動運転の自動車
オランダはソーラーカー「Lightyear0」で対抗。太陽光で長距離を走行できます。すでにフィンランドで生産が開始されていて、来年初頭には最初の車が路上に!
新たなバイオ素材もたくさん紹介されています。
頭にかぶれる人工の子宮。「2050年、人類は人工の子宮から生まれ、18歳の誕生日にこの子宮に一度戻る儀式を行う」のだそうだ…。
アート作品もあります。これは、見る人の動きによって、インタラクティブに動く絵。
これはマーストリヒトの美大生の作品。道で拾ってきたボタンや歯ブラシなどを、「想像上の友達」に仕立てたもの。こういう緩めの作品も大切にしているのがDDWの良さ。
こちらも想像上の友達シリーズ。
もちろん、こういうプロのデザイナーズ家具もたくさん展示されてます。(SANDER MULDER)

「コミュニティ・クチュール」は、多くの人たちに思い思いのアップリケをフェルトやビーズを使ってそれぞれ作ってもらい、それを合わせてファッションを作るというプロジェクト。
DDWの会場でも、お客さんたちがプロジェクトに参加しておりました。
屋外でもデザインの展示がいっぱい。こちらは、未来の道路標識。
飲食店の巨大テントも。大音量で盛り上がってます。
ドラァグクイーンのショーも。みんな背が高いのに、さらに15㎝ぐらいのヒールを履いて踊るので迫力があります。少女が激写!
会場を大いに盛り上げておりました!
近所の「Van Abbemuseum(ファンアベ美術館)も会場の1つです。以下、多くのアーティスティックな作品が見られました。
牛のベンチ。レザーでできていて、触りたくなりますが、作品には触れないでください。
常設の作品の一部は、目の見えない人を考慮した展示となっており、絵画を立体作品にして、手で触れられるようになっています。さすがオランダの美術館、インクルーシブでも先端を行っています!


モンドリアンの作品も、手前の模型のようなものが手で触れられる作品になっています。背後は立体的な空間のなかでモンドリアンを体験できる!
こちらはシャガールの「アポリネールへのオマージュ」(1913年)。この作品をイメージした香り付きの紙をもらって、匂いを嗅ぎながら作品を味わえます。素晴らしい!
アイントホーフェンいちイケてる建物、「Evoluon(エボルオン)」にも足を延ばしました。1F会場はDDWの会場となっています。
会場外に設置されたコンテナ(?)には、「NANO Supermarket」の展示が。この白いコーラは、ナノテクノロジーによって腸がコーティングされ、悪い脂肪を吸収しなくなる飲料。「いつ発売されるの?」と聞いたら、「100万年後ね」との答えが…。
こちらは「フィジカル・フォトショップ」。リアルで顔を修正できるスティック!「これはいつ発売されるの?」と聞いたら、「もうあるよ」との答え。ほんまか?!
こちらはオンラインでいろんな質問に答えると、AIがその人のパーソナリティを診断して、その人にピッタリな香水を作ってくれるもの。1人につき、3種類の香水で22ユーロ(DDW特別価格)。ちょっと惹かれたけど、香水をつけないので止めた。
さて、Evoluonでは、DDWとは別に「レトロ・フューチャー」という特別展をやっていたので、こちらも見学しました。
「レトロ・フューチャー」は、「昔の人が考えた未来」を展示しています。60~80年代のSFが好きな私にはたまらん企画です!
会場のデザインは何となくキューブリックの映画を彷彿とさせるものがあります。
飛行機の座席に座ると、スクリーンには『スタートレック』やアニメ『イエローサブマリン』などが映し出されます。
窓の外には不思議な乗り物や衛星が飛んでいます。
昔の人が考えた、未来のオフィス家具。実にいい!

1900年頃、想像されていた2000年の教育風景。本からの情報を直接脳に叩き込むことができる。
小松崎茂氏による1961年の作品。当時考えられていた「未来の学校」、結構当たってます。(お仕置きマシーンはないが…)

1920年頃に描かれた「ビデオ電話」の絵。相手の顔がスクリーンに映る。人々はカフェで一緒に過ごしている相手でなく、ビデオ電話に夢中になっている。これ、未来をピタリと予言している!
ロボットコーナー。日本のキャラもたくさん登場しています。
永遠の健康と美を手に入れたいと願うのは、過去も現在も変わらぬ人間の欲望だ…。
こちらは未来的ファッションを紹介するコーナー。こちらのディスプレイもなんとなくキューブリックの世界を彷彿とさせます。



こちらはEvoluon常設のワークスペース。こんなところで仕事したい。
屋外には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の車も展示されています。懐かしい!
これまでイマイチ活用されていなかったEvoluonが、ついにその威力を発揮したと思われる素晴らしい展示でした。このUFO型の建物だけでも一見の価値あり。Eindhovenにお越しの際はぜひ!
最終日の日曜日は、明らかにDDWの客層とは違った感じの人たちが大勢駅から歩いておりました。彼らは地元サッカーチームPSVの試合を見に来ていたのでした。芸術の秋だけでなく、スポーツの秋も盛んです。アイントホーフェンに来るなら、この時期がおススメです!

昨年のレポートはこちら↓
ダッチデザインウィークを振り返る|Naoko Yamamoto|note

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?