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韓国ドラマ「愛の不時着」で描かれている親子愛


外出を控えていたコロナ禍だった2年前に初めて見た韓国ドラマがこの「愛の不時着」。今回見るのは3度目だが内容が分かっていてもやっぱり見ると面白い。今までの韓流ブームには乗れなかった私がなぜこのドラマにハマってしまったのか。

若い頃から好きなドラマや映画は、ラブコメにアクション、コミカルなものだった。まだレンタルビデオ屋さんで映画を借りてた頃に好きだったのはアメリカ映画やイギリス映画、あとジャッキーチェーンが繰り広げるドキドキハラハラするようなアクションもの。「愛の不時着」はそれ以外の海外ものだけどこの3つの要素を全て満たしていると思ったのだ。

主演の2人を演じるのは韓国で人気の高いヒョンビンとイソ.ジュン。2人は映画「ネゴシエーション」でも共演しているが、この「愛の不時着」の制作現場で交際し始めてついに結婚してしまったという話題のドラマだ。

このドラマは北朝鮮の元ピアニストの軍人であるヒョンビンと韓国の実業家のイソ.ジュンがありえないような設定の中で別れようとするたびにつながり、お互いの存在がなくてはならないものに変わっていくストーリー展開。2人が見つめ合い話をするだけでその一つ一つのシーンに胸キュンしてしまう。北朝鮮と韓国という切り離された国同士が舞台となる壮大なラブコメであり、アクションものであり、コミカルなドラマなのだ。同時にこのドラマではいくつかの親子愛も描かれている。

北朝鮮の将校であるリ.ジョンヒョク(ヒョンビン)は地位の高い軍人の父を持つエリート。事故で亡くなった軍人の兄との関係はとても良好で、だからこそ兄が亡くなった時の喪失感が強く、兄が亡くなった時は涙が溢れて仕方がないといったシーンが出てくる。リ.ジョンヒクの母親もとても愛情深く、そんな息子のことを心配している。

また、リ.ジョンヒョクの婚約者のソ.ダン(ソン.ジヘ)は父親を早く亡くし、デパートを経営する母親と軍人の伯父はソ.ダンが婚約して7年も経つのに結婚していないことに気を揉んでいる様子が何度も出てくるが、娘を心配する母親と伯父の深い愛情を感じる。

一方、有能な実業家であるユン.セリ(ソン.イェジン)は財閥の家族の一員だが、母親が実母ではなく、無能な2人の兄を持ったことで父から会社の後継者と認められたものの、母親と兄達とは犬猿の仲で愛情に満たされていなかった。そんな寂しさから消えてしまいたい思ってスイスに死に場所を探しに行ってしまうほどの孤独感を抱えて生きてきた。こういう心理背景があってこそ主演のリ.ジョンヒョクとユン.セリはお互い惹かれ合うわけだ。

このドラマを見始める前に、慕っていた伯父が88才で天国に旅立って行った。愛妻家で優しいいい人で、姪である私のことを子供の頃から可愛がってくれ、愛情をたくさん注いでくれた。自己中心的だった両親からは条件付きの愛情しかもらえなかった私にはとてもありがたい存在だった。何度もうつ病を繰り返す母親の看病を20代の頃からして来た私も心のバランスを崩してしまい、孤独感を感じていた私を救ってくれたのが伯父と伯母の深い愛で、だからこそいま思いやりのある夫との結婚生活を送れて、とても幸せを感じている。伯父が亡くなった後は伯母が残りの人生を穏やかに過ごせるようにできる範囲で援助することが恩返しだと思っている。

このドラマを見るにつれて、世の中にはいろいろな親子がいるが、愛情が足りない家庭で育ったとしても探せば身の回りに温かい人間関係を築ける人達がいることに気づかされる。勇気を持ってそういう愛情あふれる人達と接していけば自分も人を大切にするということはどういうことか気づいて幸せな人生を手に入れることはできる。このドラマが伝えたいテーマが分かってくるからこそ何度も見たくなるストーリーに出来上がっているのだろう。


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