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自分を通して社会を見る

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自分は社会をどう思うか、何が問題なのかを、日米両法の社会で生きてきた経験をもとに探っていく。
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言葉の壁は心の壁(1)

こんにちは。今日も元気でお過ごしでしょうか? 今日は言葉についてです。 長年異国に住んでいて、英語もそれなりには使えるようになったのですが、上手になればなるほど、ネイティブではない私が決して越えられない壁があるのを痛感します。それは言葉の壁というよりは、自分の心の中にある壁です。どんなに発音がネイティブに近く、英語のロジックで喋れても、心は日本人で、とても情緒的なのです。言葉、体、心、空間は密接に繋がっていて、幼い頃から記憶に刻み込まれたセルフイメージと、異言語を話すこと

マトリックスへの一考

こんにちは。今日も元気でお過ごしでしょうか? 1999年にリリースされた『マトリックス』という映画を、覚えていらっしゃるでしょうか?このSF映画のテーマは、「コンピュータによって作られた仮想現実(マトリックス)を生きる主人公が、仮想空間と現実を行き来しながら、人類をコンピュータの支配から解放する戦い」でした。当時私は、キアヌ・リーブス扮する主人公ネオが、「目覚めるかこのまま生きるか」の選択を迫られる姿に、自分自身のジレンマを重ねたのを覚えています。 今私たちが生きている現

言葉の壁は心の壁(2)

こんにちは。今日もお元気でお過ごしでしょうか? 言葉には人が現われるといいます。 私は今、帰国子女に英語のライティングを教えていますが、彼らの言葉の選択や使い方を見てきて、言葉は心、体、環境と深い繋がりがあると感じます。俗に「帰国子女」と呼ばれる子どもたちは、何か親御さんの仕事の事情で外国に何年か住み、いずれは日本に帰国することが前提の環境で学んで、生活しています。帰国子女というと、あまり努力もすることなく、英語がペラペラ話せていいなあと思われるかもしれませんが、実情はな

言葉の壁は心の壁(3)

言葉の壁は心の壁(3) こんにちは。今日もお元気でお過ごしでしょうか? 今日はちょっとオタクな話です。 日本の伝統芸能の一つにに能楽があります。700年近くの歴史があるこの芸能では、洗練された舞台で厳しい舞や囃子、演技のトレーニングを幼い頃から積んで、磨き抜かれた技術を持つ能楽師によってパフォーマンスが行われます。 私は2001年から2016年ごろまで、日本の能楽を日本語で行う劇団、シアター能楽に所属していました。シアター能楽では、日本の古い芸能である能楽のトレーニン