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ショートショート「ジュリエット釣り」
たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」に参加してます。
今回のお題は「ジュリエット釣り」
ジュリエット釣り
ジュリエットを見つけた。
海のはじまり、消波ブロックの上だ。
彼女は釣り人ジュリエット。
本名かどうかは不明。
何故、その名を名乗るのか…熟練の釣り人たちが憧憬の眼差しで彼女を語る…。
「彼女は親に認められぬ恋をしていた。相手は大海で生きる漁船乗りだった…シェイクスピアと違うのは、男が彼女を突き放し海を選んだことだ」
だから彼女は決めた。
わたしも海で生きる。生涯を魚釣りに捧げる。
それこそが愛。
彼女は愛に命を捧げた。
だからジュリエットなのだ。
そして、伝説の「ジュリエット釣り」という技を編み出した。
僕は彼女に言う。
「ジュリエット釣り。僕はその技を会得したいのです」
彼女は首を振り重々しく語る。
「あの技は、海とひとつとなり嵐をおこし魚を大量に釣り上げそしてまた海に返すという大技。命を賭けた愛の技。本当の愛を知らぬ者には使えぬ技だ」
彼女はゆっくりと去っていった。
活きの良い波が僕の顔にかかり、口の中へ。
伝説が喉に当たって、辛いや。
***終わり***
読んでくださってありがとうございました。
ジュリエットといえば、オリビア・ハッセーを思い出します。(いや、リアルタイムで映画館で見た世代ではございませんが)本当にうっとりしてしまう美しさですが、このショートショートのジュリエットさんは、そんなオリビアジュリエットよりもうちょっと(かなり?)年上設定で世界のミフネのような鋭い眼光の持ち主だと勝手に想像してます。