見出し画像

中が外に滲み出る

ふと目にとまった、ニューヨークのある化粧品店の看板。 

 "Looking Good Feeling Good"  

「外を磨くと中も幸せになれる」「いい気分になりたかったら外見をカッコよく」とか言う意味なのですが、なんだかおかしい。本当にそうでしょうか?

 確かに、綺麗な服を着たり、髪や化粧で身なりを整えれば気が上がるということもある。でも、気分が晴れない時、外見をいくらがんばって飾っても、心の中にある心配や不安の元は消え去りません。それどころか、輝く外見と沈んだ中があわなくて、よけいに気持ちが暗くなったりします。程度の差はあれども、私たちの日常生活では、悲しいかなこの外と中のズレが当たり前になってしまっています。

 例えば友達との会話。表面ではニコニコと話を聞いている振りをしているのに、中では全く別のことを考えています。意識がどこか他のところに行ってしまっています。また、体が疲れ切っているのに、業績を上げるべく機械的に仕事を増やし続けたりします。「もうやめたい!」「嫌だ!」という自分の体の声に目を閉ざしてしまう。深刻なところでは、近年相続(あいつづ)く有名人の自殺行為です。お金がたくさんあったり社会で成功していたりと、完璧な幸せのイメージを生きているように見えた人達が、自ら命を絶ってしまった事実は、多くの人に衝撃を与えました。増え続ける名声や富(外)に、心(中)がどんどん置き去りにされてしまったのでしょうか。他人事ではありません。今、何人の人が、「一番最後に幸せだと感じたのは、いつですか?」という問いに、答えられるでしょうか? 「幸せ」は中で感じる感覚なのに、「幸せ」を何か見たことのあるイメージ(外)にくっつけてしまったり、幸せの感覚を無意識に止めてしまっているのです。

Looking Goodは、中の充実感が外に滲(にじ)み出てきて初めて得られるもの。つまり、"Looking Good Feeling Good"ではなく、”Feeling Good Looking Good ”、「中が満ち足りていると、外からも魅力的に見える」ではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?