ショートショート「チャリンチャリン太郎」

たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加してます。

今回のお題は「チャリンチャリン太郎」です。

チャリンチャリン太郎


チャリンチャリン太郎くんの本当の名前は「貯金ロボットh_mynver.2製造番号45」だ。
彼は、人間の男性の形をした貯金箱ロボットだ。
口に金を入れると彼の腹まで落ちて、チャリンと音がする。

彼は会話をし、動くこともできる。そしてイケメンだ。
私は彼のことが大好きになり、名前もつけてあげた。
チャリンチャリン太郎。
略して太郎くん。

ある日太郎くんは言った。
「君は僕のために僕の製造会社から服や靴を買ってくれる。会社の利益になる。そういう商売だ。でも君の貯金は減る。僕は貯金箱なのに、ひどいことだ。僕にはもう耐えられない」
「私ならいいの。あなたが大好きだから」
「ありがとう」

でも朝起きると、彼はメモを残していなくなっていた。
「君が、善良な貯金箱に出会えることを祈っている」
メモの横に、私が太郎くんに入れたコインがどっさり置いてあった。

彼のことを忘れられない。
私がずっと「貯めていた」愛情を、彼が持って行ってしまったのだ。

*****終わり*****

読んでくださってありがとうございました。
最初、お題を「チャンチャン太郎」と読み間違えて、ちゃんちゃん焼きの話を書こうとして…下書きまで書いて…間違いに気づいてよかったです。