その昔はレストランなんて無かった
遙か昔、レストランなんて無かった時代、
家族の誰か(おばあさんやお母さん)が皆の食事を用意していた。
家族という団体の次に大きな団体は「村」。
村の中で、特に料理が得意な人間が、自分の家族だけでなく、隣の家族の食事もまかなった。
大きな肉をさばくのは男の仕事だっただろうと思う。
薬なんて無い時代だから、病気になることはイコール死の危険だったに違いなく、だからこそ、何が身体に必要で、何が不要なのかを、お母さんも、きっとお父さんも感覚を研ぎ澄まして気持ちを傾けて料理をこしらえていたことだろう。
おじいちゃんやおばあちゃんは、自分たちよりも、村の中で小さな子ども達に食事を沢山摂って欲しかったと思う。おじいちゃんおばあちゃんは欲張らずに少し、川の水をくみ、狩りに出掛け、皆の世話を焼くお父さんお母さんや子ども達はしっかりと、と言った具合に自然と量の配分も出来ていたんじゃないだろうか。
時代が変わり、家族でも村でもない人々に、料理を出すという「レストラン」というものが生まれた。
料理が得意な人が、隣の村だけでなく、そのまた隣にに住む人にも、「お金」と引き替えに料理を提供する店だ。
お金と引き替えになった途端、いろいろなことがひん曲がりはじめた。
ある人は、より多くお金をもらうにはどうしたらいいかと考えるようになった。
ある人は、かける時間は同じで、より多くの人に食べさせるにはどうしたらいいかと考えるようになった。
レストランなんて無かった時代。
そこには家族と村だけが存在していた。
村の誰かが病気になれば、他の誰かにうつる可能性が高くなる。
家族の誰かが病気になれば、他のだれかが悲しむ、そして勿論、面倒を診るのは自分たち。
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HITOTEMA倶楽部
「HITOTEMA」は、2014年にスタートした渋谷区にある週一回のみオープンするレストラン。そんな変わった業態でお店を続ける中で、お客様…
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