見出し画像

ものすごく短い小説「海とねこ」と、夏の小説についてのエッセイ

暑いですね、本当に暑い。ここで嘘をついても仕方にないので嘘なんかつくわけないけど、「本当に」暑い。「嘘っこで」暑いのだったらどんなに良いか。梅雨明けしてすっかり夏ですが、このむっと息が苦しくなるような、汗でブラウスが背中に張り付くとか、髪が頬に張りつくとか、誰かが下敷きであおぐと汗の匂いがユラッとやってくるとか、そんな感じの夏を思い出すのが綿矢りさの「蹴りたい背中」なんです。

と、書いておきながら「あれ夏じゃなかったらどうしよう」と不安になって読み返しましたが、よかったちゃんと夏の話だった。小説の中の、夏の息苦しさ、高校生活の息苦しさとともに、わたしがものすごく覚えていたのは、無印良品でコーンフレークを食べるシーンですね。また食べ物思い出すんかい。だって仕方ないじゃん思い出しちゃうんだから。無印良品のコーンフレークを買うためにタンクのバルブを引くと「まるで蛇口から流れる水道水のように」落ちてくるんだって、コーンフレークが。この表現でもう口の中が香ばしくなリましたよ。

実際に主人公がやったのは、試食です。試食皿のコーンフレークを両手ですくって食べる、そうやって様々な種類のコーンフレークを食べるんですね。そしてわたしは大量のコーンフレークのバリバリとした食感を想像で味わうわけです。

そんなワンシーンをいつまでもいつまでも覚えているわたしですが、本当にもうどうしてそんなことばかり覚えているのか。

何度も読み返してしまうのは、オリちゃんのコラムを読むシーンです。あそこはね、針でちくっと刺されたような痛みを感じるシーンなんだけど、暑さを感じるシーンが多いこのお話の中、ちょっと涼しい夜の風を感じるシーンなんですよね。

さて、最後になりましたがまたもやすごく短い小説を、アルファポリスさんに投稿しました。

「海とねこ」よかったら読んでください。


そして今回もnoteカバー絵を描いてます。

画像1