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超短い小説「くまりん時間」と、小説についての短いエッセイ

子どものころ、怖いと感じていたことはたくさんあって、その中に「子ども向けの本なのにカバー絵や挿絵が怖いんだよ」というものがありました。で、うちの本棚にあったのだけどなかなか読めなかった本があります。そのひとつが「アリババと40人の盗賊」でした。アラビアンナイト。(の、原本には実は入っていなかったとかなんとか)

今、思い出してみると「エキゾチック」で「ミステリアス」な絵で、いまの私の趣味にものすごくあっている絵だったのですが、いかんせん小学校低学年当時の私には見慣れない種類の絵だったのでしょうね。

そこからの私の心の動きはいまでもよくわからんのですが、ある日突然「昨日まで絵が怖かったけど、今日なんだか読んでみようと思う」という気持ちになり、アリババと40人の盗賊デビューを果たしたわけであります。なんでそうなったんだろうね…子どもの成長って早いからね、という結論で良いのだろうか。

読んでみたら、いやあ、これがまた面白かったです。これは日本の地方都市に住む小学校低学年にとって「異世界ファンタジー」ですよね。

開けゴマ、という有名な呪文はさておき、わたしが心惹かれたのは「魔法世界の小道具」でした。

「金貨の入った袋」とか、「油の入った壺」とか、物語の中に出てくる小道具が、いちいち心臓にズッキュンズッキュン響いていました。古代の中東は、私にとって魔法世界で、そして金貨袋(皮袋だよね?)や油壺は自分を魔法の世界に誘ってくれる大事な小道具だったんですね。

金貨袋の中の、ぎっしりつまった金貨たちの、ごつごつした膨らみの手触りとかずっしりとした重さとか、粘度の高い油がとろとろと壺から注がれるところを勝手に想像したりして、顔がにやけていました。そしてバラバラ死体を縫ってしまう靴屋(仕立て屋?)の針と糸も、ドキドキ小道具でした。なんだか私は変態でしょうか。

さて、超短編小説をアルファポリスさんへ投稿しました。

「くまりん時間」少しファンタジー。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/643853944/589504326/episode/4365462

noteのカバー絵はやはり私が描きました。「くまりん時間」を思いながら書いたので、ちょっと暗い感じというか、ぬいぐるみの「わたしは面白くないぞ感」を出せたら良いなあと思いつつ…。

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