Naoko Kato

眼科医師。地方国立大医学部卒業後、大学院在学中に留学、大学院卒業後東京に転居、首都圏の…

Naoko Kato

眼科医師。地方国立大医学部卒業後、大学院在学中に留学、大学院卒業後東京に転居、首都圏の大学病院等をいくつか移動して勤務しました。 現在は、非常勤で複数の病院・クリニックで外来・手術・臨床研究などしています。

最近の記事

「何歳からでも始められる新しい挑戦」を聞いて

勉強会で女性教授のお話を聞きました女性医師のオンラインの勉強会をしています。 そこで、前回触れた#WeCanLead を作られた旭川医科大学皮膚科教授の山本明美先生にお話しいただきました。タイトルは「何歳からでも始められる新しい挑戦」でした。 先生曰く「このようなタイトルでお話しするのも初めて」ということで、ご講演そのものが新しい挑戦でもあったのかも?! ご講演内容は、先生のこれまでのキャリアを、やる気度グラフ(ライフラインチャートみたいものでした)と共に示していただき

    • #WeCanLead に参加しました

      #WeCanLead という医療分野での女性リーダーを育てることを目的とした会があることを知り、参加させていただきました。オンラインでの集まりです。 これまでの登壇者リストを見ても、錚々たるメンバーです。今回は、ファイザー株式会社 取締役 執行役員 mRNA・抗ウイルス医薬品部門長 藤本陽子氏のお話でしたが、とても印象的で示唆に富むものだったと思います。 印象的だった点思い切った決断 藤本氏はもともと神経内科の医師としてキャリアをスタートさせたということですが、アメリ

      • 属人的な仕事はなくした方がいい

        自分の患者さんは自分が責任を持って診なくてはならない?先日、自分と同世代のドクターと話していたら、その人の口からこんな言葉が飛び出しました。 これは、以前はもう不文律みたいなものでした。私たちの世代は、自分が処置や手術をした患者さんは翌日自分が診察するのは当然のことだと習ったし、実際にそうしていました。だから、休みの前日に手術したら、翌日が週末であろうが祝日であろうが、朝早くから出かける予定があろうが、必ず患者さんを診察しに病院に行っていました。 それはそれで、良い面もあ

        • 医師のキャリアパスにもプロのアドバイザーがいた方が良いのでは?

          私たち医師は、スタート時点はみんな似たような感じですが、何年か経つとキャリアパスが多様になっていきます。 医師の一般的なキャリアパスざっくり言うと、医学生は大学を卒業すると、まずは大学病院や基幹病院で基本的な初期研修を受けます。その後は各専門科に分かれて専門研修を受け、それを終えると一応一人前と見なさレます。その後は、大学病院や基幹病院に勤務するか、市中の病院やクリニックに勤務する期間があり、そのまま昇進していく人もいますが、どの時点かで勤務医をやめる人もいます。勤務医を辞

        「何歳からでも始められる新しい挑戦」を聞いて

          学術雑誌のSNSマーケティング

          オープンアクセスの場合 少し毛色の違った話を書きます。 オープンアクセスの掲載料金 昨年、論文を投稿して無事アクセプトされ、掲載料を見た時に驚きました。 掲載料がものすごく高かったのです!  オープンアクセス(読みたい人が無料で本文をダウンロードできるシステム)にすると日本円で60万円ぐらいの金額が請求されると書かれていました。 ScienceやNatureなどの超一流誌にフルペーパーで掲載されるなら、そのぐらい払うのはありかもしれないけど、その時私が出そうとしてい

          学術雑誌のSNSマーケティング

          うまく行かないのが普通

          しばらく忙しくて更新が止まっていました。 昨日友人に「明日は絶対投稿する」と宣言したので、今日は約束を守るために書こうと思います。 これまでリアクションが多かった記事は これまでの投稿を振り返ると、この記事が割とたくさん読まれて、スキもしていただいています。 オンライン勉強会が盛り上がりません 上記の記事のように、女性医師を取り巻く現状にはいろいろまだ問題はあるものの、少しでも解決に近づける一つの手段にならないか、ということで、女性医師のオンライン勉強会をやっていま

          うまく行かないのが普通

          学会の締め切り延長について思うこと

          学会の演題登録締切はよく延長される自分の専門分野の学会では、演題登録締め切りが延長されることがよくある。 学会のホームページに と書いてあるのに、実際に○月○日の午前10時ごろになると下のような記載に変更される。 つまり、締め切りが延長される。 これは、演題登録締め切りの数時間前までに申し込まれた演題数が少なすぎるため、”このままでは学会を開催するのに演題の数が足りない(=盛り上がらない)”と言うことで、慌てて締め切りを延長して、さらに登録してくれるのを待つ、と言うこ

          学会の締め切り延長について思うこと

          専門外来を始めてみよう

          同業の(医師の)友人や後輩から、「自分の専門の仕事に集中したい」というような話を時々聞きます。それには専門外来を作ってしまうのが一番効率的です。 ちなみに、以前から内科などは糖尿病内科、循環器内科、呼吸器内科、神経内科・・・などのように専門で分かれているのはよく知られていると思います。でも、最近では、眼科とか耳鼻科とか歯科なんかでも、結構専門に分かれているのです。例えば、眼科なら、角膜、緑内障、網膜・硝子体、斜視、眼瞼、涙道、神経眼科・・・などのように。 私は複数の病院で

          専門外来を始めてみよう

          時間、守りましょう

          北欧と日本の労働時間の違い最近YouTubeでこの動画にハマってます。 スウェーデン人の配偶者がいて、スウェーデンに住んでいる二人の日本人女性が、北欧のことについて色々情報発信している動画です。いろんなテーマについて掘り下げているのと、楽しそうな二人の会話に思わず引き込まれて見てしまい、チャンネル登録してしまいました。 北欧はもともと女性医師の比率も高いし、社会全体にかなりジェンダー平等が浸透しているようです(下図)。ジェンダーだけじゃなくて、移民も多いので異民族の受け入

          時間、守りましょう

          今後の日本の女性医師比率について考えてみた

          医師の働き過ぎ問題が最近ようやく話題になるようになって、2024年には初めて勤務医の時間外労働の年間上限が設けられるそうです。とはいえ、一部の医師には過労死ラインの2倍まで認めているとか。冗談かな?と思うような話ですが、まずはそのぐらいにして段階的に変えないと医療が回らなくなってしまうのだ、という話です。 だけど現場で働いていると、もっと多様性を認めればみんなで楽に回す方法があるんじゃないのかな? と思うことがあります。今、医師の世界でリーダー層にいるのはほとんどが男性の年

          今後の日本の女性医師比率について考えてみた

          ロールモデルの大切さ

          前回、アメリカ国籍の女性教授(N教授)に、アメリカの医師の働き方や卒後教育についてお聞きした話を書きました。 N教授は2日間の研究会を最後まで聴講し、時々コメントをしてくださっていました。その中で、とても印象的な出来事がありました。 研究会の途中で起きたこと2日目の一般演題の時に、一人の日本の医師が正しい診断が難しかった腫瘍の症例を供覧しました。この症例は、過去に何度か専門の研究会や学会でも複数の人に相談し、いろんな検査を何度もして、生検もして、それでもなかなか腫瘍だとい

          ロールモデルの大切さ

          アメリカの女性教授に聞いた医師のダイバーシティと卒後教育

          他分野の勉強会に行った〜実は違う目的で先日、「神経眼科」のセミナーに参加しないか、と友人から誘われました。 実は、私は同じ眼科でも神経眼科はかなり縁遠くて、流石に普通の診察に必要な基本的なことは知っているものの、普段学会で神経眼科のセッションに行ったり、研究会に出たりすることはほとんどありません。いつもと違う分野のセミナーに行くのは、なかなかアウェイ感が満載です。 ただ、今回友人が私に声をかけてくれたのは、このセミナーにアメリカの日系の神経放射線科の女性教授(以下N教授)

          アメリカの女性教授に聞いた医師のダイバーシティと卒後教育

          医師業のブランク後の復帰について

          女性医師の仕事にブランクができてしまう原因というと、一番多いのは、子育てのためのブランクではないでしょうか。その次が、留学、特にパートナーの留学に帯同した場合、そして、自分の病気や家族の介護などがあるかと思います。 こういったブランクの多くは、介護を除いては、専門医試験に合格する30歳過ぎぐらいから5〜10年のあたり、つまり30台から40台前半ぐらいまでに生じることが多いかと思います。そして、ちょうどその年代というのは、医師が経験を積んで伸びていくのに大切な時期でもあります

          医師業のブランク後の復帰について

          「女性医師のための」と言う枕詞は是か非か

          私は以前から、女性医師の地位向上のために活動したいと思っていて、オンラインでの女性医師のコミュニティづくりや勉強会を行っています。現在50名前後のメンバーが参加してくれていて、オンラインの良さを存分に生かして、なかなか普段は会えないような離れた地域の人たちとも交流ができるようになってきました。 あまり女性と言わない方がいい?ところが、「女性医師のための」という枕詞を使うと、「あまり女性女性と言わない方がいい」というアドバイスをくださる方が時々います。 まあ、言わんとするこ

          「女性医師のための」と言う枕詞は是か非か

          日本の学会で女性の発表者が少ない理由

          先日、知り合いの中堅世代の男性医師と話していて突然、「学会とかで見ていても、日本は女性の発表者が少ないよね」という話になりました。はい、それ、いつも私が思ってることなので、全肯定です。 さらに、その人が言うには、「前は別になんとも思ってなかったけど、アメリカの眼科学会に行くと、女性の方が多いんじゃないかと思うぐらいだった。そして、帰ってきて日本の学会に出るとあまりの少なさに愕然とする」と言うことでした。 そして、「どうして日本はこんなに女性の発表者が少ないの?」と言う話に

          日本の学会で女性の発表者が少ない理由

          「今は人手が足りないんです」問題

          本気で解決しようと思ってます?私が大学を卒業したのはもうずっと昔、年号が昭和から平成に変わったばかりの頃です。そんなバブルがはじけて間もない頃に新米の医師になり、30年以上働いて現在に至るわけですが、その間ずっと変わらず聞く言葉があります。それは です。 この上の句の後に続く下の句は、 です。 よく、専門医を取ったばかりぐらいの、「俺も/私もそろそろ専門医も取れたし、一人でなんでもできるし、院内のこともわかってるし、後輩の指導もしてる。俺・私は立派な中堅で職場を支えて

          「今は人手が足りないんです」問題